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親が亡くなる前に子どもが亡くなっていたら?
「代襲相続」の範囲と孫の権利

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

代襲相続とは

Q 親が亡くなる前に子どもが亡くなっていた場合、相続権はどうなりますか?代襲相続の範囲と孫の権利について教えてください。
A 【代襲相続の要点と範囲】本来相続人である子どもや兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、その子ども(孫や甥・姪)が代わりに相続権を引き継ぐ「代襲相続」が発生します。子どもの代襲はひ孫へどこまでも続きますが、兄弟姉妹の代襲は甥・姪の代(1代限り)までとなり、相続放棄した場合は代襲相続は起きない点に注意が必要です。
【実務上の注意点と対策】代襲相続が発生すると、相続人の調査・確定のために集める戸籍謄本の範囲が広がり、手続きが複雑化します。遺産分割協議やその後の不動産登記を円滑に進めるためにも、早い段階で専門の弁護士へ相談し、正確な相続人特定とトラブル防止を図ることを強くおすすめします。

相続が発生した際、本来であれば遺産を受け取る権利を持っていた人が、すでに亡くなっているというケースは少なくありません。たとえば、「父親(被相続人)が亡くなったが、長男は数年前にすでに病気で他界している」といった状況です。 このような場合、長男が受け取るはずだった相続の権利は消滅するわけではなく、長男の子ども(被相続人から見て孫)へと引き継がれます。このように、本来の相続人に代わって、その下の世代が相続権を引き継ぐ仕組みを「代襲相続」と呼びます。

代襲相続が発生する3つのケース

代襲相続は、単に本来の相続人が亡くなっている場合だけでなく、以下の3つのケースで発生します。

  1. 死亡:本来の相続人が被相続人より先に(または同時に)亡くなっている場合。

  2. 相続廃除:生前に被相続人に対して虐待などを行い、家庭裁判所によって相続権を剥奪された場合。

  3. 相続欠格:被相続人を殺害しようとしたり、遺言書を偽造したりして、法律上当然に相続権を失った場合。

なお、本来の相続人が自ら「相続放棄」をした場合は、最初から相続人ではなかった扱いになるため、その子どもへの代襲相続は発生しません。

代襲相続人になる範囲はどこまで?

代襲相続によって相続権を引き継ぐことができるのは、どの範囲の親族までなのでしょうか。第一順位(子)の場合と、第三順位(兄弟姉妹)の場合でルールが異なります。

子どもが亡くなっている場合(孫・ひ孫)

本来の相続人が「被相続人の子ども」である場合、代襲相続人は「孫」になります。もし孫もすでに亡くなっている場合は、「ひ孫」へと相続権が引き継がれます。これを「再代襲相続」と呼び、直系卑属(下へと続く血筋)である限り、ひ孫、玄孫(やしゃご)と際限なく代襲相続が続きます。

ただし、代襲相続ができるのは被相続人の「直系卑属」に限られます。たとえば、子どもが亡くなっていてその配偶者(子の妻や夫)が存命であっても、配偶者は代襲相続人にはなれません。

兄弟姉妹が亡くなっている場合(甥・姪)

亡くなった方に子どもや親がおらず、第三順位である「兄弟姉妹」が本来の相続人になるケースもあります。このとき兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子どもである「甥(おい)・姪(めい)」が代襲相続人となります。

しかし、子どものケースとは異なり、兄弟姉妹の代襲相続は「1代限り」と法律で決められています。つまり、甥や姪もすでに亡くなっている場合、甥・姪の子ども(被相続人から見て大甥・大姪)への再代襲相続は発生しません。

代襲相続の手続きと注意点

代襲相続が発生している相続では、通常の相続よりも手続きが複雑になりがちです。とくに注意すべき点について解説します。

膨大な戸籍収集が必要になる

遺産分割や名義変更の手続きでは、法的な相続人を確定させるために戸籍謄本を収集する必要があります。代襲相続が発生している場合、「被相続人の出生から死亡までの戸籍」に加えて、「本来の相続人(亡くなった子など)の出生から死亡までの戸籍」、そして「代襲相続人(孫など)の現在の戸籍」をすべて集めなければなりません。

昔の戸籍(除籍謄本や改製原戸籍)をさかのぼって取得する作業は非常に手間がかかり、専門知識がないと漏れが生じやすいため、注意が必要です。

2024年からの相続登記義務化への影響

2024年(令和6年)4月1日より、相続登記が義務化されました。不動産の取得を知った日から3年以内に登記を行わないと過料の対象となる可能性があります。また、2026年(令和8年)4月からは所有者の住所変更登記なども義務化されます。(これに伴い、所有不動産記録証明制度なども新設・整備されています。)

代襲相続が起きていると、相続人の数が増え、疎遠な親族(甥や姪など)と遺産分割協議を行わなければならないケースも多くなります。協議が難航したり戸籍収集に時間がかかったりすることで登記の義務化期限を過ぎてしまわないよう、代襲相続の事実が判明した時点から迅速に手続きを進めることが重要です。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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