亡くなった親の遺品を整理している際、「遺言書が2通出てきた」というケースは珍しくありません。内容が同じであれば問題ありませんが、日付や遺産分割の内容が異なっている場合、どちらが優先されるのか不安になる方は多いでしょう。
結論からお伝えすると、原則として「日付が新しい遺言書」が優先されます。
このページでは、複数の遺言書が見つかった場合の法律上のルールや、内容が矛盾しているときの対処法、注意すべきポイントについて詳しく解説します。
2通の遺言書がある場合の優先順位の基本ルール
民法では、遺言者はいつでも、どのような方法でも、遺言の全部または一部を撤回できると定められています。そのため、複数の遺言書が見つかった場合は、次のような判断基準が適用されます。
日付が新しい遺言書が優先される
前後して作成された遺言書の内容が矛盾している場合、民法の規定により、「作成日の最も新しい遺言書」が優先されます。これは、被相続人(亡くなった親)の「最後に下した意思」を尊重するためです。
たとえば、1通目の遺言書に「自宅の不動産は長男に相続させる」と書き、その2年後に作成された2通目の遺言書に「自宅の不動産は次男に相続させる」と書かれていた場合、新しい2通目の内容が優先され、次男が相続することになります。
内容が抵触しない部分は両方有効になる
2通の遺言書があるからといって、古い方の遺言書がすべて無効になるわけではありません。新旧の遺言書の内容が重複せず、矛盾しない部分については、両方とも有効となります。
- 1通目の遺言書:「預貯金Aを長女に相続させる」
- 2通目の遺言書:「自宅の不動産を長男に相続させる(預貯金についての記載なし)」
上記のようなケースでは、日付の新しい2通目で自宅の相続人が指定されていますが、預貯金については古い1通目の記載が有効に活きるため、長女が預貯金を相続することができます。
遺言書の形式や種類による優先順位の違い
「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」など、作成された形式が異なる場合、どちらが強いのか疑問に思う方もいるでしょう。
結論として、遺言書の法的形式(種類)によって優先順位が変わることはありません。公正証書遺言であっても、それより後に作成された自筆証書遺言の方が日付が新しければ、新しい自筆証書遺言が優先されます。
ただし、自筆証書遺言は形式の不備による無効リスクや、偽造・変造のリスクが公正証書遺言に比べて高くなります。そのため、形式の有効性を慎重に確認する必要があります。
複数の遺言書を見つけたときの注意点
複数の遺言書を発見したときは、勝手に開封したり処分したりせず、以下の手順と注意点を守りましょう。
家庭裁判所の「検認」手続を行う
自宅で自筆証書遺言や秘密証書遺言を見つけた場合、勝手に開封してはいけません。相続人またはその代理人は、遺言書を発見したら速やかに家庭裁判所へ「検認(けんにん)」を申し立てる必要があります。
- 検認は遺言書の偽造・変造を防ぐための手続きです
- 公正証書遺言である場合、検認の手続きは不要です
相続人同士で勝手に判断しない
「日付が新しいからこちらの勝ちだ」「古い内容の方が納得できる」など、相続人同士の話し合いだけでどちらの遺言書を有効とするか勝手に決めるのは危険です。
法律の解釈や「内容が抵触しているかどうか」の判断は複雑であり、後々トラブルに発展する原因になります。特に、2024年4月に施行された相続登記の義務化や、不動産に関する権利関係の整理においても、正確な法的判断が不可欠です。
トラブルを防ぐために専門家へご相談を
親が残した遺言書が2通ある場合、その有効性や優先順位の判断は、相続人関係や財産の種類によって非常にデリケートな問題となります。
「どちらの遺言書が優先されるのか判断がつかない」「相続人同士で意見が対立しそう」といったお悩みを抱えたときは、自己判断で進めず、相続トラブルの解決実績が豊富な弁護士などの専門家へ早めにご相談ください。正確な法的アドバイスのもと、円満かつ確実な相続手続きを進めることができます。
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