【重要判例】判例(補助参加の利益)
2026/04/19 更新
最判平成14年1月22日判時1776号67頁
「旧民訴法78条(民事訴訟法53条4項)、旧民訴法70条(民事訴訟法46条)の規定により裁判が訴訟告知を受けたが参加しなかった者に対しても効力を有するのは、訴訟告知を受けた者が旧民訴法64条(民事訴訟法46条)にいう訴訟の結果につき法律上の利害関係を有する場合に限られるところ、ここにいう法律上の利害関係を有する場合とは、当該訴訟の判決が参加人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益 に影響を及ぼすおそれがある場合をいうものと解される(最高裁平成12年(許) 第17号同13年1月30日第一小法 廷決定,民集55巻1号30頁 参照)。」
「また、旧民訴法70条(民事訴訟法46条)所定の効力は、判決の主文に包含された訴訟物たる権利関係の存否についての判断だけではなく、その前提として判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断などにも及ぶ ものであるが(最高裁昭和45年(オ)第166号同年10月22日第一小法廷判決、民集24卷11号1583頁)、 この判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断とは、判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などをいうものであって、これに当たらない事実又は論点について示された認定や法律判断を含むものではないと解される。けだし、ここでいう判決の理由とは、 判決の主文に掲げる結論を導き出した判断過程を明らかにする部分をいい、これは主要事実に係る認定と法律判断などをもって必要にして十分なものと解されるからである。そして、その他、旧民訴法70条所定の効力が、判決の結論に影響のない傍論において示された事実の認定 や法律判断に及ぶものと解すべき理由はない。」
「これを本件についてみるに、前訴におけるXのAに対する本件商品売買代金請求訴訟の結果によって、YのXに対する本件商品の売買代金支払義務の有無が決せられる関係にあるものではなく、前訴の判決はYの法的地位又は法的利益に影響を及ぼすものではないから、Yは、前訴の訴訟の結果につき法律上の利害関係を有していたとはいえない。したがって、Yが前訴の訴訟告知を受けたからといってYに前訴の判決の効力が及ぶものではない。しかも、前訴の判決理由中、Aが本件商品を買い受けたものとは認められない旨の記載は主要事実に係る認定に当たるが、Yが本件商品を買い受けたことが認められる旨の記載は、前訴判決の主文を導き 出すために必要な判断ではない傍論において示された事実の認定にすぎないものであるから、同記載をもって、本訴において、Yは、Xに対し、本件商品の買主がYで
はないと主張することが許されないと解すべき理由もない。
解説
1 補助参加の利益
(1)補助参加するには、「訴訟の結果について利害関係を有する」(補助参加の利益)を有していることです(民事訴訟法42条)。
(2)「訴訟の結果について利害関係を有する」は、① 補助参加人の法律上の地位(法律上の利害関係)、②訴訟の結果、③②によって③がどのような影響を受けるかを考慮して判断されます。
2 訴訟の結果(訴訟物限定説と訴訟物非限定説)
(1)上記の②に関し、「訴訟の結果」については、判決主文中で示される訴訟物たる権利または法律関係の存否の判断に限られる(その判断が、補助参加人の法律上の地位に、論理的な先決関係がある場合に限定する)とする見解(訴訟物限定説)と判決理由中の判断も含む(判決の理由中の判断が、補助参加人の法律上の地位に、論理的な先決関係がある場合を含む)とする見解(訴訟物非限定説)があります。
(2)訴訟物非限定説でも、「訴訟の結果」が判決理由中の判断すべてを含むと考える学説は少ない。参加的効力を持つ理由中の判断も「主要な争点や請求原因の判断に限られる。」に限られるとされます。 (勅使川原和彦 「読解 民事訴訟法」227頁)
(3)本判決では、 「旧民訴法70条所定の効力は、判決の主文に包含された訴訟物たる権利関係の存否についての判断だけではなく、その前提として判決の理由中でされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断などにも及ぶ ものであるが(最高裁昭和45年(オ)第166号同年10月22日第一小法廷判決、民集24卷11号1583頁)、 この判決の理由中でされた事実の認定 や先決的権利関係の存否についての判断とは、判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などをいうものであって、これに当たらない事実又は論点について示された認定や法律判断を含むものではない」と述べています。
(3)上記の文言からは、判決理由中の判断も含む(訴訟物非限定説)に親和的です。また、参加的効力を持つ理由中の判断も「主要な争点や請求原因の判断に限られる。」に限られるという説とを採用しているかのように読めます。
3 あてはめ
(1)本判決では、参加的効力を持つ理由中の判断も「主要事実の判断に限られる。」という見解を採用しています。
(2)本件の前訴訟の請求原因は、「XとAの売買契約」です。まず、Xは、「XとAの売買契約」であると主張しています。Yからすれば、「買主はYではない。」ことに利害関係があっても、「XとAの売買契約が成立する」ことまで利害関係を持ちません。
また、前訴訟の請求原因は、「XとAの売買契約」です。前訴で判断されたことは、「XとAの売買契約」が認められないことであって、「買主がYである。」ことは積極的否認に過ぎません。前訴の裁判所が、「買主がYである。」との請求原を認定したわけではありません。
したがって、Yは前訴の訴訟の結果につき法律上の利害関係を有していたとはいえない、と判断された。
参考
田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 375頁以下






