Q (口頭弁論終結前の)訴訟承継とは何ですか。
2026/04/20 更新
訴訟承継
訴訟係属中の訴訟物である権利義務関係の変動による、当事者を交代させる制度です。
当然承継
(1)実体法上の、相続、 吸収合併など、包括承継が生じれば、民事訴訟上の当然承継の問題となります。
(2)承継原因の発生により原則として訴訟手続は中断し(民事訴訟法124条1項前段)、承継人もしくは相手方が受継の申立てをするか、または裁判所が続行命令をすることにより、訴訟手続が続行されることになっています(民事訴訟法(民事訴訟法124条1項後段、126条、129条)。
| 民事訴訟法124条 訴訟手続の中断及び受継 次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。この場合においては、それぞれ当該各号に定める者は、訴訟手続を受け継がなければならない。 一 当事者の死亡 相続人、相続財産の管理人、相続財産の清算人その他法令により訴訟を続行すべき者 二 当事者である法人の合併による消滅 合併によって設立された法人又は合併後存続する法人 (以下省略) |
参加承継・引受承継
(1)訴訟係属中の訴訟物たる金銭債権の譲渡を受けたり、訴訟当事者から目的物の所有権(もしくは占有)の譲渡(設定)された場合(以下、係争物の譲渡という。)には、参加承継・引受承継の問題です。
(2)参加承継においては、承継人が訴訟への参加を申し出る必要があり (民事訴訟法49条、51条)、 引受承継においては、承継人の前主の相手方が訴訟引受けの申立てをする必要があります(民事訴訟法50条、51条)。
(3)係争物譲渡がされても参加承継も引受承継も行われず、従前の当事者と相手方の間で判決がされて確定した場合には、その判決の効力は承継人には及びません。
承継人に判決の効力を及ぼすためには、参加承継または引受承継により、承継人を当事者とする必要があるのです。このような建前は、訴訟承継主義と呼ばれています。
| 民事訴訟法49条 権利承継人の訴訟参加の場合における時効の完成猶予等 1項 訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張する者が第四十七条第一項の規定により訴訟参加をしたときは、時効の完成猶予に関しては、当該訴訟の係属の初めに、裁判上の請求49があったものとみなす。 2項 前項に規定する場合には、その参加は、訴訟の係属の初めに遡って法律上の期間の遵守の効力を生ずる。 民事訴訟法50条 義務承継人の訴訟引受け 1項 訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。 2項 裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。 3項 第四十一条第一項及び第三項並びに前二条の規定は、第一項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。 民事訴訟法51条 義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け 第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。 |
| 判例の立場は、民事訴訟法115条1項3号の承継人について、① 前訴確定判決の訴訟物である権利義務自体を承継した者、 ② 訴訟物である権利義務を先決関係とする権利義務を承継した者のみならず、③前訴の口頭弁論終結後に係争物の所有名義または占有を承継するなどした第三者が現れたときに、実体法を適用した結果、 前訴の当事者の地位に依存する関係に立つ者と判断された者を「口頭弁論終結後の承継人」 と認めています。 (田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 69頁以下。) |
承継人の定義
| 承継人 | 理由 |
| 訴訟物となる権利関係の権利者もしくは義務者という当事者適格を承継した者である。(適格承継説) | 適格承継説は、承継人の地位を訴訟物たる権利関係の当事者適格の点で説明しようとする立場です。 |
| 紛争主体たる地位を承継した者である。(紛争主体説) | (1)紛争主体説は、当事者適格(訴訟物)の承継以外でも、承継人となることを説明する立場です。 (2)しかし、紛争主体という意味は不明確です。 |
訴訟承継の効果
(1)当然承継においても参加承継・引受承継においても、承継人は、承継原因が生じた時までに形成された従前の当事者(前主) と相手方の間の訴訟状態を、全面的に(有利・不利を問わず) 引き継ぎます。
(2)たとえば、承継人は前主がした自白に反する主張をすることができず、時機に後れたものとして前主がすでに提出できなくなっている攻撃防御方法を提出することもできません。
(3)承継人のみが有する攻撃防御方法(前主は提出することができない、承継人に固有のもの)を承継人が提出することは妨げられません。この点は、口頭弁論終結後の承継の地位と同様です。
参考
長谷部由起子「基本判例から民事訴訟法を学ぶ」297頁






