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親の通帳から「毎月20万円ずつ引き出されている」:生活費か使い込みかの判断

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

親の預金口座から、見覚えのない毎月の定期的な引き出しが見つかったとき、「これは生活費に使われていたのか、それとも誰かによる使い込みなのか」と不安や疑念を抱く方は少なくありません。特に、親が要介護状態になり、自分で管理できなくなっていた場合はトラブルに発展しやすくなります。

ここでは、親の口座から毎月高額な現金が引き出されている場合、それが「正当な生活費や施設費用」なのか「悪質な使い込み(不当利得や横領)」なのかをどのように見極め、立証していくのかについて詳しく解説します。

親の通帳から毎月引き出されるお金は「生活費」か「使い込み」か?

Q 親の口座から毎月20万円引き出されている場合、使い込みを疑う基準は何ですか?
A 親の当時の要介護度や施設費用、実際の生活実態から算定される合理的な支出額を大きく超えているかどうかが判断基準となります。例えば、施設に入居中で医療・介護費がすべて引き落としになっているにもかかわらず、毎月多額の現金が引き出されている場合は使い込みの可能性が高まります。

親の口座からの引き出しが正当なものか不正なものかを判断するためには、感情論ではなく客観的な事実と証拠に基づいて検証する必要があります。まずは、親の生活実態と照らし合わせて、お金がどのように使われていた可能性があるのかを確認しましょう。

合理的な支出を超える引き出しとは

例えば、親がすでに特別養護老人ホームや有料老人ホームに入所しており、毎月の施設利用費や医療費が別の口座や自動引落しで支払われているケースを考えてみます。

このような状況では、日用品の購入費や理美容代、おやつ代程度しか現金は必要ありません。それにもかかわらず、毎月20万円という高額な現金がATMなどで引き出されている場合、それは一般的な生活費の範囲を明らかに逸脱していると言えます。

「生活費」として認められるケースと認められないケース

お金の引き出しを管理していた同居の親族などが、「親のために使った」と主張することがあります。法律上、それが本当に親のための支出だったのか、それとも勝手に使われていたのかを切り分けることが重要です。

生活費として認められやすいケース

  • 親自身の医療費、介護費用、薬代などの支払いに充てられていた
  • 親の日常の食料品や衣類など、本人に直接還元される物品の購入に使用された
  • 親の自宅の修繕費や公共料金の支払いに使われていた

これらを主張・立証するためには、レシートや領収書などの証拠が必要となります。

使い込み(不正引き出し)と判断されやすいケース

  • 引き出した人物の遊興費や生活費の足しにされていた
  • 親が認知症を発症して意思能力が失われているにもかかわらず、本人の同意なく引き出されていた
  • 引き出された現金の使途について、誰も明確な説明ができない
  • 領収書やレシートが一切残っていない

特に、親の財産を管理していた親族が「お小遣いとしてもらった」「親の頼みで引き出して保管していた」と主張しても、客観的な記録や本人の明確な意思確認ができない限り、法的には使い込みとみなされる可能性が高くなります。

使い込みを立証するための3つのステップ

親の遺産分割協議や、その後の法的紛争(不当利得返還請求訴訟など)において、使い込みを立証するためには綿密な証拠集めが不可欠です。以下の手順に沿って準備を進めましょう。

1. 過去の預貯金取引履歴(通帳・取引明細)の取得

まずは、親の口座の過去数年分の取引履歴(通帳のコピーや金融機関発行の入出金明細)をすべて取得します。一部の期間だけでなく、親が判断能力を失った時期や、引き出しが始まった時期を特定することが重要です。

2. 親の生活実態(要介護度・施設費用)の客観的証拠の収集

次に、当時の親の状況を証明する資料を集めます。

  • 介護保険の要介護認定記録やケアプラン(施設入所やデイサービスの利用状況がわかります)
  • 施設や病院からの請求書・領収書(実際の支出額を特定するため)
  • 医師の診断書やカルテ(認知症の進行度や意思能力の有無を証明するため)

これらの資料を突合させることで、「この時期にはこれだけの現金支出は物理的に不可能であった」という矛盾をあぶり出すことができます。

3. 他の相続人や管理していた人への説明要求

客観的な証拠が揃ったら、お金を引き出していた人物に対して、使途についての説明を求めます。ここで合理的な説明や証拠が提示されない場合、法的な法的措置を検討することになります。

まとめ:泣き寝入りせず、専門家への相談を

親の財産からの不正な引き出しは、他の相続人の相続分を不当に侵害する行為です。しかし、感情的に「使い込みだ」と訴えても、証拠がなければ相手に認めさせることは困難です。

要介護度や施設費用といった客観的なデータをもとに合理的な支出額を算定し、使い込みを立証していく作業には、相続問題や財産調査に精通した弁護士などの専門的なサポートが非常に有効です。親の通帳の不審な動きに気づいたら、泣き寝入りせずに早い段階で法的アドバイスを受けることを強くおすすめします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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