Q 通常共同訴訟と、その運営(共同訴訟人独立の原則)について教えて下さい。
2026/10/27 更新
通常共同訴訟
(1)通常共同訴訟の要件は、「権利・義務が共通している場合や、同一の事実・法律上の原因に基づいている」場合に成立します(民事訴訟法38条)。
(2)交通事故の加害者1人に対し、被害者Aと被害者Bが共に賠償請求する等が例となります。
共同訴訟人独立の原則
(1)通常共同訴訟は、個別の事件について一定の関連性があるため (民事訴訟法38条)、 1つの手続に併合されているに過ぎない。
(2)証拠共通の原則を除いて、共同訴訟人の1人の訴訟行為は、他の共同訴訟人に影響を与えない(民事訴訟法39条)(共同訴訟人独立の原則)。
| 民事訴訟法38条 共同訴訟の要件 訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務が同種であって事実上及び法律上同種の原因に基づくときも、同様とする。 民事訴訟法39条 共同訴訟人の地位 共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。 |
主張共通は適用されない
共同訴訟人の一人がした事実主張について、他の共同訴訟人が援用しない場合には、その事実主張は他の共同訴訟人に影響を与えない(民事訴訟法39条)。
| (1)共同訴訟人の一人がした訴訟行為(自白、期日の欠席、訴えの取下げ、訴訟上の和解、上訴の提起)は、他の共同訴訟人に影響を与えない(民事訴訟法39条)。 (2)共同訴訟人の一人に生じた事項(訴訟の中断、上訴期間の経過)は、他の共同訴訟人に影響を与えない(民事訴訟法39条)。 (3)裁判所は、審理の状況から弁論および裁判を分離できる。つまり、いったん成立した共同訴訟を個別訴訟に戻すことができます。 |
証拠共通の適用
(1)共同訴訟人の一人が提出した証拠は、他の共同訴訟人が援用しなくても、他の共同訴訟人の訴訟の事実認定で使われます。これが証拠共通の原則です。
(2)真実は、一つしかありません。証拠共通の原則の根拠は、このように考えないと、裁判所が正しいと思える事実を認定することができなくなるからです。(自由心証主義)
(3)証拠共通は、「共同訴訟人独立の原則」の例外です。
参考
長谷部由起子「基礎演習 民事訴訟法 第3版補訂版」223頁。
| 司法試験令和2年では、共同訴訟人の一人が証拠を提出したが訴えを取り下げた場合に証拠共通の原則が適用されるか出題された。 訴えの取下げ法律上は、共同訴訟人の提出した証拠について証拠調べもなかったことになる(民事訴訟法262条)。しかし、提出されてしまった証拠を裁判官は見てしまっている。これを事実認定の基礎にできないとすれば、裁判所は正しいと思える事実を認定することができなくなる。 したがって、これをどのように処理すべきか、が問われた。 |
| 司法試験18年では、個別訴訟を併合して共同訴訟となった。併合前に書証の提出や、尋問手続が行われた場合に証拠共通の原則が適用されると、他方の共同訴訟人の手続き保障を欠かないか、という点が出題された。 書証の提出については、反論やこれに対応する書証の提出を認めればよいが、尋問については反対尋問等の問題があり、尋問手続をやり直さなければ手続き保障を欠くのではないか、という点が問われた。 |




