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親が残した「ペット」はどう相続する?
ペットのための信託や遺産分割協議

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

親が亡くなったとき、私たちが直面するのは悲しみだけではありません。故人が残した財産の整理や相続の手続きなど、多くの現実的な問題に対処しなければなりません。その中でも、「ペットの飼育」は非常に重要な問題です。

ペットは法律上、遺産分割の対象となる「物」として扱われますが、実際には命ある大切な家族です。「自分が死んだら、この子はどうなってしまうのだろう」と生前、親が深く案じていたケースも少なくありません。

本記事では、親が残したペットをどのように引き継ぎ、法的に保護していくのかについて、分かりやすく解説します。

親が残したペットの法的な位置づけと相続方法

Q 親が残したペットは遺産分割の対象になりますか?引き取る人がいない場合の解決策も教えてください。
A 【法律上の位置づけと遺産分割の原則】法律上、ペットは「動産(物)」として扱われるため遺産分割の対象となり、相続人全員の協議で新しい飼い主を決定する必要があります。ただし命ある存在であるため、エサ代や医療費などの負担や不公平感を解消するために「代償金」という金銭的補償を設ける方法が有効です。
【生前対策と法的な備えの重要性】相続トラブルを防ぎペットの未来を守るためには、特定の世話を条件に財産を譲る「負担付遺贈」や、信頼できる人に管理を託す「ペット信託」を生前に活用することが極めて有効です。万が一の引き取り手不在や相続人間の対立を防ぐためにも、早期に専門家である弁護士へ相談し、法的に有効な対策を講じることを強くおすすめします。

親が遺言書を残していなかった場合、ペットを引き取る人は遺産分割協議によって決定します。

ペットは民法上、時計や車などの「物」と同じように扱われます。そのため、誰が新しい飼い主(所有者)になるかを相続人の間で話し合わなければなりません。しかし、ペットの飼育には毎月のエサ代、医療費、そして日々の世話という大きな「負担」が伴います。

そのため、「押し付け合い」になってしまったり、誰も飼い主名乗り出なかったりするトラブルが起こり得ます。

ペットを飼育する負担の「代償金」という考え方

特定の相続人がペットを引き取る場合、その人だけに飼育負担が重くのしかかることになります。不公平感をなくすため、他の相続人が金銭的な補償をする方法があります。これが「代償金」の仕組みです。

例えば、ペットの今後の飼育費用として必要と推計される金額を算出し、それを考慮して遺産の分け方を調整します。

  • ペットを引き取る人が、他の財産(預貯金など)を多めに相続する
  • 他の相続人が、ペットを引き取る人に対して定期的に飼育費用を支払う合意をする

こうした取り決めを遺産分割協議書に明記しておくことで、将来的な金銭トラブルを防ぐことができます。

負担付遺贈の仕組みを活用した生前対策

親が存命のうちに、ペットの将来への備えとして有効なのが負担付遺贈(ふたんつきいぞう)です。

負担付遺贈とは、「特定の財産をあげる代わりに、一定の義務を負わせる」という遺言の仕組みです。これをペットに応用します。

  • 「愛犬の世話をすることを条件に、預貯金のうち〇〇万円を相続人に遺贈する」

このように遺言書に記載しておくことで、財産を受け取る代わりにペットの世話をしなければならない法的義務を負わせることができます。もし、その相続人が正当な理由なくペットの世話を放棄した場合、遺贈の効力を取り消す裁判を起こすことも可能です。

ただし、遺言書を書いた本人(親)が亡くなった後にしか効力を発揮しない点や、万が一、引き受けてくれた人が病気や高齢で飼えなくなった場合の「次」の受け皿まで想定しにくいというデメリットもあります。

最新の選択肢「ペット信託」の概要

近年、より確実なペットの飼育環境を整える方法として注目されているのがペット信託です。

ペット信託とは、飼い主が元気なうちに、信頼できる人(受託者)や専門家に対してペットの飼育資金を託し、自分が死亡した際や施設に入居した際に、その資金から新しい飼い主(飼育者)に対して定期的に費用が支払われるようにする仕組みです。

ペット信託の主なメリットは以下の通りです。

  • 飼育資金の使い道が契約によって厳密に管理されるため、お金が別の目的に使われる心配がない
  • 新しい飼い主が途中で飼育できなくなった場合の「二次受託者」や「予備的飼育者」をあらかじめ指定できる
  • 信託監督人を置くことで、新しい飼い主がきちんとペットの世話をしているか定期的にチェックできる

ペットは人間の言葉を話すことができず、自分で飼い主を選ぶこともできません。だからこそ、遺されるペットの幸せを守るためには、法律の仕組みを正しく理解し、生前から周到に準備をしておくことが極めて重要です。

遺産分割協議での話し合いが難航している場合や、負担付遺贈・ペット信託の具体的な法的手続きに不安がある場合は、相続問題に強い法律事務所や専門家に早めにご相談ください。あなたの家族である大切なペットの未来を、法的な側面からしっかりとサポートいたします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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