Q 再審請求の事由となる「新証拠」について教えて下さい。
2026/06/28 更新
再審請求手続と、再審公判手続
(1)再審制度は、再審請求手続と、再審公判手続に分かれます。
(2)再審請求手続は、再審公判を開くかどうかを審理する手続です。
(3)再審公判は、再審決定後に開かれる公判です。
再審請求の事由となる「新証拠」
(1)再審請求手続は、刑訴法435条、刑訴法436条の再審の理由の有無を審理する手続である。
(2)実際には、請求人は、刑訴法435条6号の「新証拠」が存在すると主張し、その有無を審理することが多い。
(3)刑訴法435条6号の「新証拠」と認められるには、①証拠の新規性と②「明白性」が必要になる。
(4)また、明白性(無罪を言い渡すべき明らかな証拠であるかどうか)を判断する際には、確定審の証拠(旧証拠)を考慮することになるが、無条件に確定審の証拠(旧証拠)を考慮してよいのか、③確定審の証拠(旧証拠)を考慮する方法条件について、争いがある。
新証拠の新規性
(1)「あらたに発見した」証拠であること(新規性)は、裁判所にとって新たなものであれば足りるのか、それとも、当事者にとっても新たなものであれば足りるのか問題ととなるが、裁判所にとって新規であればよいと解してよいといわれている 。
(2)例えた、故意に他人の身代わりとなって有罪判決を受けた者が、判決確定後になって身代わりであることを明らかにする証拠を提出して再審請求をすることを認めてよいか、問題がある。
(3)当該証拠は証拠方法として原判決前に存在していたどうかは問われないとする判例がある(東京高決昭和27年7月17日高集5巻7号1163頁)。
(4)原判決中の証拠についての評価方法を変更して別の観点から評価し直しても新規性を主張しても認められないとした判例がある(東京高決昭和46年7月27日高集24巻3号473頁)。
(5)新証拠として鑑定書が提出されることがあるが、鑑定の新規性は、もっぱら鑑定方法とその基礎資料によって決せられるべきものである。原判決で取り調べられた鑑定書と同一の基礎資料および経験法則によって引き出されたものである限り、仮に結論を異にする鑑定であっても新規性は認められないとした判例(東京高決昭和40年4月8日下集7巻4号582頁)、仮に結論が同じであっても鑑定方法、基礎資料が異なれば新規性が認められるとした判例がある(札幌高決昭和44年6月18日判時558-14)。
(6)証人については、証拠方法としては原判決前から存在していたとしても、新事実につき供述しまたは供述を変更したときは、新規性が認められるとした判例がある(神戸地決昭42巻4号14頁下集9巻4号525頁) 。
新証拠の明白性
(1)最決昭和50年5月20日刑集29巻5号177頁は、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」(明白性)とは、新証拠と旧証拠を総合的に評価して判断すること、これによって被告人が犯罪を犯したかどうかについて合理的な疑いが生じれば明白性が認められること(つまり、再審請求手続でも「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判における鉄則が適用されること)が明らかにされている。
(2)もっとも、新証拠と、確定審提出証拠(旧証拠)とを総合的に評価して判断するとしても、旧証拠を無条件に考慮できるかは見解が分かる。
| 参考文献 刑訴法435条6号の新規性 文献松本時夫他編「条解刑事訴訟法〔第4版〕」(弘文堂)2009年1134頁 刑訴法435条6号の「新証拠」の新規性について簡潔にまとめられており参考になる。 |






