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相続放棄したことを「債権者(金融機関やサラ金)」にどう説明する?
連絡の手順

【この記事の監修者】

井上 正人 弁護士(大阪弁護士会所属 / 弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表)

相続放棄後の債権者対応はどうすればいい?

Q 相続放棄したことを債権者(金融機関やサラ金)に伝えるにはどうすればよいですか?
A 家庭裁判所で相続放棄が受理された後、債権者に対して「相続放棄申述受理通知書」のコピー(または「相続放棄申述受理証明書」)を提示・郵送して説明します。放棄が証明されれば、債権者からの督促は完全に停止します。

亡くなった人(被相続人)に借金や未払金などの債務があった場合、相続放棄をすることで、それらの債務を受け継がずに済みます。しかし、相続放棄の手続きを家庭裁判所で行っただけでは、債権者(金融機関や消費者金融、サラ金など)にはその事実が伝わりません。

債権者からの督促を止め、法的に支払い義務がないことを証明するためには、適切な手順で相続放棄の事実を伝える必要があります。

相続放棄が完了すれば債務を引き継ぐ必要はない

相続放棄とは、被相続人の財産も借金もすべて引き継がないとする手続きです。家庭裁判所に申述して受理されると、その相続人は「最初から相続人ではなかった」ものとみなされます。

そのため、債権者がどれほど強く返済を求めてきても、あなたが法律上、その借金を支払う義務は一切ありません。ただし、債権者に対して「相続放棄をした」という客観的な証拠を示さなければ、督促の連絡は止まらないため、正しい対応方法を知っておくことが重要です。


債権者(金融機関やサラ金)への連絡手順とタイミング

債権者への連絡は、状況やタイミングに応じて適切に行う必要があります。

1. 相続放棄の手続き前(督促が来ている場合)

被相続人が亡くなった直後や、家庭裁判所への申し立て準備中に債権者から督促の連絡が来ることがあります。この段階では、まだ相続放棄が完了していません。

この時点で督促があった場合は、「現在、相続放棄の手続きを検討中(または家庭裁判所に申し立て中)です」と伝えてください。

ここで最も注意すべきなのは、「絶対に1円も支払わない」ことです。債権者から「少しでもいいから払ってほしい」と言われて応じてしまうと、「単純承認(相続することを認めた行為)」とみなされ、相続放棄ができなくなるリスクがあります。

2. 家庭裁判所で相続放棄が受理された後

家庭裁判所での手続きが完了し、「相続放棄申述受理通知書」が自宅に届いたら、速やかに債権者へ連絡を入れます。

連絡の手順は以下の通りです。

  • 債権者に電話をかけ、相続放棄が受理された旨を伝える
  • 債権者から「受理通知書のコピー」などの提出を求められたら、郵送などで送付する

多くの金融機関やサラ金は、受理通知書のコピーを確認できれば、速やかに社内処理を行い、督促を停止します。


債権者へ提示・提出する書類

債権者に相続放棄を証明するために提出する書類には、主に以下の2種類があります。

「受理通知書」と「受理証明書」の違い

家庭裁判所から交付される書類には、以下の違いがあります。

  • 相続放棄申述受理通知書:相続放棄が受理された際、家庭裁判所から一度だけ自動的に送られてくる書類です。再発行はできません。
  • 相続放棄申述受理証明書:相続放棄が受理されたことを証明するために、家庭裁判所に申請して別途発行してもらう書類です。手数料(1通150円)がかかりますが、何通でも再発行が可能です。

債権者への説明には、基本的には「受理通知書のコピー」を提出すれば足りることがほとんどです。ただし、債権者によっては「受理証明書の原本」を求めてくる場合もあります。その際は、家庭裁判所で証明書を取得して送付しましょう。

書類を送付する際の注意点

債権者に書類を送る際は、以下の点に注意してください。

  • 原本は手元に残す:「受理通知書」は再発行ができないため、絶対に原本を債権者に渡してはいけません。必ずコピーを送るようにしてください。
  • 送付状(添え状)を同封する:「誰が」「どの被相続人について」相続放棄をしたのかがひと目でわかるよう、簡単な送付状を同封します。
  • 配達記録が残る方法で送る:「送った・届いていない」のトラブルを防ぐため、特定記録郵便やレターパックなど、追跡可能な方法で郵送するのが賢明です。

連絡した後の督促はどうなる?

督促は完全に停止する

債権者が相続放棄の事実を確認(書類を受領)した時点で、あなたに対する督促は完全に停止します。

法律上、相続人ではない人に対して借金の取り立てを行うことは禁止されているため、まともな金融機関やサラ金であれば、これ以上連絡をしてくることはありません。

それでも督促が続く場合の対処法

万が一、相続放棄の証明書を送ったにもかかわらず、執拗に督促の電話や書面が届く場合は、以下のように対処してください。

  • 「すでに相続放棄が受理されており、これ以上の支払いには応じられません」と毅然とした態度で伝える
  • 督促の電話があった日時や、送られてきた書面を保管しておく
  • 弁護士や司法書士などの専門家に相談し、代理人として抗議してもらう

特に悪質な業者や個人間での借入の場合、法律を無視して請求を続けてくるケースがあります。そのような場合は、個人で対応せず、速やかに専門家へ相談することをお勧めします。

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弁護士 井上正人

この記事の監修

弁護士 井上 正人 (いのうえ まさと)

大阪弁護士会所属(登録番号:43449)
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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