相続した共有持分の土地を1人だけ国庫に帰属させることはできる?
実家をきょうだい3人で相続し、土地が共有名義になったというケースは非常に多く見られます。「遠方に住んでいて管理できない」「自分はいらないので国に返したい」と考えても、共有不動産の扱いは単独所有とは異なるルールが適用されます。
本記事では、きょうだい3人で共有する土地を「相続土地国庫帰属制度」を利用して手放す際の大原則と、知っておくべき注意点を分かりやすく解説します。
相続土地国庫帰属制度における「共有地」のルール
相続した不要な土地を手放すための法制度として「相続土地国庫帰属制度」があります。しかし、この制度を利用するにあたって、共有地に関する重要な法律上の制限が存在します。
持分のみの単独申請はできない
きょうだいや親族で土地を共有している場合、共有者のうち1人だけが自分の持分のみを切り離して国庫に帰属させることは一切できません。
国が土地を引き取る場合、その土地の管理権や所有権を完全に取得することが前提となります。一部の持分だけを引き受けてしまうと、国と他の共有者との間で管理上のトラブルが生じるおそれがあるため、持分のみの申請は法律で認められていません。
制度を利用するには「共有者全員での共同申立て」が必須
共有地を相続土地国庫帰属制度に申し込むためには、共有者全員が合意した上で、共同で申請手続きを行う必要があります。
つまり、きょうだい3人のうち1人でも「国に返すのは反対だ」「土地を手元に残したい」と主張する人がいる場合、この制度を利用することはできません。
共有地の国庫帰属を進めるためのステップと注意点
きょうだい3人で共有している土地を国庫に帰属させるためには、事前の話し合いと共通の理解が不可欠です。円滑に進めるためのポイントを見ていきましょう。
1. きょうだい全員の意思統一と費用の分担
国庫帰属の申請を行う際には、国への審査手数料や、承認された場合に納付する「負担金(10年分の土地管理費相当額)」などが発生します。
- 申請にかかる初期費用(審査手数料)の分担
- 土地を手放すことについての全員の合意形成
- 将来の管理責任(固定資産税や草刈り費用など)の免除に向けた協力体制
これらを事前にしっかりと話し合っておくことが重要です。
2. 対象外となる土地の条件を確認する
共有者全員の合意が取れても、土地の状態によっては国の審査で却下されてしまいます。以下の土地は国庫帰属の対象外となります。
- 建物が建っている土地(建物を取り壊して更地にする必要があります)
- 抵当権や賃借権などの権利が設定されている土地
- 通路として他人に利用されているなど、利用に制限がある土地
- 一定の勾配や崖があり、管理に過多な費用や労力がかかる土地
特に、きょうだいで相続した古い実家などが建っている場合は、事前に建物を解体して更地にすることが大前提となります。
最新の法改正における注意点(登記の義務化)
不動産の相続に関しては、近年の法改正によりルールが大きく変わっています。
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を行わなければ、過料(罰則)の対象となります。また、2026年4月からは住所変更登記の義務化もスタートします。
共有名義のまま放置していると、将来的にきょうだいの誰かが亡くなった際、さらに権利関係が複雑化(甥や姪が相続人に加わるなど)し、国庫帰属の申請に必要な「全員の合意」を取ることが極めて困難になります。
不動産の放置は避け、早期に適切な手続きを進めることが求められます。
まとめ
きょうだい3人で相続した共有持分の土地を1人だけ国庫に帰属させることは、制度上不可能です。土地を手放すためには、必ず共有者全員が共同で申立てを行う必要があります。
「他のきょうだいが協力的ではない」「手続きの方法や必要書類が複雑で分からない」とお悩みの方は、不動産トラブルや相続問題に精通した専門家(弁護士や司法書士など)に一度ご相談されることを強くおすすめします。正確な法知識をもとに、最適な解決策を提案してもらえるでしょう。
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