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家庭裁判所での「手話通訳・外国語通訳」の配置と国際相続調停

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

国際的な背景を持つ相続や、耳や言葉の不自由な方が関わる相続手続きでは、通常の調停とは異なる配慮が必要となります。特に家庭裁判所での調停や審判において言葉の壁がある場合、適切なサポートが受けられるか不安を感じる方も多いでしょう。

家庭裁判所では、当事者が円滑に手続きを進められるよう、手話通訳や外国語通訳の配置制度が用意されています。ここでは、国際相続調停や障害を持つ相続人の参加における通訳の手配方法と費用負担について分かりやすく解説します。

家庭裁判所における通訳人の配置と国際相続調停の進め方

Q 家庭裁判所の国際相続調停で、外国語の通訳や手話通訳は利用できますか?
A はい、利用できます。日本語での意思疎通が困難な外国籍の相続人や、聴覚等に障害のある相続人がいる場合、家庭裁判所に申し出ることで手話通訳や外国語通訳人を選任・配置してもらうことが可能です。

国際相続では、被相続人や相続人が外国籍であるケースや、海外に居住しているケースが珍しくありません。また、相続人の中に聴覚障害や言語障害を持つ方が含まれる場合もあります。

家庭裁判所での手続きにおいて、日本語での十分な意思疎通ができないまま進行すると、法的な権利が守られなかったり、正確な合意形成ができなくなったりするおそれがあります。そのため、裁判所は公平な手続きを保障する観点から、必要に応じて通訳人を介在させる仕組みをとっています。

国際相続調停とはどのような手続きか

国際相続調停は、被相続人の国籍や遺産の所在地、相続人の国籍などが複数の国にまたがる場合に利用される裁判所の手続きです。どの国の法律を適用すべきかという「準拠法」の判断が必要になるほか、海外にいる相続人との連絡調整や書類のやり取りが発生するため、専門的な知識が求められます。

言葉の壁がある中でこうした複雑な調停を行う場合、正確な通訳の存在は、正確な事実関係の把握や納得のいく解決のために不可欠となります。

通訳の手配方法と手続きの流れ

家庭裁判所で手話通訳や外国語通訳を利用するためには、原則として、事前に裁判所へその旨を伝え、手配を依頼する必要があります。

調停の申し立てを行う際、あるいは期日が指定された段階で、担当の書記官に対して通訳が必要である旨を速やかに申し出ることが重要です。

通訳手配の具体的なステップ

  • 調停の申し立て時または呼出状の受領後に、日本語での意思疎通が困難である事情や手話が必要な事情を裁判所に伝える。
  • 裁判所側で対応可能な言語や手話通訳者のスケジュールを確認し、期日に合わせて通訳人を選任する。
  • 選任された通訳人が調停期日に同席し、裁判官や調停委員と当事者の発言を翻訳・通訳する。

なお、対応する言語によっては、通訳者の確保に時間がかかる場合があります。手続きをスムーズに進めるためにも、通訳の必要性が判明した段階で早めに裁判所へ相談することが大切です。

通訳人を利用する際の費用負担について

通訳人を利用する際にもっとも気になるのが、「その費用は誰が負担するのか」という点でしょう。

家庭裁判所の調停における通訳費用は、原則として「国の負担」または「当事者の負担(予納)」に分かれますが、国際相続や障害者支援の文脈においては、裁判所が手配した通訳の費用がどのように扱われるかが重要となります。

費用の原則と実務上の扱い

  • 裁判所が職権または必要性から選任した通訳人の費用は、原則として国費(裁判所の予算)から支弁されるケースが多く見られます。
  • ただし、当事者の申し出内容や事案の性質によっては、手続きの費用として当事者が予納を求められる場合もあります。
  • 予納が必要となる場合でも、最終的な訴訟費用・手続費用の負担割合について調停の中で合意するか、裁判所の判断によって決定されます。

具体的な費用の取り扱いや予納の有無については、個別の事案や家庭裁判所の運用によって異なるため、申し立てを行う際や事前の打ち合わせの際に、必ず担当書記官へ確認するようにしてください。

最新の法改正と国際相続手続きにおける注意点

相続手続きを取り巻く法制度は近年大きな変化を見せており、国際相続を進める際にも最新の法令を意識する必要があります。

2024年4月からは相続登記の申請が義務化されており、期限内に手続きを行わない場合には過料の対象となる可能性があります。これは外国籍の相続人が関わる不動産相続であっても例外ではありません。

また、2026年4月には住所変更登記の義務化も控え、登記簿上の情報を正確に保つ重要性が高まっています。海外に居住する外国籍の相続人が日本の不動産を相続する場合、必要書類の収集(本国の宣誓供述書やサイン証明など)や、正確な翻訳文の添付が求められるため、手続きの難易度はさらに上がります。

国際相続調停で手話通訳や外国語通訳を利用しながら遺産分割の合意を目指す場合でも、その後の登記手続きまで見据えたスケジュール管理が不可欠です。言葉の壁や複雑な法的手続きに直面したときは、無理に自己判断せず、相続問題に強い専門家に相談することをおすすめします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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