創業一族の相続と強引な株主総会
2024/09/16 更新
非上場会社の創業者が亡くなった場合
会社の創業者が亡くなった場合、保有していた株式はどうなりますか?
非上場会社の創業者が亡くなった場合に、その創業者が有していた株式が準共有となります。
準共有となった株式については、共有者が権利行使者を決定して、その旨を会社に通知しなければ、相続した株式について株主として権利を行使できません(会社法106条本文)。
つまり、権利行使者の指定されていない場合、会社は、その株式の共有者を株主として扱う必要はありません。
これを利用して、権利行使者を指定する暇を与えずに、一部の親族が株主総会を開いて強引に都合のよい議決をすることがあります。
取締役(取締役会設置会社では代表取締役)は、1週間(公開会社では2週間)前に通知すれば株主総会を開くことができます(会社法299条1項)。
したがって、株主総会が開かれることを知ったときに、1週間(公開会社では2週間)以内に、権利行使者の通知が必要です。
権利行使者の通知
株主が死亡すれば、株式は当然分割されるのではなく、準共有となります(民法264条)。(最判平成26年2月25日判タ1401号153頁)
準共有となった株式については、共有者が権利行使者を決定して、その旨を会社に通知しなければ、相続した株式について株主として権利を行使できません(会社法106条本文)。
ではどうやって、権利行使者を決定すればよいのでしょうか。
協議を必要とする見解や、協議に参加する機会を必要とする見解もありますが、持ち分の価格に従いその過半数を有する株主が共同で、会社に対して、「◯◯を権利行使者とする旨」を通知すれば、同人が権利行使者になれます。
権利行使は、(相続によって)共有する株式について議決権を行使できます。
参考
判例タイムズ1499号60頁
直後の強引な株主総会
非上場会社の創業者が亡くなった場合に、その創業者が有していた株式が準共有となっており、権利行使者が指定されていない状態のときに、取締役兼株主の親族が株主総会を開いて強引に都合のよい議決をすることがあります。
取締役(取締役会設置会社では代表取締役)であれば、1週間(公開会社では2週間)前に通知すれば株主総会を開くことができます(会社法299条1項)。
このような不適切な動きを察知したときには、創業者の相続人が過半数をもって権利行使者を決定し、この動きに対応する必要があります。
しかし、一週間で専門家を見つけて、対策をとることは難しいのが現状です。