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普通養子縁組をした子どもの「実親」と「養親」双方からの二重相続

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

普通養子縁組における二重相続の仕組み

Q 普通養子縁組をした場合、実の親と育ての親(養親)の両方から相続することはできますか?
A 【結論と仕組み】はい、可能です。普通養子縁組では実親との法律上の親子関係が継続するため、実親と養親の双方に対して法定相続人となり、双方が亡くなった際に二重で遺産を相続することができます。
【注意点と対策】ただし、特別養子縁組の場合は実親との関係が終了するため実親の遺産は相続できません。相続トラブルを防ぐためにも、遺産分割や不動産登記手続きの際は早めに弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続が発生した際、誰が遺産を受け取る権利(法定相続人)を持つのかは、家族の形によって複雑になることがあります。その代表例が「養子縁組」をした子どもです。

養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類がありますが、法律上の扱いは大きく異なります。この記事では、普通養子縁組をした子どもが、実親と養親の双方から相続権を持つ「二重相続」の仕組みについて、法律的な観点からわかりやすく解説します。


普通養子縁組と特別養子縁組の違いによる相続権の差

養子縁組の形式によって、相続できる範囲は決定的に異なります。ご自身のケースがどちらに該当するのかを正しく把握することが重要です。

特別養子縁組の場合は「実親」との関係が終了する

家庭裁判所の審判を経て成立する「特別養子縁組」は、原則として原則6歳未満(状況により8歳未満)の子どもを対象としています。この特別養子縁組が成立した場合、実親との法律上の親子関係は完全に消滅します。

そのため、特別養子縁組をした子どもが相続できるのは、育ての親である「養親」の遺産のみであり、実親の遺産を相続することはできません。

普通養子縁組は「実親」との親子関係が残る

一方、一般的な「普通養子縁組」は、成人に達した人であっても結ぶことができる制度です。この場合、養親と新しい親子関係が生まれる一方で、実の親(実親)との親子関係もそのまま存続します。

そのため、普通養子縁組をした子どもは、実親の戸籍と養親の戸籍の双方に名前が残り、双方の血縁関係に基づく相続権を維持し続けることになります。


普通養子縁組における「二重相続」の具体的なケース

普通養子縁組をした子どもは、具体的にどのような場面で、どのように財産を受け継ぐことになるのでしょうか。ここでは代表的なケースをみていきます。

実親が亡くなった場合

養子に出た後であっても、実の親が亡くなったときには、子どもは第一順位の法定相続人として遺産を受け取る権利を持ちます。

実親から見れば、子どもを普通養子に出したとしても、法律上の親子であることに変わりはありません。したがって、他の実の子ども(兄弟姉妹)とまったく同じ割合(法定相続分)で、実親の財産を相続する権利が認められます。

養親が亡くなった場合

当然ながら、育ての親である「養親」が亡くなった場合も、子どもは養親の法定相続人となります。

養子には、養親との間で実の子どもと同等の相続権が発生します。したがって、養親に実の子(実子)がいればその人たちと、いなければ単独で、養親の遺産を相続することになります。

このように、実親と養親の双方の相続において、第1順位の相続人としての地位を二重に保持する状態が生まれます。これが「二重相続」と呼ばれる現象です。


相続における注意点とトラブルを防ぐためのポイント

二重相続は法的に認められた正当な権利ですが、実際の相続の現場では親族間のトラブルに発展するケースも少なくありません。円滑に手続きを進めるために、以下の点に注意が必要です。

遺産の不公平感による親族間のトラブル

実親の側から見ると、「すでに養子に出した子どもが、自分たちの遺産も相続しにきた」という感情を抱く親族や他の相続人が現れることがあります。また、養親の側でも、実の子と養子の間で遺産の分け方を巡って争いが生じるリスクがあります。

法律上の権利であっても、生前からのコミュニケーションや、遺言書の作成による意思表示を行っておくことが、不要な紛争を防ぐための有効な手段となります。

不動産の相続における義務化への対応

相続によって土地や建物などの不動産を取得した場合、名義変更の手続き(相続登記)を行うことが法律で義務づけられています。

特に、2024年(令和6年)4月1日からは相続登記の申請が法的な義務となり、正当な理由なく放置すると過料が科される可能性があります。また、2026年(令和8年)4月からは住所変更登記の義務化も控え、不動産の権利関係を明確にしておく重要性が一層高まっています。

二重相続が絡むケースでは、戸籍の収集範囲が広がり、手続きが通常よりも複雑化するため、早めに専門家へ相談することをおすすめします。


まとめ

普通養子縁組をした子どもは、実親と養親の双方が持つ相続人の地位を失わず、両方の財産を相続する権利(二重相続)を持っています。

法律でしっかりと認められた権利ではありますが、関係する親族が多くなる分、遺産分割協議が難航したり、戸籍の収集・相続手続きに膨大な手間がかかったりする傾向があります。

ご自身の相続関係や手続きの進め方に少しでも不安がある場合は、法律の専門家である弁護士や司法書士に相談し、正確で円滑な相続手続きを進めましょう。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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