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相続した不動産を売却した時の所得税(譲渡所得税)と、税金を安くする「3000万控除」

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

親族が亡くなり、実家などの不動産を相続したものの、「住む予定がない」「固定資産税の負担が大きい」といった理由で売却を検討される方は少なくありません。

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、原則として所得税と住民税が課税されます。しかし、相続した不動産の売却では、税負担を大幅に軽減できる特例が用意されています。

今回は、相続した不動産の売却にかかる税金の仕組みと、一定要件を満たすことで税金を安くできる「3,000万円特別控除」について、わかりやすく解説します。

相続した不動産を売却したときにかかる税金の基礎知識

Q 相続した不動産を売却した際にかかる税金はどのように計算されますか?
A 売却価格から「取得費(購入代金など)」と「譲渡費用(売却時の諸経費)」を差し引いた「譲渡所得」に対して、所得税と住民税(譲渡所得税)が課税されます。

不動産を売却したときにかかる税金(譲渡所得税)は、利益そのものではなく、売却価額からさまざまな経費を引いた「譲渡所得」に対して課されます。

計算式は以下の通りです。

譲渡所得 = 売却価額 - (取得費 + 譲渡費用)

  • 取得費:被相続人がその不動産を購入したときの代金や、建築代金、購入時の手数料など(※建物は減価償却費を差し引きます)。被相続人の購入時の価格が不明な場合は、売却価額の5%相当額を取得費とします。
  • 譲渡費用:不動産の売却時に支払った仲介手数料、測量費、解体費用など。

なお、所有期間が売却年の1月1日時点で5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、税率は長期の方が低く設定されています。相続した不動産は、被相続人の所有期間を引き継ぐことができます。

税金を大幅に安くする「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡したときの3,000万円特別控除」

相続した実家などを売却する際、非常に強力な節税対策となるのが「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡したときの3,000万円特別控除」です。

これは、相続開始の日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、一定の要件を満たした相続不動産を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できるという制度です。

適用するための主な要件

この特例を受けるためには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。

  • 被相続人が一人で暮らしていた家屋であること(老人ホーム等に入居していた場合も一定の条件で対象となります)。
  • 昭和53年(1978年)5月31日以前に建築された建物(旧耐震基準)であること。
  • マンションなどの区分所有建物ではないこと。
  • 相続時から売却時まで、事業用や賃貸用、あるいは自分たちの居住用として使われていないこと。
  • 売却代金が1億円以下であること。
  • 耐震リフォームを行って売却するか、建物を解体して更地にしてから売却すること。

※なお、建物の耐震改修または取り壊しを行った上で売却することが必須条件となりますので注意が必要です。

併せて知っておきたい「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

不動産を相続したものの、「3,000万円特別控除の要件に合わない」「更地にする費用がない」という場合に検討したいのが、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算の特例)」です。

この特例は、相続税を申告・納付した人が、相続した不動産を一定期間内に売却した場合に、支払った相続税の一部を不動産の「取得費」に加算できるというものです。

  • 取得費に相続税額が上乗せされるため、その分だけ「譲渡所得」が圧縮され、結果として譲渡所得税を安く抑えることができます。
  • 適用を受けるためには、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却を行う必要があります。

空き家の3,000万円特別控除と併用することはできませんが、相続税を多額に納税しているケースでは非常に有効な選択肢となります。

相続した不動産の売却で失敗しないための注意点

相続した不動産の売却を進めるにあたっては、税金の特例以外にも重要な法制度の変更に留意する必要があります。

相続登記の義務化について

2024年4月1日から相続登記の申請が法律上の義務となりました。 相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行わなければなりません。また、2026年4月からは住所変更登記も義務化されます。 放置すると過料(罰金)の対象になるだけでなく、売却したいタイミングで名義変更が間に合わず、スムーズに取引できないリスクが生じます。売却を前提としている場合でも、まずは確実な相続登記が必要です。

不動産の売却は専門家への相談がおすすめ

譲渡所得税の計算や各種特例の適用要件の判断は非常に複雑です。特に「3,000万円特別控除」や「取得費加算の特例」は、適用できるかどうかの判断を誤ると、後から追徴課税を受けるリスクもあります。

実家の売却や税金対策でお悩みの場合は、不動産の登記手続きを司法書士に相談するとともに、実際の売却価格や税金のシミュレーションについては、税理士や専門の不動産業者に早めに相談することをおすすめします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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