Q 通常共同訴訟において、共同訴訟人の主張が一致しないために、裁判所が認定する事実が実体法上矛盾することに問題はないのか。
2026/04/15 更新
通常共同訴訟
(1)通常共同訴訟の要件は、「権利・義務が共通している場合や、同一の事実・法律上の原因に基づいている」場合に成立します(民事訴訟法38条)。
(2)通常共同訴訟では、本来、個別の事件が、一定の関連性があるため (民事訴訟法38条)、 1つの手続に併合されているに過ぎない。
証拠共通の原則を除いて、共同訴訟人の1人の訴訟行為は、他の共同訴訟人に影響を与えない(民事訴訟法39条)(共同訴訟人独立の原則)。
| 民事訴訟法39条 共同訴訟人の地位 共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。 |
共同訴訟人独立の原則
(1)共同訴訟人の一人がした事実主張について、他の共同訴訟人が援用しない場合には、その事実主張は他の共同訴訟人に影響を与えない(民事訴訟法39条)。
(2)通常共同訴訟でも、裁判所が認定する事実が実体法上矛盾することは避けるべきである。
(3)通常共同訴訟において、共同訴訟人の主張が一致しないために、裁判所が認定する事実に違いが出る場合には、裁判所は共同訴訟人に、主張の整理を釈明すべきである。
(4)しかし、共同訴訟人の一人が欠席した場合には、他の共同訴訟人の一人がした事実主張について、援用しないために、弁論主義の第一テーゼによって、裁判所が認定する事実が実体法上矛盾することがありえます。
実体法との矛盾
(1)例えば、主債務者と保証人が共同被告人となっている通常共同訴訟において、保証人が欠席すれば、裁判所が認定する事実が実体法上矛盾することがありえます。
| 実体法上の問題 例えば、主債務者と保証人を共同被告人とする通常共同訴訟にて、主債務者の勝訴が確定したが、保証人は欠席したために敗訴した。保証人が敗訴して履行した後に、債務者に対し求償請求をすることは考えられ、「主債務者は勝訴した意味がなくなる。」という批判があります |
(2)そこで、学説において、「主債務者には保証人のために補助参加する利益があるので、補助参加の申し出をしてくても、補助参加をしたのと同一の効力を認めてよい(当然の補助参加理)」という考え方があります。
(3)しかし、判例(最判昭和43年9月12日民集22巻9号1896号)は、補助参加の申出がない限り、補助参加がされたのと同じ効力は認められない、と判断しました。
最判昭和43年9月12日民集22巻9号1896号
(1)判例(最判昭和43年9月12日民集22巻9号1896号)は本判決は、以下のように述べています。
(2) 「通常の共同訴訟においては、共同訴訟人の一人のす る訴訟行為は他の共同訴訟人のため効力を生じないのであって、たとえ共同訴訟人間に共通の利害関係が存するときでも同様である。 したがって、共同訴訟人が相互に 補助しようとするときは 補助参加の申出をすることを要するのである。 もしなんらかかる申出をしないのにかかわらず、共同訴訟人とその相手方との間の関係から見て、その共同訴訟人の訴訟行為が、他の共同訴訟人のた め当然に補助参加がされたと同一の効果を認めるものとするときは、果していかなる関係があるときこのような効果を認めるかに関して明確な基準を欠き、徒らに訴訟を混乱せしめることなきを保しえない。」
(3)本判決は、たとえ、補助参加の申出がされたとしても、補助参加の利益が認められないために、補助参加は認められない事案でしたが、本判決は一般として、補助参加の申出がない限り、補助参加がされたのと同じ効力は認められない、と判断しました。
参考
長谷部由起子「基本判例から民事訴訟法を学ぶ」256頁以下






