親の遺産を兄弟で等分に分ける際、預貯金や不動産の換価金などを2人で綺麗に割ろうとしても、割り切れない「1円」の端数が発生することがよくあります。
遺産の総額が大きい場合には些細な金額に思えるかもしれませんが、遺産分割協議書を作成する上では、この1円の処理についても明確にしておく必要があります。
今回は、遺産分割における「1円」の端数処理の方法や、遺産分割協議書の書き方について分かりやすく解説します。
親の遺産を等分する際に出る1円の端数はどう処理すべき?
遺産を兄弟で等分(法定相続分どおりや、遺言書なき協議での折半など)にする場合、奇数の金額を2で割ると必ず「1円」の端数が生じます。この端数の処理方法としては、主に以下の3つの選択肢が考えられます。
- 一方の相続人が1円多く相続する
- 端数の1円分を切り捨てて双方が同額を受け取る
- 端数の1円をユニセフなどの団体へ寄付する
どの方法を選ぶ場合であっても、相続人同士が納得していれば法律上問題はありません。ただし、法務局での手続きや銀行の口座解約などにおいて、金額の不一致が生じないよう適切な処理を行うことが求められます。
一方が1円多く取る方法
最も実務的で手間の少ない方法は、「兄(または弟)が1円多く相続し、もう一方が1円少なく相続する」というやり方です。
例えば、遺産の総額が1,000万円ではなく、端数のある金額で1,000万1円だった場合、兄が5,000,001円、弟が5,000,000円を取得するという形にします。こうすることで、遺産の総額と各人の取得分の合計が完全に一致し、金融機関での手続きもスムーズに進みます。
1円を切り捨てる・または寄付する方法
金額の総額にこだわりたい場合や、どちらかが多くもらうことに抵抗がある場合は、「端数の1円を切り捨てて同額ずつ分ける」という方法もあります。
切り捨てられた1円は、どこかの銀行口座に残したままにするか、あるいは「端数金は〇〇へ寄付する」といった取り決めをすることも可能です。ただし、金融機関の口座を完全に解約する際には、1円単位での残高調整が必要になるため、銀行側の窓口で事前に確認することをおすすめします。
遺産分割協議書への具体的な書き方と注意点
端数の処理方法を決めたら、必ず「遺産分割協議書にその旨を明記(端数調整条項)」しなければなりません。記載漏れがあると、後々「聞いていない」「計算が合わない」といった親族間トラブルに発展するリスクがあります。
端数調整条項の文例
遺産分割協議書に記載する際は、以下のような条文を挿入します。
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【文例1】(一方が多く取る場合) 「長男〇〇と次男〇〇は、本遺産分割協議書に記載する各預貯金の分割において生じた1円の端数については、長男〇〇がこれを取得するものとする。」
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【文例2】(切り捨てる場合) 「相続人らは、本遺産分割における換価代金の分割において生じた1円未満の端数については、これを切り捨てるものとする。」
このように、「誰が端数を取得するか」「どのように処理するか」を具体的に文章化しておくことが、円満な相続手続きのポイントとなります。
2024年以降の相続登記や不動産手続きにおける注意点
なお、遺産に不動産が含まれている場合、2024年(令和6年)4月1日から「相続登記の申請が義務化」されています。不動産の名義変更だけでなく、預貯金の解約やその他の遺産分割においても、正確な書類作成が不可欠です。
近年では、2026年4月に予定されている「住所変更登記の義務化」や、法務局における「所有不動産記録証明制度」の開始など、不動産・相続をめぐる法制度のデジタル化や厳格化が進んでいます。
わずか1円の端数であっても、いい加減に扱わず、正確な書面を作成することで、将来的なリスクや無用なトラブルを確実に防ぐことができます。遺産の分け方や書類の不備に不安がある場合は、専門家である弁護士などのサポートを受けることも検討してみましょう。
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