未支給年金と死亡退職金の法的性質の違い
ご家族が亡くなった際、遺族のもとに支払われるお金には様々な種類があります。中でも代表的なものが「未支給年金」と「死亡退職金」です。
これらはどちらも故人の死亡に伴って発生する給付ですが、法律上および税務上の取り扱いは大きく異なります。どちらも遺族の生活保障という観点から「受取人固有の権利」として定められていることが多いですが、課税関係(相続税なのか所得税なのか)や非課税枠の有無において明確な違いが存在します。
まず、両者の基本的な違いと法的性質を整理しておきましょう。
未支給年金は「遺族固有の一時所得」
未支給年金とは、故人が本来受け取るはずだったものの、請求手続き前に亡くなったためにまだ支給されていなかった公的年金(老齢年金など)のことです。
国民年金法や厚生年金保険法などの規定により、未支給年金を請求・受給できる遺族の範囲と順位があらかじめ決められています。そのため、最高裁判所の判例においても、未支給年金は「遺族の固有の権利」であり、故人の相続財産(遺産)には含まれないとされています。
税務上の取り扱いとしても、未支給年金は相続税の課税対象にはならず、給付を受けた遺族の「一時所得」として所得税の課税対象となります。
死亡退職金は「みなし相続財産」
死亡退職金とは、被相続人の死亡によって会社等から遺族へ支給される退職金です。退職手当金支給規程などにより受取人が指定されている場合、民法上は受取人の「固有財産」となり、遺産分割協議の対象にはなりません。
しかし、税法(相続税法)においては、被相続人の生前の労働に対する対価が死亡を契機に支払われるものであるため、実質的な相続財産と同等とみなされます。これらを「みなし相続財産」と呼び、相続税の課税対象として取り扱われます。
死亡退職金の相続税非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)
死亡退職金は「みなし相続財産」として相続税の対象となりますが、残された遺族の生活安定を考慮し、一定の非課税枠が設けられています。
非課税枠の計算式
死亡退職金の非課税限度額は、以下の計算式で算出します。
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
受け取った死亡退職金の合計額がこの非課税限度額以下であれば、死亡退職金に相続税はかかりません。限度額を超えた部分のみが、他の相続財産と合算されて相続税の計算対象となります。
「法定相続人の数」をカウントする際の注意点
非課税枠を計算する際の「法定相続人の数」には、いくつかの重要なルールがあります。
- 相続放棄をした人がいる場合:相続放棄があったとしても、放棄がなかったものとした場合の法定相続人の数を含めて計算します。
- 養子がいる場合:実子がいる場合は1人まで、実子がおらず養子のみの場合は2人までを法定相続人の数に含めることができます。
- 相続権を失った人がいる場合:廃除や欠格により相続権を失った人は、法定相続人の数に含めません。
なお、非課税枠を適用できるのは「相続人(相続を放棄しなかった人)」が受け取った死亡退職金に限られます。相続人以外の親族が遺言や規程により死亡退職金を受け取った場合、その人が受け取った分には非課税枠が適用されず、全額
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