相続放棄申述書とは?自分で作成・提出するための基礎知識
亡くなった人(被相続人)に多額の借金がある場合や、遺産相続のトラブルに関わりたくない場合、有効な手段となるのが相続放棄です。
相続放棄をするためには、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出する必要があります。専門家に依頼せず、自分自身で書類を作成して提出することも十分に可能です。
2024年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不要な不動産を引き継ぎたくないという理由で相続放棄を検討する方が増えています。相続放棄には「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」という厳格な期限があるため、速やかに手続きを進めることが重要です。
相続放棄申述書の書き方とひな形(記入例)
相続放棄申述書は、成人用(18歳以上)と未成年者用で書式が異なります。ここでは、一般的な成人用の書き方について解説します。書式は最高裁判所のウェブサイトや、最寄りの家庭裁判所で無料で入手できます。
申述書に記載する主な項目
相続放棄申述書は、主に「署名捺印する1枚目」と「放棄の理由などを書く2枚目」の2枚構成になっています。
- 提出先と日付:提出する家庭裁判所名(被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所)と、実際に提出する日付を記入します。
- 申述人の情報:あなたの本籍、現住所、氏名、生年月日、職業、被相続人との関係(続柄)を記入し、認め印を押印します。
- 被相続人の情報:亡くなった方の本籍、最後の住所、氏名、死亡した日などを記入します。住民票除票や戸籍謄本に記載されている通りに正確に転記してください。
- 申述の趣旨:あらかじめ「相続放棄をする」という旨が印刷されているため、基本的にはそのままで問題ありません。
「申述の理由(動機)」の具体的な書き方
申述書の2枚目には、相続放棄を選択するに至った具体的な動機や理由を記載する欄があります。ここには以下の項目を記入します。
- 相続の開始を知った日:被相続人が亡くなったことを知った日を正確に記入します。これが「3ヶ月の熟慮期間」の起算点となるため、非常に重要です。
- 放棄の理由(動機):選択肢が用意されているため、基本的には当てはまるものに丸をつけます。
- 被相続人から生前に贈与を受けている
- 生活が安定しており、遺産を相続する必要がない
- 遺産が極めて少ない
- 債務(借金)が多いため
- 土地や建物などの遺産を引き継ぎたくない
- その他(具体的な理由を簡潔に記載)
債務が理由の場合は「債務が多いため」に丸をつけます。また、「その他」を選択した場合は、「被相続人と長年音信不通であり、生活実態も不明で関わりを持ちたくないため」など、客観的かつ簡潔な理由を記載するようにしましょう。
相続放棄の手続きにかかる手数料・費用
自分で相続放棄を行う場合、家庭裁判所に支払う実費は非常に安価に抑えられます。主に必要となるのは以下の2点です。
収入印紙(800円)
相続放棄の手続き手数料として、申述人1人につき800円分の収入印紙が必要です。 この収入印紙は、相続放棄申述書の1枚目の所定の位置に貼付します。消印(割り印)は裁判所側で行うため、自分で印紙にハンコを押さないように注意してください。収入印紙は郵便局や法務局、一部のコンビニエンスストアで購入できます。
連絡用の予納切手代
家庭裁判所から手続きの進捗や、受理通知書を送付するための連絡用切手(予納切手)を事前に提出する必要があります。 金額や必要な切手の組み合わせ(例:84円切手何枚、10円切手何枚など)は、申し立てを行う家庭裁判所によって異なります。
一般的には数百円から1,000円程度ですが、事前に提出先の家庭裁判所のウェブサイトで確認するか、電話で問い合わせて正確な組み合わせを準備してください。
その他の必要書類と取得費用
申述書以外にも、以下の添付書類が必要となり、それぞれ取得費用(数百円程度)がかかります。
- 被相続人の住民票除票(または戸籍付票)
- 放棄する人の戸籍謄本
- 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本(除籍謄本)
※被相続人との関係(順位)によっては、さらに多くの戸籍謄本が必要になる場合があります。
家庭裁判所への提出方法と注意点
書類と費用が準備できたら、いよいよ家庭裁判所へ提出します。
提出先は「被相続人の最後の住所地」
提出先は、あなたの住所地の裁判所ではなく、亡くなった被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。遠方の場合は、郵送(書留郵便など追跡可能な方法を推奨)で提出することも可能です。
提出後の流れ:照会書への回答
申述書を提出してから1〜2週間ほどすると、家庭裁判所から「照会書(質問票)」が届きます。 これは「本当に自分の意思で相続放棄をしますか?」「期限内に手続きしていますか?」といった確認のための書類です。質問事項に回答し、署名捺印して同封の封筒で返送します。
返送後、問題がなければ「相続放棄申述受理通知書」が届き、これで正式に相続放棄が完了します。この通知書は、後に債権者から請求が来た際に、放棄したことを証明する重要な書類となるため、大切に保管してください。
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