フリーランスの活用と戦略
2024/10/06 更新
フリーランスの活用
プログラマー、データサイエンティスト、プロジェクトマネージャー、CFO(社外取締役)等の専門職についてフリーランス(及びこれを仲介するサービス)を活用する動きがあります。
ギグワーカーとの違い
(1)フリーランスの活用は、キガワーカーの活用とは違います。
(2)ギグワーカーは、インターネット上のサービスを介して単発の仕事を請け負う労働者のことです。
(3)フリーランスの活用としては、準社員のようなメンバーとして仲間として迎えます。
(4)これに対して、キガワーカーについては、社内の「単純労働」を切り離し、(社員の賃金と比べて)低い賃金水準にて仕事をお願いする取り組みです。
人手不足と活用
(1)ビジネスは複雑になっており、専門家の確保が必要となってきました。
(2)人手不足の解決策として、フリーランスの有効活用も有効な方法の一つです。
(3)専門家を必要な期間だけ活用することになるので、仕事のスピードは4️倍、(社員を採用して教育することと比べれば)コストは10分の1になることもある、と言われています。
フリーランスの活用の専門部署
(1)企業がフリーランスの活用を考えるのであれば、企業内に専門部署を設けるべきです。
(2)フリーランスの活用は、現場のマネージャーが主導する必要があります。
(3)プロジェクトを進めることや、そのメンバーを決めるのは、現場のマネージャーの仕事です。したがって、そのプロジェクトにどんな人材(社内の人材、社外の人材)が必要かも、現場のマネージャーにしか判断できません。
(4)しかし、現場のマネージャーが、フリーランスを活用した経験はないことが多いでしょう。専門部署が、現場のマネージャーに対し、活用のノウハウをレクチャーすることが必要になります。
最初の一歩
(1)今まで試していない物事を試してもらうことは難しいことです。フリーランスの活用も同じです。
(2)社内でもっとも苦労しているプロジェクトに以下の質問を投げかけてもよいでしょう。
「月末になっても、やるべき仕事が終わっていないことはありませんか。」
「さらに、時間があれば、よりよい意思決定ができませんか。」
「戦略会議の時間がとれていますか。」
「仕事が終わらせるために、夜中や週末に働いていませんか。」
プラットフォームの選択
(1)プログラマー、データサイエンティスト、プロジェクトマネージャー、CFO(社外取締役)等のフリーランスを紹介しているプラットフォームを選びましょう。
(2)採用までの事務コスト、費用、紹介される人材の質等が問題になります。
(3)複数のプラットフォームを活用しながら、費用対効果の測定が必要です。
フリーランスの採用
(1) フリーランスに仕事を依頼することは、準社員として採用するのと同じです。
(2)フリーランスの活用は、現場のマネージャーが主導するが、専門部署がサポートする仕組みが必要です。
フリーランスのマネージメント
(1) フリーランスには、スター人材と同じような形で、マネージメントすることが必要になります。
(2)フリーランスに対し社内文化の研修等が大切になってきます。
(3)フリーランスには、帰属意識の問題があります。
成果物(データ)、ノウハウ(知的財産)が流出しないように、これを一括管理することが必要です。
仕事によって発生した知的財産の帰属についても明確にしておく必要があります。
メンバーが入れ替わっても、ノウハウが承継される仕組み作りが必要です。
(4)フリーランスには、「やりがいのある課題を与え、目標を達成できる環境を整えて自由にやらせてあげる」ことが大切です。
従業員に対するマネージメントの基本は、時間や行動をコントロールすることです。しかし、フリーランスとの関係では、これらについては裁量を認め、目標の設定について双方の認識がぶれないように管理することが大切です。
(5)フリーランスは複数のプロジェクトに同時に関わっています。フリーランスとの間で信頼関係を築いて、どれだけの仕事を引き受けられるのか、を正直に話してもらえることが大切です。
社内と「柔軟な働き方」
(1)フリーランスと社員が協同して仕事をするとなれば、両者との待遇のバランスをどうとるかは問題となります。
(2)社員にも、柔軟な働き方を認める制度を導入することも、バランスをとる方法です。柔軟な勤務体制としては、出勤日数・出勤時間を調整できたり、在宅勤務(リモートワーク)を選択できたり、休みやすい職場作りが必要となってきます。
(3)フリーランスについては不安定な地位と高額の給与、社員については安定的な地位と相当な給与という形で、バランスをとるのが通常です。
(4)フリーランスへの報酬についても、専門部署で規定を作ることが必要です。
参考
ハーバードビジネスレビュー2024年9月号38頁以下
ハーバードビジネスレビュー2024年9月号50頁以下