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相続土地国庫帰属制度の「審査手数料」は、却下されたら返金されますか?

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

相続したものの利用予定のない農地や山林を手放したいと考えたとき、「相続土地国庫帰属制度」の利用を検討する方が増えています。この制度は、一定の要件を満たしていれば、相続した土地を国に引き渡すことができる画期的な仕組みです。

しかし、手続きを進めるにあたって多くの方が気にかかるのが「費用」の存在です。特に、申請が通らなかった場合の金銭的負担について不安を感じる方は少なくありません。

そこで本記事では、相続土地国庫帰属制度の審査手数料に関する疑問について、詳しく解説します。

相続土地国庫帰属制度の審査手数料は返還されるのか?

Q 相続土地国庫帰属制度の「審査手数料」は、却下されたら返金されますか?
A 一切返金されません。申請時に支払う1筆あたり14,000円の審査手数料は、審査を行った対価として納付するものであるため、却下や取り下げをした場合でも国から戻ってくることはありません。

相続土地国庫帰属制度を利用するためには、国へ申請を行う必要があります。その際、1筆あたり14,000円の審査手数料を収入印紙で納付することが義務付けられています。

この審査手数料は、あくまで「法務局や財務事務所などの関係機関が、その土地が国庫に帰属する要件を満たしているか調査・審査を行うための事務手数料」です。そのため、審査の結果として「却下」や「不承認」になった場合であっても、支払った手数料が返金されることはありません。また、申請者自身の都合で途中で「取り下げ」をした場合でも同様に返金はされません。

予納金としての負担にも注意

審査を通過した場合には、さらに「負担金(10年分の管理費用相当額)」というまとまった費用を納付しなければなりません。負担金の額は原則として20万円ですが、土地の地目や面積、状態によっては高額になるケースもあります。

申請の段階で支払う14,000円の審査手数料だけでなく、トータルでどのくらいのコストがかかるのかを事前にシミュレーションしておくことが重要です。

なぜ審査で却下されてしまうのか?(主な不承認事由)

審査手数料が掛け捨てになってしまうリスクを避けるためには、そもそも自分の土地が国の引き受け要件を満たしているかを厳しくチェックする必要があります。以下のような土地は、審査を通過できずに却下される可能性が高い傾向にあります。

  • 建物や工作物が建っている土地
  • 担保権や賃借権などの権利が設定されている土地
  • 通路として他人に利用されているなど、他人の利用が予定されている土地
  • 土壌汚染や埋設物(ゴミなど)がある土地
  • 崖(急傾斜地)であって、管理に多大な費用がかかる土地
  • 隣接地との境界が争われている、または境界が不明確な土地

これらの「却下事由」に一つでも該当している土地を申請すると、多額の労力と審査手数料が無駄になってしまいます。申請前の段階で、専門家の意見を聞くなどして入念な調査を行うことが賢明です。

最新の法改正と不動産管理に関する注意点

相続を巡る法律や制度は、近年大きな転換期を迎えています。ご自身の持つ不動産を適切に管理・処分するために、以下の法改正のポイントについても押さえておきましょう。

  • 相続登記の義務化(2024年4月施行): 不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を行うことが義務化されました。正当な理由なく違反した場合には過料が科される可能性があります。
  • 住所変更登記の義務化(2026年4月施行予定): 住民票の変更など、登記名義人の氏名や住所に変更があった場合、変更があった日から2年以内に変更登記を行うことが義務化されます。
  • 所有不動産記録証明制度の導入(2026年4月までに開始): 自分が所有する(または被相続人が所有していた)不動産の一覧を、全国の登記所から一括して証明書として取得できる制度が始まります。これにより、遠方にある「忘れていた土地」の発見が容易になります。

このように、使わない土地であっても放置することは許されない時代になっています。相続土地国庫帰属制度は有効な選択肢の一つですが、審査手数料の掛け捨てリスクや負担金の存在を踏まえ、費用対効果を慎重に見極めることが大切です。不安な点がある場合は、申請に踏み切る前に専門家に相談することをおすすめします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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