法定相続情報証明制度とは?
相続手続きの第一歩として、故人(被相続人)の「生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本」と「相続人全員の戸籍謄本」を収集する必要があります。 これらをすべて集めると、数通から十数通もの分厚い束になることが少なくありません。
従来の手続きでは、銀行の預金解約、証券会社の名義変更、法務局での不動産登記など、それぞれの窓口にこの「分厚い戸籍の束」をその都度提出し、確認が終わるまで待つ(あるいは返却されるまで次の手続きに進めない)という非常に手間と時間のかかる作業が必要でした。
この負担を軽減するために創設されたのが「法定相続情報証明制度」です。 法務局に一度だけ戸籍の束と「相続関係を一覧にした図」を提出すれば、登記官が内容を確認した上で、偽造防止措置が施された証明書(法定相続情報一覧図の写し)を発行してくれます。以降は、このA4用紙1枚の証明書を提出するだけで、戸籍謄本の束を提出したのと同じ効力を持ちます。
法定相続情報証明制度の3つの大きなメリット
この制度を利用することで、ご遺族の手続き負担は劇的に軽減されます。主なメリットは以下の3点です。
1. 手続きを同時並行で進められる(時短)
証明書は必要な枚数だけ、何通でも無料で発行してもらうことができます。 例えば、銀行が3行、証券会社が1社、不動産の管轄法務局が1か所ある場合、証明書を5通発行してもらえば、すべての窓口に同時に書類を郵送または提出でき、手続きの期間を大幅に短縮できます。
2. 手数料が無料(コスト削減)
証明書(法定相続情報一覧図の写し)の発行手数料は、何通取得しても無料です。 戸籍謄本の束を複数セット取得しようとすると、数千円から数万円の費用がかかる場合がありますが、この制度を利用すれば戸籍の束は「1セット」だけ用意すればよいため、実費の大幅な節約になります。(※制度利用後の再交付も無料ですが、申し出ができるのは当初の手続きを行った申出人のみです。)
3. 窓口での待ち時間が減る
金融機関の窓口に分厚い戸籍の束を持ち込むと、担当者が一人ひとり戸籍を読み解き、相続関係に間違いがないかを確認するため、非常に長い時間がかかります。 しかし、法務局のお墨付きがある証明書を1枚提出すれば、担当者は一目で相続関係を把握できるため、窓口での待ち時間や審査期間が短縮されます。2024年に義務化された相続登記の手続きにおいても、この証明書を添付することでスムーズに登記が完了します。
制度を利用するための手続きの流れ
便利な制度ですが、利用するためには最初に少し準備が必要です。
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戸籍謄本等の収集:故人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、故人の住民票の除票(または戸籍の附票)などを集めます。
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一覧図の作成:集めた戸籍をもとに、パソコン等で「法定相続情報一覧図(家系図のようなもの)」を作成します。書式は法務局のホームページからダウンロードできます。
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法務局へ申し出:申出書、作成した一覧図、戸籍の束などを管轄の法務局(故人の本籍地や最後の住所地など)に提出します。
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証明書の交付:登記官の確認後、数日〜1週間程度で「法定相続情報一覧図の写し」が交付されます。提出した戸籍の束は原本還付(返却)されます。
専門家への代理申請も可能
最初の戸籍収集や一覧図の作成、法務局への提出手続きは、平日に時間が取れない方や、戸籍を読み解くのが難しい方にとっては負担に感じるかもしれません。 この制度の申し出は、司法書士や弁護士などの専門家に代理で依頼することができます。特に、不動産の相続登記(2024年から義務化)や住所変更登記(2026年4月義務化)を司法書士に依頼する場合、この法定相続情報証明制度の取得もセットで任せてしまうのが、最もスムーズで効率的な方法です。
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