親族が本人の財産を勝手に使っていたことが発覚した場合、後見人はどのように動くのでしょうか。本記事では、後見人に選任された弁護士が行う、過去の使い込みに対する損害賠償請求について詳しく解説します。
後見人が行う親族への損害賠償請求とは
認知症などで判断能力が低下した方の財産を守るため、家庭裁判所によって選任される成年後見人。中でも弁護士が後見人に選ばれた場合、法的専門性を活かした迅速かつ厳格な対応が期待できます。
本人の預貯金が親族によって不正に引き出されていた事実が判明した場合、後見人は本人を保護するため、法的手段に踏み切ります。これが、過去の使い込みに対する損害賠償請求です。
弁護士後見人が選任されるケース
親族間に財産管理を巡るトラブルの予兆がある場合や、多額の財産不明金が発覚している場合、家庭裁判所は中立的な立場の専門家である弁護士を後見人に選任することが多くあります。 弁護士は、本人の財産を守るための法的権限をフルに活用し、不正の追及にあたります。
使い込み発覚から訴訟提起までの流れ
不正な使い込みが発覚した際、弁護士後見人は感情論ではなく、客観的な証拠に基づいて淡々と法的手続きを進めます。
1. 金融機関の取引履歴の調査
まずは、過去数年分に遡るすべての金融機関の口座履歴や通帳の開示請求を行います。 いつ、誰が、どのような名目で引き出したのかを徹底的に洗い出し、不正な出金の証拠を固めます。
2. 財産管理人の責任追及と催告
証拠が揃ったら、使い込んだ親族に対して書面で説明を求めます。 多くの場合、親族側は「本人のために使った」と主張しますが、客観的な領収書や使途の記録がない限り、法的責任を免れることはできません。 返還に応じない場合は、即座に訴訟提起の準備に入ります。
3. 即座の訴訟提起と法的措置
話し合いでの解決が期待できないと判断すれば、弁護士後見人は迷うことなく不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起します。 裁判では、使い込みの事実を立証し、遅延損害金を含めた全額の返還を求めます。
なぜ迅速な訴訟提起が必要なのか
使い込みの発覚後、弁護士がスピーディーに動くのには明確な理由があります。
- 本人の生活費や医療・介護費用の確保
- 使い込みをした親族による財産の隠匿や散逸を防ぐため
- 後見人自身の法的責任(善管注意義務)を果たすため
放置すれば、本来本人のために使われるべき大切な財産が戻ってこなくなる恐れがあります。そのため、弁護士は法的手段を躊躇なく行使し、本人の財産権を徹底的に守り抜くのです。
不正を防ぐための最新動向と対策
近年、高齢化に伴う財産管理のトラブルが社会問題化しており、法整備も強化されています。 特に不動産の管理においては、2024年の相続登記義務化や、2026年4月にスタートする住所変更登記の義務化など、権利関係の透明性を高める法改正が進んでいます。 また、所有不動産記録証明制度なども整備され、個人の財産状況がより把握しやすい環境が整いつつあります。
親族間であっても、本人の同意なく財産を動かす行為は重大な法規違反となります。 もし使い込みの疑いがある場合は、個人の力で解決しようとせず、相続や後見実務に精通した弁護士へ早めにご相談ください。
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