借地権付きの土地(底地)は、そのままでは国庫帰属できない
親から相続した不動産の中に、他人に貸している土地(底地)が含まれているケースは少なくありません。底地は地代が入ってくる一方で、固定資産税の負担があり、将来的な活用も難しいことから、「国に引き取ってもらいたい」と考える相続人が増えています。
しかし、利用したい相続土地国庫帰属制度では、他人の権利(借地権など)が及んでいる土地は、原則として却下または不承認の対象となります。国に引き渡すためには、土地の所有権だけでなく、権利関係を完全にクリアにする手続きが不可欠です。
底地を国庫帰属させるための前提条件とハードル
土地を手放したい地主にとって、借地権が存在する底地を国に引き取ってもらうためには、クリアしなければならない高いハードルがあります。
管理処分を阻害する権利の存在
相続土地国庫帰属制度では、建物がある土地や、地上権・賃借権などの私権が設定されている土地は、国の管理を妨げるものとして対象外とされています。
つまり、地主が単独で申請書を提出しても、借地人がその土地に建物を建てて居住あるいは営業している限り、国は引き取りを認めません。国庫帰属を実現するためには、まずこの借地権を消滅させる必要があります。
2024年相続登記義務化との関係
近年、不動産を巡る法改正が相次いでいます。2024年4月からは相続登記の申請が義務化され、放置された不動産に対するペナルティが厳格化されました。
また、2026年4月には住所変更登記の義務化も控えており、使わない不動産をそのまま保有し続けるリスクは高まる一方です。底地であっても例外ではなく、早めの処分検討が求められます。
借地権を解消して更地にするための具体的なステップ
底地を国庫帰属させるためには、借地人との交渉を通じて「借地権の抹消」を行う必要があります。主なステップは以下の通りです。
- 借地人とのコミュニケーションと意向確認
- 借地権の合意解約に関する条件交渉(立ち退き料などの検討)
- 建物取り滅しと滅失登記の実施
- 土地の境界確定と土壌汚染等の調査
- 相続土地国庫帰属制度の申請
1. 借地人との交渉と合意解約
まずは、借地人に対して土地を返還してほしい旨を伝え、協議を開始します。借地権は法律で強く守られている権利であるため、地主の都合だけで一方的に消滅させることはできません。
一般的には、借地権を手放してもらう見返りとして、「立ち退き料」や「移転費用」などを地主側が支払う合意が必要となります。
2. 建物の取り壊しと権利抹消登記
借地人との合意が成立したら、土地上の建物を取り壊し、建物の滅失登記を行います。その後、登記簿上の借地権(賃借権や地上権)の登記を抹消します。これにより、土地は地主の完全な支配下(更地)に戻ります。
3. 国庫帰属の審査申請
更地になった段階で、はじめて相続土地国庫帰属制度の申請が可能になります。国による審査では、境界の争いがないか、土壌汚染や地下埋設物がないかなどが厳しくチェックされます。
交渉トラブルを防ぐために弁護士等の専門家に相談を
借地権の解消は、地主と借地人の長年の関係性も絡むため、非常にデリケートな交渉となります。「高額な立ち退き料を要求された」「話し合いが進展しない」といったトラブルに発展するケースも少なくありません。
また、無理な交渉をして法的トラブルになると、時間も費用も余計にかかってしまいます。
底地の国庫帰属や借地権の抹消をスムーズに進めたい場合は、不動産法務に強い弁護士などの専門家に早めに相談し、適切な法的手続きと交渉のアドバイスを受けることを強くおすすめします。
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