Q 補助参加の利益について詳しく教えて下さい。
2026/04/26 更新
補助参加の利益
補助参加の利益
(1)補助参加するには、「訴訟の結果について利害関係を有する」(補助参加の利益)を有していることです(民事訴訟法42条)。
(2)「訴訟の結果について利害関係を有する」は、① 補助参加人の法律上の地位(法律上の利害関係)、②訴訟の結果、③②によって③がどのような影響を受けるかを考慮して判断します。
参考
長谷部由起子「基礎演習 民事訴訟法 第3版補訂版」268頁以下。
| 民事訴訟法42条 補助参加 訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。 |
補助参加の利益と具体例
先決型
(1)この類型では、第三者に補助参加の利益を認めることに争いはない。
(2)例えば、保証債務履行請求訴訟に主債務者が参加する場合、当該訴訟の判決で「保証債務の存在」が認められると求償請求訴訟では、保証人の主債務者に対する求償権の存在にとって、「保証債務の存在」が先決問題になるため、補助参加の利益が認められる。
同種事件型
訴訟物限定説と訴訟物非限定説
(1)当事者と同一の地位、境遇にある第三者が、当事者の訴訟に補助参加する場合、訴訟物限定説では補助参加の利益は認められない。
(2)これに対し、訴訟物非限定説では、他人間の訴訟の理由中で認定された事実について、第三者の訴訟においても、同一の資料を証拠として提出することで同様の認定される可能性があることをもって、補助参加の利益を認められる可能性がある。
交通事故
(1)例えば、同一事故の被害者の加害者に対する損害賠償請求訴訟に他の被害者が参加する場合、当該訴訟の判決で、被害者の加害者に対する損害賠償義務が認められても、他の被害者による損害賠償請求訴訟では、加害者に対する他の損害賠償義務の存在は先決問題ではないから、訴訟物限定説では補助参加の利益は認められない。
(2)これに対し、訴訟物非限定説では、他人間の請求認容判決の理由中で認定された加害者の過失の存在について、他の被害者の訴訟にて同一の資料を証拠として提出することで同様の認定される可能性があることをもって、補助参加の利益を認められる可能性があります(名津井吉裕ほか「事例で考える民事訴訟法 」386頁、387頁)。
東京高決昭和49年4月17日下民集25巻1~4号
例えば、薬害訴訟で、同一の薬品の成分の欠陥が原因でスモン病患になったとして、薬剤メーカーが損賠賠償請求の被告となっている場合、同一のスモン病患者から別の訴訟にて損害賠償請求を求められている医師には補助参加の利益を認められないとされた。 (長谷部由起子「基本判例から民事訴訟法を学ぶ」275頁)
| これに対して、例えば、薬害訴訟で、同一の薬品の成分の欠陥を理由にある薬剤メーカーが損賠賠償請求の被告となっている場合、当該薬品成分の欠陥が判決理由中で認められてしまうと、他の薬剤メーカーも同様に損害賠償請求を提起される。この場合に、他の薬剤メーカーについては補助参加の利益を認められる可能性があると指摘されます (勅使川原和彦 「読解 民事訴訟法」230頁 |
最判平成13年1月30日民集55巻1号30頁
取締役会の意思決定の違法を理由とする株主代表訴訟における会社の補助参加の利益について、取締役会の意思決定の違法を原因とする損害賠償請求が認められれば、その意思決定を前提として形成された会社の私法上・公法上の的地位・法的利益に影響し、会社は取締役の敗訴を防ぐことに法律上の利害関係を有する。
| (1)最判平成13年1月30日民集55巻1号30頁は、特殊な事案である(越山和広「ロジカル演習 民事訴訟法 補訂版」 13頁)。 (2)取締役会の意思決定の違法が認定されれば、会社の各期の計算関係、ひいては会社の取引関係に大きな影響があることから、特別に補助参加の利益が認められたと考えることもできる。 (3)例えば、上記判例後に成立した会社法849条1項により、株主代表訴訟における会社の被告側補助参加は明文で認められている(山本和彦「Law Practice民事訴訟法〔第5版〕」345頁)。 |
択一関係型
契約の相手方が二者択一であり、第一の訴訟が第二の訴訟の前後関係にある場合
最判平成14年1月22日判時1776号67頁
XからAに対する代金支払請求訴訟(前訴)で、Aから買主はYである旨の主張があったので、XからYに対し訴訟告知がされた事案で、XのAに対する代金請求訴訟において、、「買主がYである。」とされて、「XとAの売買契約」が認められなかった。
前訴の判決はZの法的地位・法的利益に影響を及ぼすものではなく、Zは前訴の訴訟の結果につき法律上の利害関係を有していたとはいえない、と判断された。
| (1)本判決は、訴訟物非限定説を前提にします。また、本判決では、参加的効力を持つ理由中の判断も「主要事実の判断に限られる。」という見解を採用しています (2)本件の前訴訟の請求原因は、「XとAの売買契約」です。まず、Xは、「XとAの売買契約」であると主張しています。Yからすれば、「買主はYではない。」ことに利害関係があっても、「XとAの売買契約が成立する」ことまで利害関係を持ちません。 また、前訴訟の請求原因は、「XとAの売買契約」です。前訴で判断されたことは、「XとAの売買契約」が認められないことであって、「買主がYである。」ことは積極的否認に過ぎません。前訴の裁判所が、「買主がYである。」との請求原を認定したわけではない。 したがって、Yは前訴の訴訟の結果につき法律上の利害関係を有していたとはいえない、と判断された。 参考 田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 375頁以下 |
参考
民事訴訟法判例百選(第6版)206頁






