遺産相続の際、遺留分を侵害されていることが判明し、当事者間の話し合い(交渉)で解決しない場合に利用されるのが、家庭裁判所における「遺留分侵害額請求調停」です。
調停の申し立てを検討する際、多くの方が気になるのが「どのくらいの費用がかかるのか」という点でしょう。
この記事では、調停を自分で進める場合と、弁護士に依頼する場合にかかる費用を詳しく解説し、さらに調停が不成立になって裁判(訴訟)へ移行した場合の追加費用についても分かりやすく解説します。
遺留分侵害額請求の調停にかかる費用の一覧
遺留分侵害額請求の調停を申し立てるにあたっては、裁判所に支払う実費が必要となります。また、手続きをご自身でするか、弁護士に代理人を依頼するかで総額が大きく変わります。
自分で調停を行う場合(実費のみ)
調停手続きをすべてご自身で行う場合、発生する費用は裁判所への実費のみです。
- 収入印紙代:請求する財産の価額(目的の価額)に応じて異なります。例えば、100万円の場合は600円、1,000万円の場合は1万円、5,000万円の場合は2万5,000円などとなります。
- 予納郵券(切手代):裁判所からの連絡書類などの送付に使われます。申立てる裁判所によって異なりますが、概ね数千円程度を用意します。
- 戸籍謄本などの収集費用:被相続人の除籍謄本や相続人の戸籍謄本などを取得するための費用で、数千円程度かかります。
このように、ご自身で申し立てる場合の実費は、請求額にもよりますが総額で1万円〜3万円程度に抑えられます。
弁護士に依頼する場合(実費+弁護士費用)
弁護士に調停の代理人を依頼する場合、上記の実費に加えて弁護士報酬(着手金・報酬金など)が発生します。
- 着手金:結果に関わらず、依頼時に支払う費用です。請求する経済的利益の規模に応じて変動しますが、一般的に数十万円程度が目安となります。
- 報酬金(成功報酬):調停が成立し、実際に遺留分を取り戻せた場合に支払う費用です。回収できた金額(経済的利益)の数%〜16%程度(弁護士報酬規程による)が設定されるのが一般的です。
弁護士費用は事務所ごとに異なりますが、総額で数十万円から場合によっては100万円以上になることもあります。しかし、法的な主張の組み立てや複雑な戸籍収集、裁判所でのやり取りをすべて任せられるため、精神的な負担を大きく軽減できるメリットがあります。
調停が不成立になり裁判(訴訟)へ移行した場合の追加費用
家庭裁判所の調停は、あくまで話し合いによる解決を目指す場です。そのため、当事者間の主張が平行線をたどり、合意に至らない場合は「調停不成立」となり、自動的に地方裁判所での「訴訟(裁判)」へと移行します。
調停から訴訟へ移行した場合、追加で以下のような費用が必要となります。
訴訟移行時の追加費用
- 追加の裁判印紙代・郵便切手代:訴訟を提起(移行)する際にも、請求額に応じた裁判手数料(印紙代)が再度必要になります。ただし、調停ですでに支払った金額との調整や、請求額の変更に伴う追加分が発生します。
- 弁護士の追加着手金・日当など:弁護士に引き続き裁判も依頼する場合、多くの事務所では「調停から訴訟への移行に伴う追加の着手金」が規定されています。また、裁判所に出頭するための日当などが別途発生することもあります。
裁判に発展すると、解決までに1年以上長期化するケースも珍しくなく、それに伴い費用や時間的コストが増加する傾向にあります。
まとめ:費用とリスクを考慮した選択を
遺留分侵害額請求の調停にかかる費用は、ご自身で行う場合は数万円程度の実費で済みますが、弁護士に依頼する場合は専門的なサポートを受けられる一方でまとまった報酬が必要となります。
また、調停が不成立となって裁判に移行した場合には、さらなる追加費用や時間の負担が生じる点にも注意が必要です。
ご自身の経済状況や相手方との関係性、請求額の大きさを考慮し、必要に応じて弁護士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。
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