親から実家などの不動産を相続したものの、「住む予定がないため売却したい」「現金化して相続人で分けたい」というケースは少なくありません。
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、税金がかかるのではないかと不安になる方も多いでしょう。特に相続した不動産売却では、被相続人(亡くなった方)の所有期間を引き継ぐルールや、「5年超」の所有期間が税額を大きく左右する重要なポイントとなります。
この記事では、相続した不動産の売却にかかる譲渡所得税の計算方法と、税負担を軽くする「5年超」のルールについて分かりやすく解説します。
相続した不動産の売却で知っておくべき基本ルール
親から相続した不動産を売却する場合、「被相続人が不動産を取得した日」から「売却した年の1月1日までの期間」が所有期間の判定基準となります。自分が相続してから5年経っていなくても、親の所有期間と合わせることで「5年超」となれば、税率が低い長期譲渡所得の対象になります。
また、2024年4月からは相続登記が義務化され、売却にあたっては名義変更(相続登記)が必須となっています。さらに、2026年4月からは住所変更登記の義務化も控えているため、不要な不動産は放置せず、計画的に売却を進めることが賢明です。
譲渡所得税の計算式
不動産を売却して得た利益に対して課される「譲渡所得税」は、以下の計算式で算出されます。
- 譲渡所得 = 収入金額(売却価額) - (取得費 + 譲渡費用)
- 譲渡所得税額 = 譲渡所得 × 税率
ここで重要になるのが「取得費」です。親が購入したときの売買契約書や領収書が見つからない場合、売却価格の5%を概算取得費とせざるを得ず、税金が高額になる恐れがあります。そのため、相続が起きたらまずは親の購入時の資料を探すことが大切です。
所有期間「5年超」が税金を大きく分ける
不動産の譲渡所得税率は、売却する年の1月1日時点における「所有期間」によって大きく2つに分かれます。
- 短期譲渡所得(5年以下):税率 39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
- 長期譲渡所得(5年超):税率 20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
このように、所有期間が「5年以下」か「5年超」かによって、税率は約半分もの差が生じます。
相続不動産の場合、前述の通り「親の所有期間を引き継ぐ」ことができるため、親が長く所有していた不動産であれば、相続開始から間もない売却であっても「長期譲渡所得(15.315%+住民税5%)」が適用されます。
注意すべき「5年」の数え方の罠
所有期間の判定で間違えやすいのが、期間のカウント方法です。
- 判定の基準日は、売却した年の「1月1日時点」
- 「5年超」とは、売却した年の1月1日において、取得日から5年を超えて所有していること
例えば、親が10年前に購入した不動産を相続し、自分が相続した翌年の2月に売却したとします。この場合、自分が相続してからの期間は1年未満ですが、親の所有期間が通算されるため、売却年の1月1日時点ですでに5年を超えており、長期譲渡所得の低い税率が適用されます。
相続不動産の売却で活用したい特例と注意点
相続した不動産の売却では、条件を満たすことで税負担を大幅に軽減できる特例が存在します。代表的なものが「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡したときの3,000万円特別控除」です。
この特例は、昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物などを相続し、一定の要件を満たして売却した場合に、譲渡所得から最高3,000万円を控除できるというものです。ただし、耐震リフォームを行うか、解体して更地にして売却する必要があるなど、事前の確認が必要です。
また、不動産売却の複雑な税務計算や特例の適用判断は、一般の方には非常に難易度が高いものです。誤った申告をしてしまうと追徴課税のリスクもあるため、売却を検討される段階で、相続問題に強い法律事務所や税理士などの専門家へ早めに相談することをおすすめします。
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