Q 公益通報窓口の設置義務として具体的には何をするべきですか。
2026/08/15 更新
公益通報窓口(に従事する者)
(1)公益通報者保護法により、常時雇用する労働者が300人以上の事業主は、公益通報窓口(に従事する者)を定めなければなりません(公益通報者保護法11条3項)。
令和8年12月1日より、公益通報の窓口の周知が義務付けられます(公益通報者保護法11条2項)。
(2)公益通報窓口に従事する者は、公益通報の実行を確保するための措置をとる必要があります。
公益通報窓口の周知
(1)令和8年12月1日より、公益通報の窓口の周知が義務付けられます(公益通報者保護法11条2項)。
(2)公益通報者保護法の保護対象は、フリーランスにも及びます。彼らにも公益通報の窓口を周知することが必要です。
(3)HPや、契約書時の案内、フリーランスの名簿の確保して定期的に連絡することが考えられます。
従業員への教育
1 公益通報窓口に情報共有
(1)部下から上司への相談も公益通報の一つとして解釈されます。
したがって、相談を受けた上司は、部下との相談のうえで、公益通報窓口に情報共有をする義務があることを説明すべきです。
(2)また、公益通報者は正義感の強い者が多く、この意見を無視すると、監督官庁やマスコミ等にリークする等問題が大きくなりがちです。このような事実についても周知すべきです。
2 犯人捜しの禁止や、口止めの禁止
(1)公益通報者を妨害したり、禁止したりする行為は禁止されています(公益通報者保護法11条の2)。したがって、フリーランス等にこの件は黙っていてほしいと頼んだり、機密情報保護を理由に公益通報を思いとどまるように説得する行為は禁止されます。
(2)公益通報者の特定(犯人探し)は禁止されています(公益通報者保護法11条の3)。したがって、公益通報者を特定する情報を秘して、会社の公益通報窓口(に従事する者)に情報共有をする義務があることも教育すべきです。例えば、「A部署の女性からの情報で」という公益通報の内容が、A部署に女性が3人しかいない場合に、個人の特定につながります。この点の配慮が必要です。
3 不利益行為の禁止
公益通報した社員、役員、フリーランスに対し、不利益処分をすることが禁止されます。
4 公益通報の濫用の禁止
(1)公益通報があれば、会社は調査義務を負い、コストを負担します。
(2)公益通報の要件を正しく伝えて、濫用的な公益通報が許されないことを伝える必要があります。
(3)公益通報における会社の義務は、正しく調査するまでです。例えば、調査しても違法行為が認められなかった場合には、それ以上の調査を求めることはできません。
感情的になって、同じ調査を、別々の名目で再調査を求めるような行為は、公益通報の濫用とされる可能性があります。
予算の確保、相談先の確保
(1)公益通報窓口(に従事する者)は、調査をする。どれくらい予算をかけるか決める権限と責任があります。
(2)調査をするには、費用が必要であり、予算の確保が必要です。
(3)公益通報窓口(に従事する者)の相談先を決めておく必要があります。
例えば、社内の担当者が、調査の必要がないと判断したことが後日問題となることもあります。
したがって、公益通報窓口(に従事する者)が、一人でこれらを決めることは危険です。
この場合に、誰に相談するかをルールを決めておきましょう。
| 社外取締役、監査役 社外取締役等がいれば、同人に相談するのが無難でしょう。 顧問弁護士 会社の不正の調査を顧問弁護士に相談すると、後日、会社側の弁護士として依頼できなくなる可能性があります。 顧問弁護士以外の弁護士 顧問弁護士に、知り合いの弁護士を紹介してもらいましょう。 監督官庁 会社の名前を秘して、どうすればよいのか相談することになるでしょう。 |
予算の確保と事前の契約
(1)実際に調査をするとなれば、独立して、弁護士等の第三者にお金を支払って調査を依頼することになります。(2)そのための予算であったり、契約内容(独断で契約できる権限)を事前に決めておく必要があります。
(3)ある程度の予算の確保と、合理的範囲内であれば、独断で契約できることが必要でしょう。
(4)例えば、取締役に対する調査が必要だと判断され、顧問弁護士に依頼する費用が必要になったが、その費用について取締役会の承認が必要であれば、実効性を欠くことになります。
(5)例えば、役員への調査が必要な場合には、その調査の是非について、役員以外の人物が決済できるような決まりが必要です。
参考
ビジネスガイド2026年9月号30頁以下




