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「公正証書遺言」を作成する際の必要書類一覧:証人2人の選定基準

【本記事の監修者】
弁護士 井上 正人(大阪弁護士会所属 / 登録番号:第43449号 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表弁護士)
※本記事は、遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄・不動産登記義務化等の相続実務経験に基づき、最新の民法および裁判所実務に沿ってわかりやすく解説しています。

相続の際、遺言書があるかどうかは遺産分割の行方を大きく左右します。中でも、公証人に作成してもらう「公正証書遺言」は、形式の不備による無効リスクが極めて低く、偽造・変造の心配もないため、もっとも確実で安全な遺言方法として推奨されています。

今回は、公正証書遺言を作成する際に必要となる書類の一覧と、手続きにおいて重要な「証人2人の選定基準」について、初めての方にもわかりやすく解説します。

公正証書遺言の作成にはどのような書類が必要ですか?

Q 公正証書遺言を作成する際にはどのような必要書類を準備すべきですか?また証人の選定基準も教えてください。
A 【必要書類と証人選定のルール】公正証書遺言の作成には、遺言者本人の印鑑登録証明書や身分証明書に加え、相続人全員の戸籍謄本、財産を証明する書類(不動産の登記簿謄本や固定資産税評価証明書など)が必要です。また、作成時には中立性を担保するため、推定相続人や受遺者など利害関係のない成人2人の立ち会いと証人としての署名押印が法律で義務付けられています。
【手続きを円滑に進めるための注意点】書類に不備があると公証役場での打ち合わせが長期化し、希望日での作成が難しくなる恐れがあります。特に証人は、未成年者や相続人・受遺者のほかその配偶者・直系血族も不適格となるため、専門家(弁護士など)に相談・依頼して要件を満たす信頼できる証人を確保することが、無効リスクを防ぎスムーズに手続きを完了させるための重要なポイントとなります。

公正証書遺言の作成手続きをスムーズに進めるためには、事前の書類収集が欠かせません。公証役場へ提出・提示する主な必要書類は以下の通りです。

遺言者本人が準備する書類

  • 遺言者の印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
  • 遺言者の戸籍謄本(※財産を相続人以外に遺贈する場合などに必要となることがあります)
  • 本人の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)

相続人や受遺者(財産をもらう人)に関する書類

  • 相続人全員の戸籍謄本(遺言者との関係性を証明するため)
  • 遺言者と相続人が別居している場合や、受遺者が相続人以外である場合の住民票

遺産の詳細を証明する書類

  • 不動産がある場合:土地・建物の登記簿謄本(登記事項証明書)固定資産税評価証明書または納税通知書
  • 預貯金がある場合:通帳のコピーや残高証明書
  • 有価証券がある場合:残高証明書や銘柄がわかる資料

これらの書類は、財産の正確な表示を遺言書に記載するために不可欠です。不足があると公証役場との打ち合わせが長引く原因になるため、計画的に収集しましょう。

公正証書遺言の作成における証人2人の選定基準

公正証書遺言を作成する際には、遺言者本人のほかに、証人2人以上の立ち会いが法律で義務付けられています。遺言の内容を公証人に伝える場面や、遺言書が正確に作成されたことを確認する重要な役割を担うため、誰でもなれるわけではありません。民法により、厳格な欠格事由が定められています。

証人になれない人(欠格事由)

以下の条件に該当する人は、法律上、公正証書遺言の証人になることができません。

  • 未成年者
  • 推定相続人(将来相続人になる人)およびその配偶者、直系血族(子どもや親など)
  • 受遺者(財産をもらう人)およびその配偶者、直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および雇用人

特に注意が必要なのは、「相続人関係者は証人になれない」という点です。例えば、子どもやその配偶者は、財産を受け取る権利の有無にかかわらず、証人になれません。「身内だから安心」と頼んでしまうと、作成した公正証書遺言そのものが無効になってしまうリスクがあるため、細心の注意が必要です。

証人には誰を選ぶべきか?

利害関係のない第三者を選ぶ必要があります。一般的には、以下のような人物に依頼することが多い傾向にあります。

  • 利害関係のない信頼できる友人や知人
  • 遠縁の親族(※上記の欠格事由に該当しない人に限る)
  • 弁護士や司法書士、行政書士などの法律専門職

周囲に頼める人がいない場合や、遺言の内容を親しい人にも知られたくないという場合は、公証役場や依頼している専門家を通じて証人を紹介してもらうことも可能です。

公正証書遺言作成の一般的な流れと公証役場との打ち合わせ

必要書類の準備と証人の選定ができたら、実際の作成に向けて公証役場との手続きを進めます。

1. 公証役場への事前相談と原案の作成

まずは遺言者本人が公証役場に出向くか、代理人(弁護士など)を通じて連絡を取り、遺言の原案を作成します。財産の状況や「誰にどの財産をどれだけ残したいか」という意思を正確に伝え、公証人とともに遺言書の文案を組み立てます。

2. 必要書類の提出と内容の確認

集めた戸籍謄本や不動産の登記簿謄本などを公証役場に提出します。公証人が法律上の不備がないかを確認し、遺言書の最終的な文面を確定させます。

3. 当日の作成手続き(署名・押印)

予約した日時に、遺言者と証人2人が揃って公証役場に出向きます(※病気などで外出が困難な場合は、公証人が病院や自宅に出張して作成することも可能です)。 公証人が遺言者に対して遺言の趣旨を確認し、その内容を読み上げます(または閲覧させます)。内容に間違いがなければ、遺言者と証人が署名・捺印を行います。最後に公証人が適式に作成された旨を付記して完了となります。

近年では、不動産を相続した際の相続登記の義務化や、将来の住所変更登記の義務化など、不動産に関する法改正も相次いでいます。公正証書遺言を作成しておくことで、遺産分割協議の手間を省き、スムーズな不動産の名義変更が可能になります。

公正証書遺言の作成は準備すべき書類が多く、法律上の細かい要件も満たす必要があるため、不安な点がある場合は、事前に相続に強い法律専門家に相談することをおすすめします。

弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人
(いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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