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故人が「ソーシャルレンディング・クラウドファンディング」に投資していた時

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

近年、インターネットを通じて手軽に少額から投資ができる「ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)」を利用する方が増えています。もし、ご家族が亡くなられた際、このようなクラウドファンディングに投資していたことが発覚した場合、遺族はどのような手続きを行えばよいのでしょうか。

故人が残したデジタル資産や投資財産の相続は、通常の預貯金とは異なる手続きが必要になるケースが多くあります。ここでは、クラウドファンディング事業者の死亡対応の流れ、分配金の受取や元本回収における注意点について詳しく解説します。

故人がクラウドファンディングに投資していた!遺族が最初に行うべき対応と手続きの流れ

Q 故人がソーシャルレンディングに投資していた場合、まず何をすればよいですか?
A まずは投資先である各クラウドファンディング事業者へ速やかに連絡し、口座の凍結と相続の手続きについて確認する必要があります。遺産分割協議が整うまで、出資金の引き出しや口座解約は保留されるのが一般的です。

故人の財産調査を進める中で、証券会社や銀行の口座だけでなく、ネット銀行の画面やメールマガジン、郵送物などからクラウドファンディングの利用が発覚するケースが少なくありません。ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングでは、投資家が事業者のプラットフォーム上に専用の口座(デポジット口座など)を持っています。

事業者への連絡が遅れると、故人の口座がそのまま放置されてしまい、運用満期を迎えた際のお金の動きが把握しにくくなります。まずは投資プラットフォームを運営する各事業者へ故人の訃報を伝え、相続人による手続きの案内を依頼することが第一歩となります。

事業者への連絡方法と必要書類

事業者に死亡の連絡を入れると、多くの場合、相続手続きに関する専用の書類や案内が送られてきます。事業者によって求められる書類の書式は異なりますが、一般的には以下の書類が必要となります。

  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本(または法定相続情報一覧図)
  • すべての相続人の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書
  • 遺産分割協議書(相続人全員で署名・捺印したもの)
  • 相続人名義の指定口座確認書類

クラウドファンディングの会員規約においては、会員の死亡により契約が終了し、保有する権利や義務が相続人に承継される旨が規定されているのが通常です。規約の内容や事業者の指示に従って、正確に書類を提出しましょう。

分配金の受取と元本回収の仕組み・注意点

クラウドファンディングは、株式や預貯金とは異なり、融資先のプロジェクトやファンドの運用期間が設定されています。そのため、相続が発生したからといって、すぐに全額を現金化して引き出せるわけではありません

運用期間中のファンドについては、原則として満期を迎えるのを待つか、事業者所定のルールに従って解約・精算の手続きを進めることになります。

運用中のファンドはどうなる?

ソーシャルレンディングなどの場合、ファンドの運用期間中は毎月(または四半期ごとなど)に分配金が発生し、事業者のデポジット口座に振り込まれます。

故人が亡くなった後も、運用中のファンドから発生する分配金や、満期を迎えた元本は、引き続き故人のアカウント(デポジット口座)に蓄積されていきます。これらはすべて遺産分割の対象となるため、勝手に引き出したり使ったりしてはならない点に注意が必要です。

元本回収におけるリスクと注意点

クラウドファンディングは元本が保証されている金融商品ではありません。投資先の事業者が経営破綻したり、貸付金の回収が困難になったりする「デフォルト(債務不履行)」のリスクが存在します。

相続手続きの最中であっても、投資先でトラブルが発生し、元本が全額戻ってこない可能性や、逆に貸し倒れ損失が確定することがあります。相続人は、プラスの財産だけでなく、こうした投資にともなうリスクも含めて相続財産を評価しなくてはなりません。

デジタル遺産特有のトラブルを防ぐために

クラウドファンディングやネット銀行、仮想通貨などのいわゆる「デジタル遺産」は、紙の通帳が残らないため、遺族がその存在に気づきにくいという特徴があります。

もし故人がパスワードやIDを残していなかった場合、事業者のカスタマーサポートを通じて口座の存在を照会し、戸籍謄本等を示して相続人であることを証明した上で開示請求を行うことになります。

相続放棄を検討する場合の注意点

クラウドファンディングでの投資額が大きく、かつハイリスクな案件に集中している場合など、状況によっては相続放棄を検討すべきケースもあります。

しかし、相続人が故人のクラウドファンディング口座から勝手に現金を自分の口座に移したり、遺産の一部を処分したりしてしまうと、「単純承認」とみなされ、後から相続放棄ができなくなる恐れがあります。デジタル資産の取り扱いは慎重に行う必要があります。

故人が遺したクラウドファンディングの資産評価や、複雑な遺産分割、事業者とのやり取りに不安がある場合は、相続問題に強い弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。正確な財産把握と法的に正しい手続きを進めることで、トラブルのない円滑な相続を実現しましょう。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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