親御さんが亡くなられた際、遺品の中に株式などの金融資産が見つかることは少なくありません。その中でも「特定口座(源泉徴収あり)」で株式を所有していた場合、残されたご家族が最も気になるのが「準確定申告をしなくてはならないのか」という点ではないでしょうか。
亡くなった方の税金の手続きは、相続の手続きと並行して進める必要があるため、正確な知識を持っておくことが大切です。ここでは、特定口座(源泉徴収あり)における準確定申告の必要性や、申告した方がお得になるケースについて分かりやすく解説します。
親が「特定口座(源泉徴収あり)」で株を所有していた場合、準確定申告は不要ですか?
原則として準確定申告は「不要」
故人が生前に証券会社で「特定口座(源泉徴収あり)」を開設し、そこで株式の売買や配当金の受領を行っていた場合、原則として遺族が準確定申告を行う必要はありません。
その理由は以下の通りです。
- 特定口座(源泉徴収あり)内での株の売買益や配当金等については、証券会社が自動的に所得税および復興特別所得税、住民税を計算し、源泉徴収してすでに納税を完了しているため
- 国税庁のルールにおいても、源泉徴収ありの特定口座内の所得は、確定申告不要制度の対象とされているため
そのため、故人に他の所得(給与所得や不動産所得など)が一切なく、株取引もこの口座だけで完結していたのであれば、税務署への申告手続きは不要となります。
申告した方が「得」になる2つのケース
原則として不要である準確定申告ですが、状況によってはあえて申告をすることで払いすぎた税金が戻ってくる(還付される)場合があります。主に以下の2つのケースに該当する場合は、準確定申告の検討をおすすめします。
1. 亡くなる直前の株取引で「譲渡損失」が出ている場合
死亡する年の1月1日から亡くなった日までの間に、特定口座(源泉徴収あり)内で株を売却し、結果として譲渡損失(赤字)が生じている場合です。
特定口座(源泉徴収あり)であっても、同じ年の中で他の口座の利益と損益通算が未了である場合や、確定申告を行うことで、その損失を故人の過去の所得(前年以前に同口座で源泉徴収された譲渡益など)と相殺し、税金の還付を受けられる可能性があります。
2. 他の証券会社などの口座と「損益通算」をしたい場合
故人が複数の金融機関で口座を持っており、ある証券会社の特定口座(源泉徴収あり)では利益が出て税金が源泉徴収された一方で、別の証券会社の口座では損失が出ていたというケースです。
このような場合でも、準確定申告を行って損益通算を行うことにより、納め過ぎた税金を取り戻せる可能性があります。
準確定申告の期限と注意点
もし準確定申告を行う(または行う必要がある)と判断した場合、最も重要なのが期限の管理です。
- 申告期限は、相続人が「相続の開始があったことを知った日の翌日(通常は亡くなった日の翌日)から4ヶ月以内」です。
- 通常の確定申告(2月16日〜3月15日)とは期限の起算点が異なるため、特に注意してください。
また、株式などの有価証券を相続する場合、準確定申告だけでなく、故人名義から相続人名義への「名義書換(移管手続き)」や、その後の遺産分割協議、さらには不動産が含まれている場合の「相続登記の義務化」など、多岐にわたる法的な手続きが発生します。
特に税金の還付申告は、期限を過ぎると権利が消滅してしまうこともあるため、故人の取引履歴(年間取引報告書など)を早めに確認することが重要です。判断に迷う場合や、複数の口座を複雑に動かしていたような場合は、税理士や専門の法律事務所へ早めに相談することをおすすめします。
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