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予防法務

【法令】定年延長と、継続雇用制度

2024/10/06 更新

定年延長と、継続雇用制度

(1)例えば、65歳まで雇用継続をする場合には、定年延長と、継続雇用制度の二種類があります。
(2)どちらを利用するにも、定年後の業務内容と賃金を決めておく必要があります。
(3)①賃金を下げるとモチベーションが下がるので、賃金と業務内容をそのままにする方法、②業務内容をそのままに賃金をだけを下げると、実力ある社員が出ていき、実力のない社員だけが残ることになるので、基準を設けて賃金と業務内容に明確な差を設ける方法、③仕事の範囲や責任を限定させたセミリタイヤ型の労働条件を設定する方法があります。
(4)社員から個別に労働条件を話し合いたいと申し出があった場合にこれに応じるかも決めておく必要があります。

定年延長

(1)定年延長の場合には、基本的には、給与も業務も従前どおりのまま延長することになります。
(2)役職定年を入れることも考えられます。人材の若返りを目的として、60歳になければ管理職を辞めなければならいとする、役職定年を入れることも考えれます。

雇用継続制度

(1)高年齢者雇用安定法は、65歳までの雇用継続を義務付けています。
(2)例えば、60歳定年の会社では、60歳で雇用契約を終了します。その後、60歳を超えてから65歳までの間について、会社と従業員が話し合って、新しい雇用契約を結ぶのが継続雇用制度です。再雇用後は、1年更新の雇用契約を締結し、嘱託社員と呼ぶことが多いです。
(3)定年延長よりも、雇用契約制度の方が労働条件を変更しやすい、というメリットがあります。

定年延長と実務対応

(1)継続雇用制度を採用していた会社が、定年延長に変更するには以下の手続きが必要になります。
(2)特に、継続雇用制度の基に賃金カットされた社員と、定年延長により従前の賃金水準で働く社員が生じると、社員間の不満が出かねません。この点が特に注意が必要です。

1 定年延長後の賃金

 定年後の業務内容と賃金を決めておく必要があります。

2 継続雇用制度の従業員の扱い

(1)継続雇用制度の基に賃金カットされた社員と、定年延長により従前の賃金水準で働く社員が生じると、社員間の不満が出かねません。
(2)継続雇用制度の賃金基準を引き上げる。希望があれば、定年延長後の正社員にする、等の制度が考えられます。
(3)定年延長を65歳とするのではなく、定年を60歳から62歳にする等の段階的な対応をすることも考えられます。継続雇用制度と定年延長社員の待遇差が生じる人材を少なくでき、対応が容易になります。

3 離職理由と就業規則

(1)60歳から65歳に定年を延長したが、60歳で退職したいという希望があった場合に、雇用保険の退職理由は自己都合となるのか。それとも、定年退職となるのか。
(2)「就業規則に、定年退職として扱う。」と記載すれば、定年退職として扱うことが可能です。実際には、就業規則の制度案を作ってハロワークと調整することが必要です。

4 60歳での退職金の支払いと、退職所得控除

(1)60歳から65歳に定年を延長したが、「60歳で一度退職金を支払ってほしい。」と言われた場合に、その従業員は在職したままとなります。この場合に退職所得控除を受けれるでしょうか。
(2)定年延長前に「60歳で退職金をもらえる。」と設計していた場合に、「65歳にならないと退職金が支払えない。」と規定することは不利益変更になります。
(3)この場合、会社は60歳の時点で退職金を支払う必要がありますが、その従業員は在職したままとなります。
(4)入社時に、60歳で定年であった人については退職所得控除が使えるとされていいますが、最終的には個別判断になりますので、税務署に確認することが必要になります。

5 退職金制度

(1)退職金は勤務年数に応じて金額がアップする設計になっていることが多いです。しかし、定年を60歳から65歳に延長しても、金額は60歳以上増えないと規定することは可能です。
(2)定年を延長した場合の退職金制度を検討する必要があります。

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