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親の介護を頑張った私は多めにもらえる?
遺産分割における「寄与分」の認められ方

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

親の介護を献身的に支えてきた立場からすると、「他の兄弟と同じ遺産の分け方では納得がいかない」「自分が多くもらうことはできないのだろうか」と疑問に思うのは当然のことです。

相続において、被相続人の財産の維持や増加に特別に貢献した人がいる場合、その貢献を考慮して遺産を多めに取得させる制度を「寄与分(きよぶん)」といいます。しかし、介護をすれば当然に寄与分が認められるわけではなく、法律上の厳しい要件をクリアする必要があります。

この記事では、遺産分割における寄与分の認められ方や、介護の場合の具体的な要件、そしてそれを証明するための方法について分かりやすく解説します。

介護による「寄与分」はどのような場合に認められる?

Q 親の介護を頑張った場合、誰でも寄与分を主張して遺産を多くもらえますか?
A いいえ、誰でも認められるわけではありません。「特別の寄与」にあたるような長期間かつ献身的な介護で、かつ被相続人の財産の維持・減少防止に貢献したと客観的に認められる場合のみ認められます。

寄与分とは、民法第904条の2に定められている制度です。被相続人の生前、その財産の維持や増加について、「特別な貢献」をした相続人がいるとき、法定相続分にその貢献度(寄与分)を加算した額を相続できるというものです。

単に親の面倒を見たというだけでは、家族間の扶養義務の範囲内とみなされ、寄与分は認められにくい傾向にあります。

寄与分が認められる3つの主な要件

介護において寄与分が認められるためには、主に以下の要件を満たす必要があります。

  • 相続人自身による介護であること(配偶者等の肩代わりは原則含まれません)
  • 「特別の寄与」といえるほどの貢献であること
  • 被相続人の財産の維持または減少の防止に貢献したこと

最後の「財産の減少防止」が重要なポイントです。例えば、本来であれば高額な費用を払って有料老人ホームや専門の介護士に依頼すべきところを、相続人が無償で長期間にわたり手厚く介護した結果、「介護費用の支出を免れ、結果として相続財産が維持された」という場合に寄与分が認められやすくなります。

寄与分を認めてもらうための「無償での献身的寄与の証明」

裁判所や他の相続人に対して寄与分を主張するためには、口頭で「一生懸命介護した」と訴えるだけでは不十分です。「客観的な証拠」を用いて、その事実を証明しなければなりません。

特に無償での献身的な介護を証明するためには、日々の地道な記録が不可欠となります。

1. 介護の日記やノート

毎日の介護の内容や時間を細かく記録した日記は、寄与分の証明において強力な証拠となります。

  • 介護を行った日時と具体的な時間(例:◯月◯日 8:00〜19:00)
  • 行った介護の内容(食事の介助、入浴の補助、通院の付き添い、排泄の世話など)
  • 被相続人の心身の状態(要介護度やその日の体調の変化)

このような日記は、単にメモ書きするだけでなく、できる限り毎日継続して記載されていることが重要です。

2. 医療・介護に関する証明書(医証など)

被相続人がどのような状態であり、どれほどの介護を必要としていたのかを証明するためには、公的な書類も必要です。

  • 介護保険の要介護認定結果通知書やケアプラン
  • 病院のカルテ、診断書、通院の記録
  • 医療費や介護用品の購入に関する領収書

これらの資料により、「専門家による介護や高額な外部サービスの導入が必要不可欠な状態であったこと」が裏付けられれば、相続人による介護の価値がより高く評価されやすくなります。

近年の法改正や不動産相続への影響に注意

相続手続きにおいては、近年さまざまな法改正がおこなわれています。例えば、2024年4月からは相続登記の申請が義務化され、放置すると過料の対象となるなど、遺産分割を速やかに行う重要性が増しています。

寄与分の主張を含む遺産分割協議がまとまらない場合、話し合いだけではなく調停や審判といった裁判所の手続きに発展することがあります。遺産のなかに実家などの不動産が含まれている場合、寄与分の主張によって不動産の持ち分や換価分割の方法にも影響が出るため、専門的な法的知識が欠かせません。

また、2026年4月からは住所変更登記の義務化も控え、相続人自身の管理責任も厳格化されています。介護を行った実績を正当に評価してもらい、円滑かつ適正に遺産分割を進めるためには、早い段階で正確な証拠を揃えることが大切です。

まとめ:介護と寄与分でお悩みなら弁護士にご相談を

親の介護を一身に担ってきた方にとって、その労力が遺産の分け方に反映されないのは大きな精神的負担となります。しかし、法律の要件を満たした上で適切な証拠を準備しなければ、寄与分を認めさせることは容易ではありません。

「自分の介護のケースでも寄与分は認められるのか」「どのような証拠をどの程度集めればよいのか」など、ご不安な点や疑問点がある場合は、相続問題に強い弁護士などの専門家に早めにご相談されることを強くおすすめします。適切な法的サポートを受けることで、あなたの献身的な努力が正当に評価される道が開けます。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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