クラウドファンディングで未完成のリターンがある場合の相続
近年、クラウドファンディングを活用して新しいプロジェクトや製品の応援購入をする方が増えています。しかし、応援した方が亡くなられた場合、「未完成のリターン(物品やサービス)」がどうなるのか疑問に思う遺族の方も少なくありません。
結論から申し上げますと、故人が持っていた出資者としての地位や契約上の権利は、原則として相続人に引き継がれます。ここでは、出資金の返還請求の可否やリターンの受領権について、法律的な観点からわかりやすく解説します。
クラウドファンディング契約の法的性質と相続
クラウドファンディングは、プラットフォームやプロジェクトの形態(購入型、寄付型、投資型など)によって法的な仕組みが異なります。一般的に普及している「購入型クラウドファンディング」の場合、出資者と起案者の間には「売買契約」または「準委任契約・請負契約」に類似した契約が成立しています。
民法上、金銭債権や物品の引受請求権などの財産権は、一身専属権(その人でなければ行使できない権利)を除き、すべて相続の対象となります。したがって、故人が生前に締結したクラウドファンディングの契約関係は、包括承継人である相続人全員に引き継がれることになります。
リターン(物品・サービス)の受領権の行使
プロジェクトが現在も継続しており、今後リターンが完成・提供される予定である場合、相続人はその受領権を引き継ぎます。
相続人が受領するための手続き
リターンを受け取るためには、起案者(実行者)に対して契約者が死亡した旨を伝え、登録情報の変更や相続人へのリターン送付先指定を行う必要があります。
身分専属的なリターンの扱い
もしリターンが「故人に向けた特別なサービス」や「故人の名前を冠した個別プログラム」など、一身専属的な性質を持つものである場合、相続人はそのサービスの履行を請求することができない場合があります。この点については、プラットフォームの利用規約や個別契約の内容を確認することが不可欠です。
出資金の返還請求は可能か?
「プロジェクトが中止になった場合」や「起案者が途中で連絡を絶ってしまった場合」などにおいて、出資金の返還請求ができるかどうかは、大きな関心事です。
プロジェクト中止や未完成の場合の返金
多くの購入型クラウドファンディングの利用規約では、プロジェクトが不成立に終わった場合や、起案者の都合で中止になった場合の返金規定が定められています。起案者側に債務不履行がある場合、相続人は故人に代わって未完成分の返還請求を行う権利を有します。
単なる遅延や個人の都合による返金の難しさ
一方で、プロジェクトの進行が遅れているだけの場合や、単に「故人が亡くなったから不要になった」という理由だけでは、原則として一方的な契約解除や出資金の返還請求は認められません。契約書や利用規約に記載された免責事項やキャンセルポリシーが優先されるため注意が必要です。
相続人が確認すべき具体的なステップ
故人のスマートフォンやパソコンにクラウドファンディングの利用履歴や支援履歴が見つかった場合、相続人は以下のステップで対応を進めることをおすすめします。
- プラットフォームの登録アカウントを確認し、未完了のプロジェクトがないか調査する
- 各プロジェクトの利用規約およびプロジェクトページに記載された進捗状況を確認する
- 必要に応じて、プラットフォームの運営事務局やプロジェクトの起案者に連絡を取り、契約状況を確認する
- 返金やリターンの引き継ぎに関する権利義務を整理し、遺産分割協議の対象に含めるべきか判断する
クラウドファンディングに関するトラブルや、個別の契約内容の解釈に迷ったときは、相続問題や契約法務に詳しい弁護士などの専門家に相談することで、的確な解決策を見出すことができます。
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