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民事訴訟

Q 事案解明義務について教えて下さい。

2026/04/26 更新

事案解明義務

(1)立証責任を負わない当事者であっても、一定の要件のもとに、主張立証責任を負うことがあるとされます。
(2)当事者には、誠実な訴訟活動として真実の解明に協力する義務があり(訴訟における信義則・民事訴訟法2条)、事案解明義務の根拠も信義則です。(田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 239頁)

要件
①客観的主張・立証責任を負う当事者が事件の事実関係から隔絶されていた。
②客観的主張・立証責任を負う当事者が事実関係を知り得なかったことまたは事実関係から隔絶されたことにつき、非難される事情がない。
③客観的主張・立証責任を負う当事者が自らの主張について具体的手がかりを提示している。
④客観的主張・立証責任を負わない相手方当事者に、具体的事実主張をし証拠を提出するよう(事案を解明するよう)きたいすることが可能である。

効果
(1)客観的主張・立証責任を負わない相手方当事者に、具体的事実主張をし証拠を提出する義務を負う。
(2)相手方当事者がこの義務に違反し、かつ、当該主張事実が真偽不明のときは、客観的主張・立証責任を負う当事者の主張が事実であると擬制される。

参考
 田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 239頁

最判平成4年10月29日民集46巻7号1174頁

「(1)原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、原子力委員会もしくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議および判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、右調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設が右の具体的審査基準に適合するとした原子力委員会もしくは原子炉安全専門審査会の調査審議および判断の過程に看過し難い過誤、欠落があり、
被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に不合理な点があるものとして、右判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。
(2)原子炉設置許可処分についての右取消訴訟においては、右処分が前記のような性質を有することにかんがみると、被告行政庁がした右判断に不合理な点があることの主張、立証責任は、本来、原告が負うべきものと解されるが、当該原子炉施設の安全審査に関する資料を全て被告行政庁の側が保持していることなどの点を考慮すると、被告行政庁の側において、まず、その依拠した前記の具体的審査基準並びに調査審議および判断の過程等、被告行政庁の判断に不合理な点のないことを相当の根拠資料に基づき主張、立証する必要があり、被告行政庁が右主張、立証を
尽くさない場合には、被告行政庁がした右判断に不合理な点があることが事実上推認されるものというべきである。
(3)本件原子炉設置許可処分を適法であるとした原審の判断は、正当として是認することができる。」

(1)本判決は、情報(証拠)偏在型訴訟においては、圧倒的に多くの情報(証拠)を保有する側の当事者が、自らの保有する情報(証拠)に基づいて主張・立証(事案解明義務)を果たさないときには、客観的主張・立証責任を負う当事者の主張した具体的事実を認定するのが相当である、という事案解明義務類似の考え方を採用しました。
(2)次に、本判決は、「不合理な点ある」という表現をしていますが、要件事実の観点では、「不合理と評価すべき具体的事実が存在する。」という意味だと理解すべきです。
(3)最後に、被告行政庁がその義務を果たさない場合の効果について、不合理な点があると「事実上推定される。」としています。推定とは、主張事実が存在すると認定することを意味します。しかし、「被告行政庁がその義務を果たさないときには、相手方当事者が主張する事実が存在する。」との経験則が働くかは疑問の余地があります。したがって、「推定される」という表現がされているが、「犠牲される。」と理解すべきとされます。
参考
 田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 240頁、241頁、242頁
 田中豊 「事実認定の考え方と実務〔第2版〕」25頁以下

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