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2026年4月1日施行「改正家族法」:離婚後の「共同親権」導入と相続・親権

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

2026年4月1日より、離婚後における父母の双方を親権者とすることができる「改正家族法(民法等の一部を改正する法律)」が施行されます。これまで原則として単独親権とされていた日本の家族法制において、大きな転換点を迎えることとなります。

この改正により、未成年者の子の養育環境だけでなく、相続手続きや親権行使のあり方にも多大な影響が及ぶことが予想されます。本記事では、離婚後の「共同親権」が導入された場合における、相続手続きや親権行使の注意点について分かりやすく解説します。

2026年4月施行の改正家族法:共同親権と相続への影響

Q 2026年4月の改正家族法で離婚後共同親権が導入された場合、未成年者の子が関わる遺産分割協議や相続手続きはどう変わりますか?
A 【遺産分割における父母双方の代理人関与】2026年4月1日施行の改正家族法により、離婚後も共同親権を選択している場合、未成年者の子を含めて遺産分割協議を行う際は、原則として父母双方が代理人として関与し共同で親権を行使する必要があります。
【利益相反と特別代理人の選任における注意点】離婚した父母の一方と子が共に相続人となる場合など、父母と子どもの利益が相反する状況では、家庭裁判所へ「特別代理人」の選任申し立てが不可欠となります。法改正に伴う手続きの複雑化を防ぐため、早めに弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。

2026年4月1日に施行される改正家族法では、協議離婚の際などに父母の双方を親権者と定めること(共同親権)が可能になります。すでに離婚している夫婦であっても、子の利益のため必要と認められる場合には、家庭裁判所の審判等により共同親権に変更することが認められるケースもあります。

未成年者が相続人となる場合、親権者がその法定代理人として遺産分割協議などの法律行為を行います。これまでは単独親権が基本であったため、親権を持つ親一人が子の代理人として署名・押印を行えば足りていました。しかし、今後は離婚後も共同親権を選択している場合、原則として父母の双方が合意し、共同して親権を行使しなければならないという重要な変更が生じます。

共同親権における日常の行為と「監護・教育」の範囲

改正法では、共同親権のもとであっても、監護および教育に関する「日常の行為」については、父母の一方が単独で行うことができるとされています。例えば、学校の行事への参加や、一般的な医療行為などがこれに該当します。

しかし、遺産分割協議や不動産の売却、相続放棄といった子の財産に重大な影響を及ぼす行為は、「日常の行為」には該当しません。そのため、共同親権者である父母双方が子のために協力して手続きを進めるか、あるいは親権の分担についての取り決めが必要となります。

緊急時の単独行使の例外

子の進学や医療に関する急迫の事情がある場合など、父母の一方が単独で親権を行使しなければ子の利益が害される状況においては、例外的に単独での親権行使が認められる場合があります。

もっとも、相続手続きや遺産分割は通常、急迫の事情には当たりません。そのため、共同親権者が行方不明である場合や意見が対立している場合には、法的な手続きを進める上で慎重な対応が求められます。

親権者間の利益相反と「特別代理人」の必要性

共同親権が導入されることで、特に実務上問題となりやすいのが「利益相反(りえきそうはん)」の問題です。

例えば、父親が亡くなり、その相続人が後妻(現在の配偶者)と、前妻との間の子(未成年者)であるケースを想定します。前妻と後夫の間で再婚後、共同親権を選択していた場合、前妻(親権者)自身も相続人であり、同時に未成年者の子の法定代理人でもあります。

この場合、母親が自分の取り分を増やそうとすると、子の取り分が減るというように、親と子の利益が真っ向から対立します。

特別代理人の選任手続き

このように、親権者と子の利益が相反する行為については、民法上、親権者は代理権を行使することができません。これは共同親権であっても同様です。

  • 利益相反行為に該当する場合、親権者は子の代理として遺産分割協議等を行うことができない。
  • そのため、子のために家庭裁判所へ「特別代理人」の選任を申し立てる必要がある。
  • 特別代理人には、利害関係のない弁護士や司法書士などの専門家が選任されることが多い。

共同親権の導入により、親権者が二人いるからといって、利益相反の場面で容易に代理行為ができるわけではない点に注意が必要です。父母の意見対立から特別代理人の選任が必要になるケースが増えることも予想されます。

相続登記の義務化と今後の実務への備え

近年の法改正により、不動産の相続登記(所有権の移転登記)が法律上の義務となっています。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければならないため、未成年者が相続人となっている場合でも、放置することは許されません。

2026年4月の改正家族法施行後は、共同親権のもとで未成年者が不動産を相続するケースにおいて、誰がどのように遺産分割をまとめ、登記申請書類に署名・押印するのかという整理が不可欠になります。

  • 共同親権者間の協議が整わない場合、遺産分割協議が長期化するリスクがある。
  • 相続登記の義務化の期限(3年)に間に合わせるため、速やかな親権行使の調整が求められる。
  • 必要に応じて早い段階で専門家に相談し、特別代理人の選任や適切な遺産分割の方法を検討することが重要である。

離婚後の共同親権制度は、子の利益を守るための重要な法改正ですが、相続や財産管理の場面では複雑な法律問題を引き起こす可能性があります。特に不動産を含む遺産相続や、利益相反が懸念される事案に直面した際は、法的な不備や期限超過を防ぐためにも、相続問題や家族法に精通した専門家への早期の相談をおすすめします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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