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予防法務

判例(株主が会社役員への損害賠償請求をする株主代表訴訟を提起した事案において、役員への責任の有無を判断するのに必要でかつ、その問題となった事項について取締役会で検討した可能性が高い場合には、株主には取締役会議事録の閲覧等を請求できる。)

2026/05/01 更新

株主による取締役会議議事録等の閲覧等許可の申立て

(1)会社が監査役設置会社又は監査等委員会設置会社である場、株主が取締役会議事録の閲覧等をするには、裁判所の許可を得なければならない(会社法371条3項)。
(2)株主による取締役会議議事録等の閲覧が認められる要件は以下のとおりである。

①株主がその権利を行使するために必要があること(会社法371条3項)
②会社に著しい損害を及ぼすおそれがないこと(会社法371条6項)
③条文にはないか、(必要性が認められる事柄が記載された)取締役会議事録の存在(の疎明)


③(必要性が認められる事柄が記載された)取締役会議事録の存在(の疎明)

(1)取締役会議事録の閲覧等許可の申立ての手続において、裁判所は直接議事録を閲読することも許されると考えられている。しかし、その記載がないことを確認することになれば、一定期間の取締役会議事録の全てを閲読せざるを得ず、裁判例では、裁判所が閲読を行うことなく、結論を導くことが多いとされます(判例タイムズ1542号230頁)。

会社法371条 議事録等
1項 取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第三百六十九条第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない。
2項 株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3項 監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社の営業時間内は、いつでも」とあるのは、「裁判所の許可を得て」とする。
4項 取締役会設置会社の債権者は、役員又は執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該取締役会設置会社の議事録等について第二項各号に掲げる請求をすることができる。
5項 前項の規定は、取締役会設置会社の親会社社員がその権利を行使するため必要があるときについて準用する。
6項 裁判所は、第三項において読み替えて適用する第二項各号に掲げる請求又は第四項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、当該取締役会設置会社又はその親会社若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、第三項において読み替えて適用する第二項の許可又は第四項の許可をすることができない。

福岡地判令和7年4月10日

1 事案

(1)上場会社がカルテルの存在を認めて、課徴金減免申請を行って、課徴金の減額をすることができた。

 課徴金減免制度は、カルテルの関与者がカルテルの存在を申告することで、カルテルの制裁としての課徴金の減免を受けれる制度です。

(2)もっとも、減免を受けたとして、上場会社は課徴金の負担をしたことから、株主が会社役員への損害賠償請求をする株主代表訴訟を提起した。

(3)その株主らが、カルテルに関する役員の責任追及の目的のために、課徴金減免申請について議論した取締役会議事録の閲覧請求をした。

2 判決

(1)株主が会社役員への損害賠償請求をする株主代表訴訟を提起しており、必要性が認められる。

(2)会社側が具体的な弊害を主張しておらず、会社に著しい損害を及ぼすおそれはないとされた。

(3)取締役会の議事録について、カルテル合意そのものについて記載されていると思われない。しかし、カルテルに関与した他の企業との情報交換の状況やその内容とこれに対する取締役会の検討状況といった内容が記載されていると思われ、これはらは、、経営上重要な情報であって、取締役会で協議されて事項については、カルテルに関する役員の責任を判断するのに必要であり、かつ、取締役会議事録録に記載されている蓋然性が高いとして、取締役会議事録の閲覧請求が認められた。

参考

 判例タイムズ1542号229頁

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