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労使紛争

Q 解雇が無効になれば、労働者が就労の意思及び能力を有している限り、会社に対し判決確定日までの給与額の支払いが命じられます。どのような事情があれば、就労の意思がを喪失したと扱われるのか。

2026/06/17 更新

「就労の意思」の喪失

(1)解雇が無効になれば、労働者が就労の意思及び能力を有している限り、会社に対し判決確定日までの給与額の支払いが命じられます。

(2)どのような事情があれば、就労の意思がを喪失したと扱われるのか。

(3)基本的には、①他の就職先での安定的な雇用、②解雇の訴訟提起までの期間、③他の就職先での雇用条件が良いこと等が、「就労の意思」の喪失として考慮されると考えられます。

東京高判令和7年5月15日 

1 事情

 原告は被告会社を解雇された後に、A社に入社した。

2 判決

(1)A社での試用期間期間終了した令和4年8月31日をもって被告会社への就労意思を失った。

(2)解雇無効を前提としたバックペイとしての給与の支払い額について、解雇された令和4年3月から、A社での試用期間終了後までの令和4年8月までの6か月間とし、支払額も中間収入控除後の6割相当額としました。

3 理由

(1)A社の待遇が月額77万円であり、被告会社の51万円を大幅に上回ったこと

(2)A社での試用期間が満了し、職務能力がないとして解雇されるリスクが大幅に低下したこと

東京高判令和7年3月26日 

1 事情

(1)令和3年12月、原告は被告会社を解雇された。

(2)原告がA社に入社した。

2 判決

 解雇無効を前提としたバックペイとしての給与の支払い額について、解雇された令和3年12月から、令和5年6月までの1年6か月間とし、支払額も中間収入控除後の6割あでの相当額としました。

3 理由

(1)原告が被告に在籍していた期間は4か月であったこと

(2)令和3年12月に解雇撤回要求をしてから、令和5年10月に訴訟的するまで1年10か月の間、原告が何らの手続きをしなかった。

(3)令和4年7月1日に別会社に就職し、令和6年11月まで安定して雇用関係が維持されている。

4 解説

 以上の事実が考慮されて、上記の結論が出された。

参考

 ビジネスガイド2026年7月号30頁

A社での試用期間が満了し、職務能力がないとして解雇されるリスクが大幅に低下したこと

判決後の控除

(1)判決では、所得税、社会保険(厚生年金など)、雇用保険について控除が認められません。したがって、給与額全額を支払え、との判決となります。

(2)しかし、会社が従業員に対し任意で支払う場合には、所得税、社会保険(厚生年金など)、雇用保険を控除して支払うことが認められています(高松高判昭和44年9月4日高民22巻4号615頁)。

(3)したがって、判決では、「所得税、社会保険(厚生年金など)、雇用保険について控除が認められず、、給与額全額を支払え」という内容であっても、これらを控除した金額を支払えば、未払賃金全額を支払ったことになります(東京高判例令和6年4月16日判タ1530号76頁)。

参考

 判例タイムズ1530号76頁

判決後の交渉

(1) 実際の事案では、遅延損害金等の計算も問題となります。
(2) したがって、弁護士間で、支払日を決めて、その支払日までの遅延損害金を計算して、公租公課の金額を控除した金額について、相互に確認してから振り込むことが多いでしょう。

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