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パテント(特許権・商標権・著作権)などの知的財産権の相続と特許庁手続き

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

知的財産権も遺産の対象?相続におけるパテントと著作権の基本

Q 特許権や著作権などの知的財産権も相続の対象になりますか?
A はい、対象になります。特許権や商標権などの産業財産権だけでなく、著作権も財産的価値を持つため相続財産に含まれます。ただし、権利を公的な機関や団体に引き継ぐための特別な手続きが必要です。

人が亡くなったとき、遺産として残るのは預貯金や不動産だけではありません。故人が発明した技術に関する特許権、ブランドの名称やロゴにかかる商標権、小説や音楽などの著作権といった「知的財産権(パテント)」も、大切な相続財産のひとつです。

知的財産権は目に見えない財産であるため、その存在や価値が見落とされがちです。しかし、これらが現在進行形で収益を生み出している場合や、将来的にロイヤルティ(使用料)が見込める場合は、適切な遺産分割と名義変更の手続きを行わなければなりません。

ここでは、知的財産権を相続した際の手続きの全体像や、特許庁、著作権管理団体への対応方法についてわかりやすく解説します。

特許権・商標権などの産業財産権の相続と特許庁手続き

特許権や実用新案権、意匠権、商標権といった産業財産権は、亡くなっただけでは自動的に相続人のものになりません。権利を正式に引き継ぐためには、特許庁への移転登録申請(名義変更手続き)を行う必要があります。

相続による特許権等の移転登録手続きの流れ

特許庁における名義変更手続きは、通常の不動産登記と同様に、誰がどの権利を相続するのかを明確にする必要があります。

  • 遺言書がある場合:遺言書の内容に従って手続きを進めます。
  • 遺産分割協議を行う場合:相続人全員で話し合い、知的財産権を誰が取得するのかを決定します。

手続きの際は、特許庁に対して相続を証明する公的書類(戸籍謄本一式、遺産分割協議書または遺言書など)を提出します。登録が完了して初めて、第三者に対してその権利を主張できるようになります。

手続きを放置するリスク

「今は特に事業として展開していないから」と、特許庁への移転登録手続きを放置するのは禁物です。権利の移転登録を行わないままでいると、以下のようなトラブルが発生するおそれがあります。

  • 権利の維持に必要な特許料(年金)の納付期限を逃してしまう
  • 他者による侵害行為に対して法的措置が取れない
  • 次の相続が発生した際に、権利関係がさらに複雑化する

特許権等には存続期間の制限もあります。期限管理も含めて、速やかに専門家へ相談しながら手続きを進めることが重要です。

著作権の相続とJASRACなど管理団体への手続き

小説、絵画、音楽、プログラムなどの創作物にかかる著作権は、特許庁ではなく文化庁が管轄する権利ですが、特許権とは異なり、権利の発生自体に登録は必要ありません。亡くなった時点で自動的に著作権は相続人に引き継がれます。

ただし、著作権のなかでも「著作者人格権(公表権や氏名表示権など)」は一身専属的な権利とされているため、相続の対象外となり、相続人に引き継がれることはありません。あくまで財産権としての著作権が相続の対象となります。

著作権管理団体(JASRAC等)への分配金請求

故人が音楽著作物を残しており、JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)などの著作権管理団体と管理委託契約を締結していた場合、死後も著作権の存続期間内(原則として著作者の死後70年まで)は、楽曲の使用料や分配金が発生します。

これらの未払いの分配金を受け取るため、および今後の分配金受取口座を変更するためには、各管理団体への相続手続き(名義変更および未収分配金の請求手続き)が必要です。

  • 故人の戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書または遺言書
  • 相続人全員の印鑑登録証明書

これらの書類を揃え、各団体所定の相続届を提出することで、権利者としての登録が完了し、以降の分配金を受け取ることができるようになります。

知的財産権の評価と遺産分割の注意点

知的財産権を相続する際、もうひとつの大きな課題となるのが「その権利にどれだけの経済的価値があるのか」という評価の問題です。不動産や株式とは異なり、特許権や著作権の市場価格を客観的に算定することは容易ではありません。

特定の相続人が事業を継承するために特許権を単独で取得する場合、他の相続人との間で不公平感が生まれ、遺産分割トラブルに発展するケースも少なくありません。

公正な遺産分割のためのポイント

知的財産権をめぐるトラブルを防ぐためには、以下の点に留意して進めましょう。

  • 専門家(弁護士や弁理士など)による経済的価値の評価・査定を行う
  • 知的財産権を取得する代わりに、他の相続人に代償金を支払う(代償分割)方法を検討する
  • 将来の収益見込みについても相続人間で十分に話し合う

知的財産権の相続は、法律的な知識だけでなく、特許庁や各種団体特有の行政手続きが絡む非常に専門性の高い分野です。複雑な権利関係で悩んだときは、一人で抱え込まず、相続問題に強い法律事務所や専門家へ早めにご相談ください。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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