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土地の上に「他人の電柱・NTT柱」が立っている場合の敷地使用料と国庫帰属

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

土地を相続した際、敷地内に電柱やNTTの柱が立っていて驚いた経験を持つ方は少なくありません。ご自身の所有地であっても、電力会社や通信会社が無断で電柱を建てているわけではなく、通常は何らかの契約や協定が存在します。

特に、近年注目を集めている相続土地国庫帰属制度を利用して不要な土地を手放したい場合、このような他人の工作物が土地にあると審査にどのような影響があるのか、事前に正しく理解しておく必要があります。ここでは、電柱敷地に関する権利関係の承継や、国庫帰属手続きへの影響について詳しく解説します。

電柱敷地協定とは?権利と義務の基本知識

Q 土地に電柱が立っている場合、電力会社等から地代(敷地使用料)はもらえますか?
A 電柱の設置に関して電力会社等と「電柱敷地協定」などの契約を結んでいる場合、一定の基準に基づき、敷地使用料(電柱敷料)が支払われます。ただし、金額は電柱の種類や地域によって異なります。

土地の上に電柱や支線、マンホールなどの工作物がある場合、土地の所有者と電力会社や日本電信電話株式会社(NTT)などの間に「電柱敷地協定」や「地役権設定契約」が結ばれているのが一般的です。

相続による契約の承継について

親から土地を相続した場合、故人が結んでいた電柱に関する契約や権利義務も、原則として相続人がそのまま承継することになります。新しい土地所有者になったからといって、勝手に電柱を撤去させたり、事業者への通知なしに独自でルールを変更したりすることはできません。

また、電柱敷地協定等に基づいて支払われる敷地使用料(一般的には数年分をまとめて前払いされるケースが多いです)についても、前所有者がすでに受領している期間分の請求権は新たに発生しないため、事前の確認が重要です。

敷地使用料(電柱敷料)の仕組みと確認方法

電柱が立っている土地の所有者には、事業者が定める基準に従って電柱敷地料(敷地使用料)が支払われます。

敷地使用料に関する注意点

  • 振込先の変更手続き:相続が発生したときは、名義変更の手続きを行わないと敷地使用料の支払いが滞ったり、前所有者(被相続人)の口座に振り込まれ続けたりするトラブルが発生します。
  • 契約内容の確認:過去にどのような協定が結ばれているか不明な場合は、管轄の電力会社やNTTの窓口に連絡し、契約状況や敷地使用料の支払い履歴を確認しましょう。

土地の管理をスムーズに行うためにも、相続開始後は速やかに事業者へ連絡し、相続人への名義変更手続きを進めることが大切です。

「相続土地国庫帰属制度」への影響と電柱の扱い

不要な土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」の利用を検討している場合、敷地内に電柱やNTT柱が立っているケースは「管理や処分を阻害する工作物がある土地」に該当するかどうかが問題となります。

国庫帰属の審査における承認対象

結論から言うと、電柱やそれに付随する支線が設置されている土地であっても、直ちに国庫帰属の申請が却下されるわけではありません。しかし、法的に正しく整理されている必要があります。

  1. 適法な契約の存在:電力会社等との間で締結された協定や地役権が、適法かつ明確に存在していること。
  2. 他物権の調整:国庫帰属が承認された後、その土地は国(財務省)の所有物となりますが、既存の電柱等の設置権利(地役権など)は原則としてそのまま存続するか、あるいは適切な調整が行われる必要があります。
  3. 申請書の記載事項:土地に関する権利関係として、電柱に関する協定内容や事業者名などを正確に申請書に記載しなければなりません。

実務上、事業者との間でトラブルを抱えていたり、無断で設置されたまま放置されていたりする電柱がある場合は、審査が難航する原因となります。

電柱がある土地を相続したときの具体的な対処法

電柱が立っている土地を相続し、将来的に活用予定がない、あるいは国庫帰属制度の利用を考えているのであれば、以下のステップで早めに対処しましょう。

1. 現状調査と事業者への連絡

まずは現地を確認し、どの事業者の電柱や支線が立っているのかを特定します。その後、電力会社やNTTの専用窓口に連絡し、相続が発生した旨を伝えて契約状況の確認と名義変更の必要書類を取り寄せます。

2. 2024年開始の相続登記義務化への対応

放置された土地であっても、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されています(正当な理由なく3年以内に相続登記をしない場合は過料の対象となる可能性があります)。電柱の有無に関わらず、まずはご自身の名義へ確実に登記を完了させましょう。

3. 国庫帰属の要件クリアに向けた準備

相続した土地を最終的に手放したい場合は、国庫帰属制度の要件(建物がないこと、担保権が設定されていないこと、管理に多額の費用や労力を要する通路などがないこと等)を満たしているか確認します。電柱については、適法な協定に基づいて設置されているものであれば原則として問題ありませんが、不安な点がある場合は専門家に相談することをおすすめします。

土地の相続や権利関係の整理、さらには国庫帰属制度の煩雑な手続きに直面したときは、自己判断せず、法律や不動産実務に精通した専門家に早めに相談することで、トラブルを防ぎスムーズな解決へと導くことができます。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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