Q 60歳以上の会社の役員は在職老齢年金制度との関係で、役員報酬額をいくらに設計すべきですか。
2026/04/07 更新
在職老齢年金制度
(1)在職老齢年金制度は、60歳以上で働きながら老齢厚生年金を受給する人が、一定額以上の報酬のある場合、年金支給額が一部または全部支払われなくなる制度です。
(2)60歳以上の会社の役員は、老齢厚生年金を受給するために、在職老齢年金制度との関係で、給与額をいくらに設計すべでしょうか。
在職老齢年金制度の停止額の計算式
厚生年金の月額 = (老齢厚生年金の報酬比例部分) ÷12か月
総報酬月額 = ボーナスを含めた、年収の12分の1の標準報酬月額
在職老齢年金制度の基準額 =令和8年4月より、在職老齢年金制度の基準額が 65万円となりました。
年金停止額
年金停止額 = (厚生年金の月額 + 総報酬月額 − 在職老齢年金制度の基準額の65万円) ÷ 2
事例
厚生年金
日本年金機構の年金通知書(ハガキ)により、。在職老齢厚生年金の年額が144万円だと確認した。
月額年金額は、144万円÷12か月=12万円・・・①
給与月額
月額の役員報酬は、賞与なしの60万円円だった。標準報酬月は59万円・・・②
(標準報酬月額と、報酬月額は異なる。ここでは、標準報酬月額を使います。)
年金停止額
(①+②−65万円) ÷ 2 = 3万円です。
役員報酬の変更
会社の役員は報酬を50万円に下げて、老齢厚生年金を全額受け取りたい、と考えた。
(①12万円+②50万円−65万円) ÷ 2 ≦ 0であり、計算上は、支払停止されない。
問題1(役員報酬を下げれる月)
(1)従業員の給与と違って、役員給与の変更時期は、原則として事業年度開始の日から3カ月以内と限られています。
(2)これを過ぎると、損金算入されなくなります。
問題2(標準報酬月額)
(1)報酬月額を50万円に引き下げても、 すぐに年金を全額受け取ることはできません。
(2)標準報酬月額等級で2等級以上引き下げても、その月額給与を3か月支払った後にしか、月額変更届を年金事務所に提出できないからです。つまり報酬月額を下げてから、4か月以上の期間が必要です。
問題3(下げた報酬額の補填)
(1)役員が報酬を下げたとしても、その不足額を同経理処理すべきでしょうか。
(2)一つは退職金として後日受け取ることが考えられます。もっとも、10年後となれば、退職金についての法制度がどうなっているかは不明です。
(3)もう一つは、会計上「役員貸付金」として支給することが考えられます。しかし、このような会計処理についての銀行等の関係もあり、税理士の調整が必要です。






