判例 神戸弘陵学園事件(最判平成 2 年 6 月 5 日)
2026/06/21 更新
民集44巻4号668頁)
事案
教師は、高校との雇用契約の成立後に、雇用期間を1年間とする雇用契約書(職員契約書)に署名した。
| 詳しい概要 (1)新設の高等学校で一度に大量の教師を採用する必要があり、学校教育は1年単位行われるから、1年の雇用契約の後について、多くの教師との間では継続雇用が予定されていた。 (2)教師は他校への就職内定を辞退して、高校と雇用契約を締結しており、継続的な雇用継続を期待していた。 (3)高校(の理事長)は、雇用期間の1年を「一応」のものと説明していた。 (4)教師が雇用期間を1年間とする雇用契約書(職員契約書)に署名したのは、雇用契約後であった。 |
判決
(1)雇用契約に期限を定めた趣旨が労働者の適性を判断するためのものであるときには、その期間は有期雇用ではなく、試用期間である。
(2)試用期間の終了に基づく雇用契約の終了は解雇であるから、解雇の要件を満たすかは判断するために原審に差し戻して審理されるべきである。
解説
(1)試用期間の満了は有期雇用の雇用契約の満了とは異なります。期間満了だけを理由にして雇用契約を終了させることはできません。試用期間の満了を理由とする雇用契約の終了は一種の解雇です。普通解雇と比べると要件が緩和されると言われているが、合理的理由が必要となります。また、解雇ですので、解雇予告手当の支払い義務も問題となります。
(2)神戸弘陵学園事件(最判平成 2 年 6 月 5 日民集44巻4号668頁)は、 新規採用においてその適性を評価するための期間として期限付の雇用契約を締結した場合には、その期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であるとした判例です。なお、同事件については、「有期契約」の事案であるのか曖昧な事案であるとも言われます。
(3)これに対して、九州女子短大事件(最判平成28年12月1日)では、1年の有期雇用を締結し、規定には更新限度を3年とする旨の定めがある事案で、3年での雇い止めを有効とした事案もあります。
(4)雇用契約後に、「雇用期間を1年間とする雇用契約書(職員契約書)に署名させた」という事案です。つまり、本件については、そもそも「有期雇用の合意」が存在したのか、疑問がある事例です。
参考
ビジネスガイド2024年3月号105頁
ビジネスガイド2026年7月号84頁以下






