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故人が「社債・社内預金」を残していた場合の勤務先企業への請求

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

故人の社債・社内預金の有無を確認する方法

Q 故人が勤務していた会社の社債や社内預金は、どのように見つけて請求すればよいですか?
A 【手続きの要点】まずは故人の勤務先企業の総務部や人事部へ連絡し、社内預金や社債の保有状況を確認します。これらの財産は相続財産となり、勝手に一部の相続人が引き出すことはできないため、相続人全員の合意のもとで手続きを進める必要があります。
【注意点と対策】一般的な銀行預金とは異なり窓口が会社になるため、戸籍謄本などの必要書類を揃えて会社指定の請求手続きを行います。トラブルを防ぎ円滑に払い戻しを受けるためにも、必要に応じて弁護士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

故人が生前に勤務していた会社で「社債」や「社内預金」を利用していた場合、これらも立派な遺産(相続財産)の一部となります。一般的な銀行預金とは異なり、手続きの窓口が金融機関ではなく故人の勤務先企業になるため、戸惑う相続人も少なくありません。

まずは、自宅に残された通帳や証券、会社からの通知書類、給与明細などを確認しましょう。「社内預金通帳」や「社債証券」が見つかれば確実ですが、書類が見当たらない場合でも、故人が勤務していた会社へ問い合わせることで有無を確認することができます。

社債と社内預金の違いと性質

社債とは、企業が資金調達のために発行する債券であり、相続財産として他の有価証券と同様に扱われます。一方、社内預金は従業員が会社にお金を預けて貯蓄する制度であり、労働基準法や労使協定に基づいて管理されています。どちらも相続人全員の共有財産となるため、勝手に一部の相続人が引き出すことはできません。

勤務先企業(総務部)への連絡と必要書類の準備

故人の死亡を確認したら、速やかに勤務先の総務部や人事部に連絡を入れます。企業側も従業員の訃報を受けてから相続手続きの案内を開始するため、まずは担当者と連絡を取り合うことが重要です。

会社への連絡時には、以下の点を確認します。

  • 社債や社内預金の残高の有無と金額
  • 払い戻しや解約に必要な具体的な書類
  • 手続き書類の提出先と担当部署

会社から指定される必要書類は、一般的な銀行の相続手続きとほぼ同様ですが、企業独自のフォーマットによる誓約書や請求書への記入が求められます。

主な必要書類の一覧

手続きを円滑に進めるため、以下の書類を事前に準備しておきましょう。

  • 故人の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書
  • 遺産分割協議書(遺言書がある場合は遺言書、または法定相続分に従う場合は全員の同意書)
  • 故人の社内預金通帳や社債証券(手元にある場合)

特に、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本は、法定相続人を確定するために必須となります。転籍が多い方の場合は集めるのに時間がかかるため、早めに取得を始めましょう。

社内預金・社債の払い戻し手続きと注意点

勤務先企業へ必要書類を提出し、社内担当者による内容の確認と承認が下りると、指定した相続人の口座へ社内預金や社債の償還金が振り込まれます。この際、企業によっては税務上の観点やトラブル防止のため、相続人全員の署名・捺印がある「相続に関する同意書(兼 誓約書)」の提出を強く求められることが一般的です。

ここでは、手続きを進める上での重要な注意点を解説します。

1. 相続人全員の同意が必要

社内預金も社債も、一部の相続人が勝手に手続きを進めることはできません。遺産分割協議がまとまっていない段階で特定の相続人に払い戻してしまうと、後々大きな親族間トラブルに発展するリスクがあります。必ず相続人全員で話し合い、誰がどのように受け取るかを決めた上で書類を作成してください。

2. 会社の倒産リスクと債権の優先順位

社内預金は法律で一定の保護が図られていますが、万が一、勤務先企業が経営破綻や倒産に陥った場合、預けたお金が戻ってこないリスクがゼロではありません。もし故人の勤務先の経営状態に不安がある場合は、相続発生後、速やかに会社へ連絡して債権の保全と払い戻しの手続きを進める必要があります。

3. 相税税の申告対象への含め忘れに注意

社債や社内預金は、死亡日時点における残高(利息を含む)が相続税の課税対象となります。銀行口座の残高証明書と同様に、会社から「残高証明書」を発行してもらい、申告漏れがないよう正確に計算しましょう。

万が一、会社側の対応が非協力的であったり、遺産分割を巡って相続人間の意見が対立したりして手続きが難航する場合は、無理に個人で解決しようとせず、相続問題に強い弁護士や司法書士などの専門家へ早めに相談することをおすすめします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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