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親が「アパート経営」をしていましたが、借主から「修繕してほしい」と要求された

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

親からアパート経営を相続!借主からの修繕要求への対応とは

Q 親がアパート経営をしていましたが、亡くなった直後に借主から「修繕してほしい」と要求されました。誰が対応すべきですか?
A 遺産分割協議が完了するまでは、相続人全員が共有で修繕義務を負います。トラブルを防ぐためにも、速やかに遺産分割を行い、新しい大家(所有者)を決定することが重要です。

親御さんが亡くなり、アパート経営を引き継ぐことになったとき、最初につまずきやすいのが借主からの修繕要求です。「雨漏りがする」「給湯器が壊れた」といった連絡が突然入ると、相続人としては非常に焦ってしまうでしょう。

結論から言うと、親御さんが亡くなった瞬間から、アパートの所有権は相続人全員の共有状態になります。したがって、借主に対する修繕義務も相続人全員が負うことになります。

本記事では、アパート経営を引き継いだ相続人が、借主からの修繕要求に対してどのように対応すべきか、法的な義務や最新の法改正を踏まえてわかりやすく解説します。

遺産分割が完了するまでの修繕義務のあり方

親が遺言書を残していなかった場合、アパートなどの不動産は相続人全員の共有財産となります。この状態のとき、法律上はどのような扱いになるのでしょうか。

修繕は「保存行為」として誰でも単独で判断できるのか?

共有不動産の管理において、現状を維持するための「保存行為」であれば、各共有者が単独で行うことができます。雨漏りの修繕など、アパートの価値を維持するために緊急を要する修繕は、この「保存行為」に該当するケースが少なくありません。

しかし、修繕費用を誰が負担するのかという問題や、どの業者に依頼するのかという点で、相続人同士の意見が割れるリスクがあります。

修繕費用は誰が支払うのか

法定相続分に応じて、原則として相続人全員が費用を分担することになります。

  • 遺産分割前:相続人全員の共有財産として管理する
  • 修繕費用の負担:原則として法定相続分に応じる
  • 実際の支払い:一度代表者が立て替えるケースが多いが、後日の精算でトラブルになりやすい

そのため、修繕要求があった際は、その都度話し合うのではなく、まずは早急な遺産分割協議の実施を目指すことが最善の対策となります。

トラブルを防ぐ!速やかな遺産分割と所有者の決定

アパート経営を引き継いだら、いつまでも共有状態にしておくべきではありません。空室対策や家賃収入の管理、そして今回のような修繕要求への対応をスムーズに行うためには、誰が単独でアパートを相続するのかを明確にする必要があります。

遺産分割協議で新しい大家を決める

遺産分割協議を行い、一人の相続人がアパートを単独で相続する(または法人化するなど)ことで、その人が唯一の「大家(所有者)」となります。

  • 新しい所有者が単独で修繕の判断と費用負担を行う
  • 家賃収入の受取人も明確になり、確定申告などの税務処理もシンプルになる
  • 借主に対しても、新しい所有者(貸主)を速やかに通知できる

借主にとっても、「誰に連絡していいかわからない」という状況は大きな不安要素です。信頼関係を維持するためにも、相続人代表者から借主へ、相続が発生した旨と今後の連絡先を文書で通知することをおすすめします。

2024年・2026年の法改正と不動産相続の注意点

アパート経営を相続するにあたり、近年の法改正についても知っておく必要があります。不動産を放置すると、法的なペナルティを受けるリスクが高まっています。

2024年4月からの相続登記の義務化

これまで、不動産を相続しても名義変更(相続登記)は任意とされていましたが、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。

  • 相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
  • 正当な理由なく放置した場合は、10万円以下の過料の対象となります。
  • アパート経営を相続した場合も例外ではなく、速やかな名義変更が必要です。

2026年4月からの住所変更登記の義務化と所有不動産記録証明制度

さらに、2026年4月には、住所や氏名が変わった際の変更登記も義務化されます。アパートの所有者が引っ越し等をした場合、変更手続きを怠ると同様にペナルティの対象となります。

また、被相続人が全国にどのような不動産を持っていたか把握しやすくなる「所有不動産記録証明制度」もスタートしています。親が経営していたアパートが複数ある場合や、他にも土地や建物がないか調査する際に活用されます。

まとめ:修繕要求への対応と相続手続きは専門家へ相談を

親からアパート経営を引き継いだ際、借主からの修繕要求は避けて通れない問題です。

  • 修繕義務は、遺産分割が完了するまで相続人全員の共有となる
  • 放置すると借主とのトラブルやアパートの資産価値低下につながるため、速やかな遺産分割で新しい大家を決める
  • 2024年の相続登記義務化をはじめ、法改正に則った迅速な手続きが求められる

相続人間の話し合いがまとまらない場合や、借主との交渉、複雑な相続登記手続きに不安がある場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。早期に適切な法的措置をとることで、円満かつスムーズなアパート経営の承継が可能になります。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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