故人の身分証明書の取り扱いと正しい手続き
故人が亡くなられた後、遺族はさまざまな行政手続きや遺品整理に追われます。銀行口座の解約や不動産の相続登記(2024年4月より相続登記が義務化されました)などと並んで忘れがちなのが、故人が生前使用していた身分証明書の返納・失効手続きです。
パスポートや運転免許証は、不正利用を防ぐ観点からも速やかに適切な手続きを行う必要があります。ここでは、それぞれの具体的な手続き方法や注意点を分かりやすく解説します。
運転免許証の返納手続きと注意点
運転免許証はどこで返納するのか
故人の運転免許証は、有効期限内であっても失効させなければなりません。返納先は、故人の住所地を管轄する警察署、または運転免許センターです。
手続きを行う際には、以下の書類等を持参します。
- 故人の運転免許証
- 死亡診断書のコピーまたは戸籍謄本(除籍謄本)
- 手続きをする親族の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
返納後の免許証は手元に残せるか
故人の運転免許証を返納する際、遺品としての思い出を残したいと希望する遺族は少なくありません。多くの警察署や運転免許センターでは、無効化の穴あけパンチ加工(VOID加工など)を施した上で、そのまま持ち帰ることを認めています。
返納手続きの際に、警察の窓口担当者に「形見として持ち帰りたい」旨を伝えて確認するとスムーズです。
パスポートの失効(返納)手続きと注意点
パスポートの失効手続きはどこで行うか
故人のパスポート(旅券)についても、不正利用を防止するために有効期限の有無に関わらず失効手続き(返納)が必要です。手続きの窓口は、故人の住民登録があった市区町村のパスポート申請窓口(旅券窓口)となります。
パスポートの失効手続きには、以下のものが必要です。
- 故人のパスポート原本
- 故人の死亡事実が確認できる書類(戸籍謄本、除籍謄本、または死亡診断書のコピーなど)
- 手続きに来る方の本人確認書類
パスポートは手元に残せるのか
運転免許証と同様に、手続きを行ったパスポートについても、旅券事務所等で「失効」の処理(VOIC印の押印や穴あけなど)を施した上で、手元に戻してもらえるケースが一般的です。ただし、自治体の窓口によって対応の細かいルールが異なる場合があるため、事前に管轄の窓口へ確認しておくと安心です。
身分証明書の返納を怠るリスクとその他の手続き
不正利用防止のための速やかな手続き
故人の身分証明書をそのまま放置しておくと、万が一紛失や盗難にあった際に、なりすましによる悪用や詐欺などの犯罪に利用されるリスクがゼロではありません。相続トラブルや思わぬ二次被害を防ぐためにも、四十九日前後の落ち着いたタイミングを見計らって、速やかに返納・失効手続きを済ませることが大切です。
その他の公的書類に関する手続き
パスポートや運転免許証のほかにも、故人が生前に持っていた公的なカードや証明書類は、忘れずに手続きを行う必要があります。
- マイナンバーカード:市区町村の窓口へ死亡届と併せて返納・失効手続きを行います。
- 健康保険証:加入していた健康保険の窓口(市区町村役場または勤務先)へ返却します。
- クレジットカード:各カード会社のコールセンターへ連絡し、故人の死亡による解約手続きを行います。
故人の死亡に伴う手続きは多岐にわたりますが、身分証明書の返納は故人の社会的権利を閉じるための重要で確実なステップです。法律やルールの変更に伴い、確実な処理が求められるケースも増えていますので、不明な点がある場合は専門家に相談しながら進めると安心です。
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