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刑事弁護の流れ

Q (再審事由となる)新証拠の明白性について教えて下さい。

2026/06/28 更新

確定審の記録(旧証拠)を考慮する条件

(1)刑事訴訟法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」であるかどうかは、新証拠と、確定審提出証拠(旧証拠)とを総合的に評価して判断される。
(2)旧証拠を考慮する方法については、確定審の事実認定の当否について、新証拠による影響を考慮する。次に、その関係において必要な限度で旧証拠を評価すべきとする考え方がある(限定的再評価説)。

2つの見解

(1)調査官解説によれば、新証拠と、確定審提出証拠(旧証拠)とを総合的に評価する方法には2つの見解があるとする。
(2)一つは、明白性についての判断は、新証拠がすでに確定判例を言い渡した裁判官に提出されていたならば、以前のそれと異なる判断をしたかどうかについての決定であるとし、再審裁判所は、時間的に原判決を言渡した裁判官の立場に身を置き、原裁判官の心証(原決定に摘示援用された証拠を全て措信し、これと喰い違う証拠はいずれも措信しないとの心証)を引き継ぎ、この心証と新証拠の持つ証拠価値力とを混合させて、原判決の有罪心証が果たして動揺されられるかどうかを判定すべきであるとの見解(心証引継説)である。
(3)一つは、旧証拠全体(積極証拠と消極証拠の総体)を再評価して、それがいかなる程度の心証形成を可能にするものであるかを確認し、ついで新証拠をこれに加味しつつ再考慮することにより、積極、消極の両証拠群の比重がいかに変化し、ひいては心証形成度にいかなる影響を及ぼすかを精査しなければならないとし、又は、再審拒否の決定をするには、裁判所は新証拠の証明力について判断をなすとともに、新証拠と旧証拠を総合して一応の事実認定をし、これと確定判決の認定事実とを比較対照して、新事実が原事実認定をぐらつかせたかどうかを問題とすべきであり、新証拠を付加してなす心証形成については、確定判決のなした心証形成とは無関係になられなければならないという見解(再評価説)である。
(4)心証引継説と再評価説との差は、確定判決における証拠判断の拘束力をどの程度認めるかという点にある。例えば、心証引継説を突き詰めていくと、確定判決における証拠判断の拘束性を前提とするために、新証拠と確定判決の事実認定の基礎となった積極証拠とを対比せざるを得なくなり、総合評価と言っても、実質的には新証拠のみによって確定判決が動揺するかどうかという判断方法と差異がなくなる。
 しかし、それでは、白鳥決定(最判昭和50年5月20日決定)は「刑事訴訟法435条6号にいう『無罪を言い渡すべき明らかな証拠』であるかどうかは、もし当の証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたとすれば、はたしてその確定判決においてされたような事実認定に到達したであろうかという観点から、当の証拠と他の全証拠とを総合的に判断すべきである。」との判示と矛盾することになる。
 他方、再審決定は、確定している判決の確定力(法的安定性)を破壊して事後的に審査するものであるから、確定判決における証拠判断の拘束力を全て否定することはできない。(最高裁判例解説刑事篇(昭和50年度)93頁)。  

限定的再評価説

(1)判例は、刑事訴訟法435条6号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」であるかどうかは、新証拠と確定審提出証拠(旧証拠)を考慮しなければならないが、事後的に審査するという立場から、新証拠の持つ重要性とその立証命題に照らして、それが有機的に関連する確定判決の証拠判断及びその結果としての事実認定にどのような影響を及ぼすかという観点から、確定判決の事実認定の当否を検討するのに必要な限度で旧証拠を再評価する。そして、旧証拠に対する再評価は、確定判決の事実認定の当否を事後的に審査するのに必要な範囲で行えば足りる。評価すべき旧証拠の範囲は、新証拠の持つ重要性及びその立証命題に照らしてそれが影響を及ぼす可能性のある旧証拠の範囲に限定されるとする(限定的再評価説)(最高裁判例解説刑事篇(平成5年度)20頁、判例タイムズ1544号92頁)。
(2)判例(調査官解説)は、「まずは、確定審の事実認定の当否について、新証拠による影響を考慮する。次に、その関係において必要な限度で旧証拠を評価すべきとする」とする(限定的再評価説)を採用するというが、「必要な限度で新証拠を評価すべき」という意味について、個々の裁判官に自由な判断の余地があり、個々の判例の集積によって定まっていくとされている。

参考文献 
 最高裁判例解説刑事篇(平成5年度) 20頁。
 最高裁判例解説刑事篇(昭和50年度)93頁
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