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親の銀行預金を長年引き出さないと「休眠預金」になる?
死亡口座の相続復活

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

親の預金が「休眠預金」になる仕組みとリスク

親が亡くなった後、生前に利用していた銀行口座を放置してしまうケースは少なくありません。しかし、長期間取引がないまま放置された預金は「休眠預金」として扱われ、そのままでは相続手続きが複雑化する可能性があります。

Q 長年放置した親の預金は、どうなってしまうのでしょうか?
A 最終取引から10年以上経過すると「休眠預金」となり、預金保険機構へ移管される可能性があります。ただし、権利が消滅するわけではなく、金融機関を通じていつでも払い戻しを請求することが可能です。

休眠預金とは何か

「休眠預金等活用法」に基づき、最終の預け入れや払い戻し等の取引から10年以上経過した預金は、休眠預金として扱われます。これらは預金保険機構に移管され、社会福祉活動などの公益活動に活用される仕組みです。

「預金が国に没収されてしまうのではないか」と不安に思う方もいらっしゃいますが、預金者の権利が消滅するわけではありません。預金者は、いつでも元の金融機関を通じて払い戻しを請求することができます。ただし、手続きには通常の相続払い戻しよりも時間がかかる場合があるため、放置することにメリットはありません。

死亡口座の相続手続きが重要な理由

親の死亡後、銀行に「死亡したこと」を伝えると、口座は直ちに凍結されます。これは、預金が遺産分割の対象となり、相続人全員の合意がない限り勝手に引き出されないようにするためです。

凍結されたまま長期間放置すると、以下のリスクが生じます。 ・預金が休眠預金に移行し、引き出し手続きに手間がかかる ・金融機関の合併や支店の統廃合により、当時の通帳やカードが使えなくなる ・相続人が増えることで、遺産分割協議が困難になる

特に、2024年4月からは相続登記の義務化が施行されました。不動産だけでなく、預貯金についても早めに整理を行い、遺産全体を把握しておくことが相続トラブルを防ぐ鍵となります。

死亡口座の払い戻しに必要な準備と手続き

親の死亡口座から預金を引き出すためには、法的に「相続人であること」を証明し、相続人全員の同意を得る必要があります。

戸籍謄本で相続人を確定させる

銀行での手続きにおいて最も重要なのが、被相続人(亡くなった親)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本です。これにより、誰が法定相続人であるかを明確にします。

・被相続人の死亡の記載がある戸籍 ・被相続人の出生まで遡る戸籍(改製原戸籍など) ・相続人全員の現在の戸籍謄本

これらを揃えることで、銀行は「この人たちが正当な相続人である」と確認できます。もし、長年放置して休眠預金化していたとしても、この戸籍の束があれば払い戻しの請求が可能です。

相続払い戻しの具体的な流れ

手続きは以下の手順で行うのが一般的です。

  1. 金融機関への死亡通知:亡くなったことを伝え、口座を凍結する。
  2. 必要書類の収集:戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書(または遺言書)を準備する。
  3. 払い戻し申請:金融機関所定の用紙に相続人全員が署名・捺印する。
  4. 預金の払い戻し:指定の口座に振り込まれる。

近年では、預貯金の仮払い制度を利用することで、遺産分割協議が整う前であっても、一定額までであれば単独で引き出すことが可能です。葬儀費用や当面の生活費が必要な場合は、この制度を積極的に活用しましょう。

相続トラブルを防ぐための注意点

預金の相続手続きを放置することは、将来的なリスクを増大させます。特に注意すべきは、相続人がさらに亡くなり、数次相続が発生するケースです。

数次相続による複雑化

親が亡くなった後に相続人の一人が亡くなると、その相続人の子供(孫)が権利を引き継ぎます。放置期間が長ければ長いほど、相続人の数が増え、遺産分割協議に参加すべき人数が膨れ上がります。これにより、親戚間で連絡が取れなくなったり、疎遠な親族との交渉が必要になったりと、手続きが極めて複雑になります。

登記義務化との関連性

2024年4月からの相続登記義務化に伴い、不動産を所有していた親の相続手続きは待ったなしの状態です。不動産の相続登記を行う際、その前提として預貯金を含めた遺産分割協議を終えていることが望まれます。

また、2026年4月からは住所変更登記の義務化も控えています。これら最新の法令に対応するためには、預貯金を含めた「負の遺産」も「正の遺産」もすべてリストアップし、早期に整理する姿勢が不可欠です。

まとめ:専門家への相談という選択肢

親の死亡口座の整理や休眠預金の払い戻しは、必要書類が多く、平日の日中に銀行へ何度も足を運ぶ必要があるため、仕事を持つ相続人には大きな負担となります。また、遺産分割協議書の内容に不備があれば、銀行の手続きで何度もやり直しを求められることもあります。

複雑な相続手続きをスムーズに進め、休眠預金化による手間を避けるためには、司法書士や弁護士などの専門家にサポートを依頼することも有効な手段です。専門家に依頼することで、戸籍収集から遺産分割協議書の作成、銀行での払い戻し手続きまでをトータルで任せることができ、心理的な負担を大幅に軽減できます。

長年放置された預金は、そのままにしておいても良いことはありません。まずは現在の状況を把握し、早めの相続手続きに着手することをお勧めします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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