戸籍謄本で発覚する「知らない相続人」とは
相続手続きの第一歩は、故人(被相続人)の「生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本」を収集し、誰が法定相続人であるかを確定させることです。この過程で、ご家族が全く知らされていない「認知された子ども(隠し子)」の存在が発覚するケースが少なくありません。
もし認知されている子がいた場合、その子は法律上、正当な法定相続人(第一順位)として扱われます。かつては、婚姻関係にない男女の間に生まれた子(非嫡出子)の法定相続分は、婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子(嫡出子)の2分の1とされていました。しかし、平成25年(2013年)の民法改正により、現在では非嫡出子も嫡出子と全く同じ割合の相続権を持っています。
隠し子を除外した遺産分割は「無効」
遺産をどう分けるかを話し合う「遺産分割協議」は、法定相続人「全員」の参加と合意(実印の押印・印鑑証明書の添付)が不可欠です。もし、発覚した隠し子に連絡を取らず、現在の家族だけで遺産分割協議書を作成しても、その協議は法的に無効となります。 無効な協議書では、銀行の預金解約や、法務局での不動産の相続登記(2024年から義務化)を進めることはできません。不動産の名義変更ができないと、将来売却することもできず、後々大きなトラブルの種を残すことになります。
戸籍から「認知」を読み取る方法
故人が子どもを認知しているかどうかは、故人の戸籍謄本(または除籍謄本・改製原戸籍)を確認することで判明します。 戸籍の「身分事項」の欄に「認知」という項目が記載されていれば、その方が認知した子どもが存在することになります。記載内容には、認知した子どもの氏名や、認知した日付などが記されています。
ただし、戸籍は法律の改正によって何度か作り直されているため(改製)、最新の戸籍だけを見ても、過去の認知の事実が記載されていないことがあります。そのため、必ず「出生から死亡まで」すべての戸籍を遡って確認する作業が必要になるのです。
知らない相続人が見つかった場合の対応方法
では、実際に隠し子の存在が判明した場合、どのように手続きを進めればよいのでしょうか。
1. 相手の連絡先(現在の住所)を特定する
まずは、相手の方に連絡を取る必要があります。相手の現在の住所を知るためには、戸籍の附票(本籍地の役所で取得できる、住所の履歴が記載された書類)を取得します。故人の相続人という正当な理由があれば、職務上や手続き上の正当な範囲で住民票等の取得が可能です。
2. 手紙等で丁寧に事情を説明する
住所が分かったら、いきなり訪問するのではなく、まずは丁寧な手紙を送るのが一般的です。手紙には以下の内容を記載します。 ・故人が亡くなったこと ・相続手続きのために連絡したこと ・財産の内容(おおまかな目録) ・今後、どのように遺産分割を進めたいかの意向
相手にとっては突然の連絡であり、驚きや警戒を抱くことも珍しくありません。感情的な対立を避けるためにも、客観的な事実と誠意を伝えることが重要です。
3. 話し合い(遺産分割協議)を行う
相手から連絡があれば、具体的な遺産の分け方について協議を行います。相手が「相続分はいらない」と主張した場合は、「相続放棄」の手続きを家庭裁判所で行ってもらうか、遺産を「ゼロ」とする遺産分割協議書に実印を押してもらう必要があります。 もし、相手が法定相続分(権利としての正当な割合)を求めてきた場合は、法律の定めに従って財産を分ける方向で調整を進めます。
専門家への相談を検討すべきケース
隠し子の方との交渉は、感情的なもつれに発展しやすく、直接やり取りすることが精神的に大きな負担となることが多いです。また、相手が手紙を無視して連絡が取れない場合や、無理な要求をしてくる場合もあります。 このような場合は、弁護士などの専門家に代理人として交渉を依頼するか、家庭裁判所の遺産分割調停を利用することを検討しましょう。特に、不動産が含まれており2024年に義務化された相続登記の期限(3年以内)が迫っている場合などは、早期の解決が求められますので、早めに専門家に相談することをおすすめします。
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