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「後見制度支援預金(後見支援口座)」とは?
家庭裁判所の指示で大金を管理

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

後見制度支援預金(後見支援口座)の仕組みと役割

親族や専門職が成年後見人等に選任されると、被後見人の財産を管理することになりますが、多額の預貯金を管理する際の不正防止や負担軽減を目的として活用されるのが「後見制度支援預金(後見支援口座)」です。

Q 後見制度支援預金とはどのような仕組みですか?利用するメリットや対象となるケースを教えてください。
A 【制度の仕組みと対象】被後見人の財産のうち日常生活に不要なまとまった預貯金を専用口座に移し、払い戻しに家庭裁判所の指示書を必須とする仕組みです。一般的に預貯金が数百万〜一千万円以上など多額の場合に家庭裁判所から利用が推奨されます。
【利用のメリットと注意点】後見人による財産の使い込みや横領リスクを物理的に防止できるほか、後見人の管理負担軽減や不正を疑われるトラブルを防ぐ効果があります。ただし、日常的な引き出しにも制限がかかるため、具体的な手続きや事前の見通しについては相続や後見実務に精通した弁護士への相談が有効です。

成年後見制度を利用する場合、被後見人の財産が多額であればあるほど、後見人の管理責任は重くなります。この制度を利用することで、日常的に使用しない預金を「指示書なしでは引き出せない状態」にすることができ、万が一の横領リスクを防ぐとともに、後見人自身が管理上のトラブルに巻き込まれるリスクを低減させることが可能です。

制度利用の対象となるケースとメリット

すべての成年後見でこの制度が利用されるわけではありません。一般的に、被後見人の預貯金が一定額(数百万〜一千万円以上など、裁判所が定める基準)を超えている場合に、裁判所から利用を推奨されることが多くあります。

後見制度支援預金を利用する主なメリットは以下の通りです。

後見人の管理負担が軽減される 日常生活費用の口座と、運用・保管用の口座が分離されるため、収支の管理が明確になります。

被後見人の財産が守られる 金融機関側で「家庭裁判所の指示書がない限り払い戻し不可」という制限がかけられるため、後見人による使い込みや不適切な支出を物理的に防止できます。

定期的な報告が簡略化される場合がある 裁判所への報告頻度や内容について、この口座を利用することで負担が軽減されるケースがあります。

一方で、口座からの払い戻しには必ず家庭裁判所の「指示書」を発行してもらう手続きが必要となるため、急な出費が必要になった際には、余裕を持って準備を進める計画性が求められます。

払い戻しの手順と家庭裁判所の役割

後見制度支援預金から金銭を払い戻すには、以下のステップを踏む必要があります。

  1. 後見人が家庭裁判所に報告書と資料を提出し、払い戻しの必要性を説明する。
  2. 裁判所が内容を審査し、問題なければ「指示書」を発行する。
  3. 裁判所から送られてきた指示書を金融機関に持参し、払い戻し手続きを行う。

このプロセスにおいて、裁判所は「本当にその支出が被後見人の利益になるのか」を厳格にチェックします。例えば、高額なリフォーム費用や医療費の支払いなど、日常的な生活費の範囲を超えた支出については、事前の見積書や請求書の提示が必須となります。

また、後見制度支援預金を利用していても、日常生活費用の口座については、これまで通り後見人が適切に管理・報告を行う必要があります。支援預金口座はあくまで「保管」を目的としたものであり、日常的な入出金管理を不要にするものではない点に注意してください。

相続や不動産管理との関連性

成年後見人が管理する財産の中には、預貯金だけでなく不動産が含まれることも少なくありません。2024年4月からは相続登記が義務化され、被後見人が不動産を所有している場合、後見人はその不動産の登記状況にも目を光らせる必要があります。

もし被後見人の不動産を売却する必要が生じた場合、その売却代金は高額になることが一般的です。この場合、売却代金を後見制度支援預金へ預け入れるよう裁判所から指示されることが通常です。不動産という「形のある財産」を「現金(預金)」へと換える際に、不正を防ぐためのセーフティネットとしてこの制度が機能しているのです。

また、将来的に被後見人が亡くなり相続が発生した際には、後見業務は終了し、預金は相続人へ引き継がれることになります。その際も、指示書に基づいた管理がなされていたことで、相続人同士の紛争や財産不明のリスクを抑えることが可能です。

制度を賢く利用するために

後見制度支援預金は、被後見人の財産を確実に守るための非常に強力なツールです。しかし、手続きの煩雑さを懸念して利用をためらう方もいらっしゃいます。

もし、家庭裁判所からこの制度の利用を打診された場合は、以下のポイントを意識して準備を進めてください。

・支出の計画を立てる 突発的な払い戻しは裁判所の手続きに時間がかかるため、年間を通じた生活費や医療費の見通しを早めに立てておくことが重要です。 ・専門家のアドバイスを受ける 後見人として選任された親族が、裁判所とのやり取りや指示書の申請に不安を感じる場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。

成年後見制度は被後見人の権利を守るための大切な制度です。支援預金口座を正しく活用することで、後見人としての職務をより安全に、かつ円滑に遂行できるようになります。不明な点があれば、担当の裁判所書記官や専門家に随時確認し、透明性の高い財産管理を心がけましょう。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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