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親が「内縁の妻」と同居していました。
内縁の妻に実家の相続権はありますか?

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

内縁の妻に実家の相続権はあるのか?

Q 親が「内縁の妻」と同居していました。内縁の妻に実家の相続権はありますか?
A 法律上の婚姻関係(入籍)がない内縁の妻には、法定相続権は一切ありません。実家の所有権を内縁の妻に残したい場合、生前遺言などの法的措置が必須となります。

親が長年連れ添ったパートナー(内縁の妻・夫)と同居している場合、実家の相続を巡ってトラブルに発展するケースが後を絶ちません。

結論からお伝えすると、内縁関係のパートナーには法律上の相続権が認められていません。そのため、何もしなければ実家はすべて血縁関係のある相続人(子供や兄弟姉妹など)の所有となります。

本記事では、内縁の妻と相続権の法律上の扱いや、内縁の妻に実家を遺すための具体的な方法、そして2024年の相続登記義務化をはじめとする最新の注意点について詳しく解説します。

内縁の妻に相続権がない理由と法的立場

日本の民法では、夫婦の相続権について厳格に定めています。法律上の婚姻関係(入籍)がある配偶者には「配偶者相続人」としての強い権利が認められますが、事実婚である内縁の妻は、法律上の「配偶者」には該当しないためです。

そのため、親が亡くなった際、遺言書が残されていない場合は以下のような問題が生じます。

  • 法定相続人(子供など)が実家を相続する
  • 相続人から内縁の妻に対して「家から出ていってほしい」と立ち退きを求められる可能性がある
  • 自宅に住み続ける法的根拠を失ってしまう

このように、長年生活を共にしてきたパートナーであっても、法律婚をしていない限り、相続においては第三者と同じ扱いになってしまいます。

内縁の妻に実家を渡すための3つの方法

「実家を内縁の妻に遺したい」と親が考えている場合、生前のうちに明確な法的手続きを行っておく必要があります。主な方法は以下の3つです。

1. 生前遺言書の作成(最も確実な方法)

遺言書を作成し、内縁の妻に実家を「遺贈(いぞう)」する旨を明記するのが最も一般的かつ確実な方法です。遺言には自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、形式の不備や死後の偽造を防ぐため、公証役場で作成する「公正証書遺言」を強く推奨します。

2. 生前贈与の活用

生きているうちに実家の名義を内縁の妻に変更(生前贈与)する方法もあります。ただし、不動産の贈与には登録免許税や不動産取得税がかかるほか、高額な贈与税が発生するリスクがあるため、税理士等の専門家に相談しながら進める必要があります。

3. 死因贈与契約の締結

「自分が亡くなったときに実家を贈与する」という契約を、生存中に内縁の妻との間で結んでおく方法です。遺言書と異なり双方の合意が必要ですが、公正証書で残しておくことで確実性を高めることができます。

相続人が注意すべき「遺留分」のトラブル

内縁の妻に遺言書で実家を遺す場合、注意しなければならないのが「遺留分(いりゅうぶん)」の問題です。

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者・子・直系尊属)に最低限保障されている遺産の取得分です。内縁の妻には遺留分がありませんが、残された子どもなど相続人には遺留分が認められています。

もし、親が「すべての財産(実家含む)を内縁の妻に相続させる」という遺言書を残して亡くなった場合、子どもなどの相続人は内縁の妻に対して「遺留分侵害額請求」を行う権利が発生します。この請求がなされると、内縁の妻は金銭でその分を支払わなければならなくなり、結果的に実家を手放さざるを得なくなるケースもあります。

トラブルを避けるためには、遺留分に配慮した遺言書の作成や、生前の綿密な財産設計が不可欠です。

近年の法改正における重要ポイント

不動産の相続や名義変更に関しては、近年相次いで重要な法改正が行われています。内縁関係の有無に関わらず、実家を巡る手続きでは以下の点に注意が必要です。

  • 2024年4月:相続登記の申請義務化 相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記の申請をすることが義務化されました。正当な理由なく放置すると過料(ペナルティ)の対象となります。
  • 2026年4月までに開始:住所変更登記の義務化 引越しなどで住所が変わった際、2年以内の変更登記が義務付けられます。
  • 所有不動産記録証明制度の導入 被相続人が所有していた不動産の情報を一覧で証明できる制度が新設され、全国の不動産調査がスムーズになりました。

内縁の妻に実家を遺す遺言書を作成したあとも、これらの法改正に対応した速やかな名義変更の手続きが求められます。

まとめ:内縁関係の相続は専門家への相談を

親が内縁の妻と同居しているケースでは、法律上の相続権がないことから、残されたパートナーが住む家を失うなどの深刻なトラブルに発展しやすくなります。

内縁の妻に実家を確実に引き継ぎたい、あるいは相続人として遺産分割や遺留分の問題でお悩みの方は、自己判断で進めず、相続問題に強い弁護士や司法書士などの専門家へ早めにご相談ください。適切な遺言書の作成や、円満な解決に向けたサポートを受けることができます。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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