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裁判で勝訴判決を得た後、相手が「お金がない」と拒否した時の強制執行

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

裁判で長期間争い、ようやく勝ち取った勝訴判決。しかし、その後に相手が「お金がないから払えない」と支払いを拒むケースは少なくありません。判決を得ても、相手が自発的に支払ってくれない場合、法律上自動的にお金が口座に振り込まれるわけではありません。

この状況を打破するためには、裁判所の力を借りて強制的に財産を回収する「強制執行(債権執行)」の手続きを行う必要があります。本記事では、代表的な強制執行の方法である給与の差し押さえと、自宅不動産の競売について、専門家の視点から分かりやすく解説します。

裁判で勝訴したのに相手が「お金がない」と支払いを拒む場合の対処法

Q 勝訴判決が出たのに相手が「お金がない」と支払いを拒む場合、どうすればよいですか?
A 裁判所に「強制執行」を申し立てることで、相手の給与や預貯金、不動産などの財産を差し押さえて強制的に回収することができます。代表的な手段として、給与の差し押さえや自宅不動産の競売があります。

裁判で勝訴判決(または和解調停調書など)を得ると、「債務名義(さいむめいぎ)」という強力な公的文書が手に入ります。これは、相手の財産を強制的に差し押さえる権利を証明するものです。

相手が「お金がない」と口頭で拒否していても、勤務先で給与を得ていたり、不動産を所有していたりするケースは多々あります。相手の財産を特定し、強制執行の申し立てを行うことで、法律に基づいて回収を図ることが可能です。

相手の給与を差し押さえる(手取りの4分の1)

強制執行のなかでも、会社員などの相手に対して特に実効性が高いのが「給与の差し押さえ」です。

給与差し押さえの仕組みとメリット

給与差し押さえは、裁判所を通じて相手の勤務先(第三債務者)に対し、毎月の給与から一定額を天引きさせ、直接自分に支払うよう命じる手続きです。 相手が「払いたくない」と言っていても、勤務先が法律に基づいて強制的に天引きして支払うため、確実性の高い回収方法といえます。

差し押さえられる金額の制限

生活保護の受給や労働者の生活権を保護するため、法律によって差し押さえられる上限額が定められています。

  • 原則として、給与や賞与の手取り額の4分の1までが差し押さえ可能です。
  • ただし、手取り額が月給33万円を超える場合は、33万円を超える部分の全額を差し押さえることができます。

長期間にわたって分割で回収することになりますが、相手が働き続けている限り、継続的な回収が見込めます。

自宅不動産の競売にかける

相手が十分な給与を得ていない場合でも、自宅や土地などの不動産を所有している場合は、不動産の競売(きょうばい)という強力な手段があります。

不動産競売の流れ

不動産の競売を申し立てると、裁判所が差し押さえた不動産を公開市場(競売市場)で売却し、その売却代金から債権(回収すべきお金)を回収します。 手続きの概要は以下の通りです。

  • 裁判所に強制競売の申し立てを行う
  • 裁判所が執行官や評価人を派遣し、不動産の価値を調査・評価する
  • 競売の手続きが開始され、買受希望者が入札を行う
  • 最高値を付けた落札者に売却され、売却代金から費用や債権が配当される

不動産競売の注意点

不動産競売は大きな回収効果が期待できる一方で、いくつかのハードルがあります。

  • 申し立ての際に、予納金(裁判所に納める費用)として数十万円単位のまとまった金額が必要になります。
  • 相手がすでに住宅ローンチなどの担保に入れている場合、優先される先順位の債権者に分配されるため、手元にお金が残らない「無剰余」となる場合があります。

財産が見つからない場合の調査方法

強制執行を行うためには、相手の勤務先や銀行口座、不動産などの「財産」を特定しなければなりません。しかし、相手が隠している場合は、どこに財産があるか分からないこともあります。

このような場合に備え、近年の法改正では以下のような「財産開示手続」「第三者からの情報取得手続」が強化されています。

  • 財産開示手続:裁判所が債務者を呼び出し、自身の財産について隠さず陳述させる手続きです。
  • 第三者からの情報取得手続:裁判所を通じて、金融機関(預貯金情報)や市区町村・年金事務所(勤務先情報)、登記所(不動産情報)に対して財産情報の開示を命じてもらう制度です。

「相手にお金がない」と言われて泣き寝入りする必要はありません。正確な法的手続きを踏むことで、回収の可能性を大きく高めることができます。

強制執行を確実に成功させるために弁護士へ相談を

ここまで、給与差し押さえや不動産競売といった強制執行の仕組みについて解説してきました。しかし、実際の強制執行の申し立てには、膨大な書類の作成や裁判所とのやり取り、的確な財産の特定など、専門的な知識と手間が求められます。

特に、相手が財産を隠そうとする場合、財産開示手続や情報取得手続をいかに効果的に活用するかが鍵となります。

「判決は取ったものの、どう動けばいいか分からない」「相手の勤務先や財産が正確に把握できない」とお悩みの方は、ぜひ一度、強制執行の実績が豊富な弁護士にご相談ください。あなたの権利を守り、確実な債権回収を強力にサポートいたします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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